福岡市の高島宗一郎市長は23日、11月1日告示、15日に投開票される福岡市長選挙に出馬しないことを自身のSNSで表明しました。
民放テレビ局のアナウンサーだった高島市長は2010年の市長選挙で初当選を果たし、現在4期目で、次の選挙への動向が注目されていました。
高島市長はSNSの投稿で「大切なご報告があります」と題し、「私は、この選挙には立候補しません。今の任期を満了したうえで、自らの意思で、次の世代に襷(たすき)を繋ぎたいと思います。」などと記しています。
全文は以下の通りです。
◇ ◇ ◇
【大切なご報告があります】
11月15日は、福岡市長選挙です。
現時点で立候補を表明されている方はいらっしゃいませんが、
私は、この選挙には立候補しません。
今の任期を満了したうえで、自らの意思で、
次の世代に襷(たすき)を繋ぎたいと思います。
健康に問題があるわけではありません。
福岡市長として、やりたいこともまだたくさんあります。
それでも、自分で決めて、
次の世代に襷を渡すことにしました。
私が市長になったのは、2010年、
36歳のときでした。
「とりもどせ元気!とりもどせ信頼!」
の旗を掲げて立候補してから、
あっという間の16年でした。
多くの皆さんのお力添えのおかげで、
福岡市は大きく変わりました。
人口は20万人増え、税収は1.6倍に。
就任時に41%だった市政への信頼度は、
今では84%を超えるまでになりました。
財政も健全に向かい、市民一人当たりの市債残高は、
ピーク時の半分以下まで減らすことができました。
これは諸先輩方が築いてくださった土台の上で、
市民の皆さん、市の職員、市議会、経済界、
そして共に歩んでくれた仲間たち。
本当に多くの方々が、力を尽くしてくださった結果です。
心から感謝しています。
正直に申し上げますと、
4年前の4期目の選挙に出るかどうかというときにも、迷いがありました。
4期を務めるのは長いのではないか、という思いがあったのです。
ただ、私の3期目は、コロナ禍の真っ只中にありました。
当時は「リモートワークの時代にオフィスは要らなくなる」といった懐疑的な声が広がる中で、
天神ビッグバンなどを責任を持って進め、オフィスの新しい役割を示したい。
そして都市の成長で生まれた果実(税収)を、市民の皆さんの生活の質の向上へと振り向ける。
その好循環を、確かなものにしたい。
そうした思いで、4期目に臨みました。
ですから、4期目に入る時点から、これを最後にするという思いは、自分の中に一定ありました。
それでも、この仕事は本当にやりがいがあります。
新しい基本計画も策定し、未来への新たな種も蒔きました。
新しい交通のマスタープランを完成させ、地下鉄のさらなる延伸も動き始めました。
都市の成長と暮らしの向上の好循環も着実に生まれています。
そして今、副首都法案が国会を通過し、現実味を帯びて動き出しています。
福岡市にとって、またとないチャンスが、次々と巡ってきています。
今年に入ってからも、行事などで市民の皆さんとお会いするたびに、
「年齢的にも、まだまだ市長できるよね」
「ずっと市長でいてよ!」と、ありがたい言葉をいただきました。
そのたびに、胸がいっぱいになっていました。
一般に多選は良くないと言われるけれど、
自分だけは続けてもいいのではないか、
特別に許してもらえるのではないか。
正直、何度も心を揺さぶられました。
けれども、もう一期務めたとして、どうでしょうか。
新しい課題は、4年後にもまた必ず現れます。
次のチャンスも、その時々でやってくるでしょう。
首長という立場は、予算も、人事も、多くの権限が一人に集まる特別な立場です。
とても魅力的で、やりがいのある仕事です。
だからこそ、同じ人間が長く続けることには、
慎重でなければならないと思っています。
「福岡のために続けたい」と思い続けることと、
その座に固執することとは、実は紙一重です。
その境目が、だんだんと自分でも分からなくなり、
気づけば長く、居続けてしまう。
私は、それを最も恐れました。
かつて、たくさんの候補者が名乗りを上げた
福岡市長選挙も、回を重ねるごとに、
手を挙げる人が減ってきました。
そして今、投開票まで3か月を切っても、
立候補される方が、まだいらっしゃいません。
噂すら聞きません。
これは、多くの方に信任をいただいている、
という見方もできるかもしれません。
けれども裏を返せば、それだけ今、
「このまちを、こう変えたい」と新しく手を挙げることが難しくなってしまっている、
ということでもあると思うのです。
だからこそ、私自身がこの段階で、自ら引くと宣言する。
そのことで、次に挑もうとする方が、手を挙げやすい道をつくる。
それが、福岡市の次なる発展のために、私ができる最後の大切な仕事ではないか。
そう考えました。
まちも人も、組織も、変わり続けることで、また新しく成長していけます。
新しいリーダーが生まれれば、その方の発想やアイデア、
その方だからこそ見出す人材が、また新たに力を発揮していく。
それは、まちにとっても、市役所という組織にとっても、
より健全なことだと信じています。
私は、福岡市という街が大好きです。
だからこそ、街が元気な今のうちに、自分の意思で、
次の世代にしっかりと襷(たすき)を繋ぐ。
それが、大好きなこの街への、私からの精一杯の感謝です。
12月6日、任期最後の一日まで、
福岡市長として、全力で走り抜けます。
2026年8月23日
福岡市長 高島宗一郎
