今回の地震で被災した熊本県内の飲食店に『居酒屋甲子園』から支援の食器が届いています。八代市にある『八代飯店』もその支援を受けました。
この店では、地震発生の8日前に演劇公演が行われていました。この作品の関係者によって先日、義援金が届けられ、『八代飯店』は21日、限定メニューで営業を再開しました。
東京を拠点にする演劇ユニット『翠座(あきらざ)』の『おもいでゴハン』。
7月18日から3日間、山鹿市(18日)・菊池市(19日)・八代市(20日)の飲食店で上演されました。
レストランを舞台に3つのメニューにちなんだ、3組の人間模様を描いたオムニバス作品。(舞台:1本目「棒棒鶏」、2本目「回鍋肉」、3本目「杏仁豆腐」)
八代公演の会場は『八代飯店』でした。
別の劇団からの客演として参加した有田新悟さん(29)。この八代飯店の次男です。
【有田新悟さん】
Q.実家の店での公演はどんな気持ち?
「緊張とかじゃないような分からない感情ですね。地元でできるチャンスは少ないので、何かを感じる前に『やりましょう』と言っていた気がします」
有田さん演じるラッパー兼ユーチューバーが配信した曲が大ヒットし、メジャーデビューするというストーリーで、ラストはサプライズで登場した有田さんの家族まで巻き込み、大いに盛り上がりました。
終演後は、作品に登場したメニューなどが提供され、観客は演劇と食事を存分に楽しみました。
【観客】
「新しい感覚で楽しかったです」
「演劇もよかったし、食事もすごくおいしいです」
【八代飯店 有田 義教 代表】
「食をテーマにしていたので、すごくありがたかったです。皆さんが喜んでいる顔が見れて、本当によかったと思います。みんなも一緒に盛り上がっていたのはびっくりしました」
息子の晴れ舞台に華を添え、活気にあふれた夏のひとときでした。
その8日後、熊本地震が発生。八代市は震度6強を観測しました。
店は定休日だったため、けが人はいませんでしたが、店内は物が散乱しました。
【有田 代表】
「営業中だったら、たぶん大けがしていると思います。冷蔵庫に挟まれたら絶対出られない。休みでよかったです」
一番の書き入れ時のお盆の営業のために大量に仕入れていた食材も廃棄せざるを得なくなりました。店は休業に追い込まれました。
【有田 代表】
「これだけたくさんの材料を仕入れて、次の月末には支払わなくてはならない。これはもう店が続けられないというのが正直な気持ちです」
そんな時、支援の手を差し伸べてくれたのは、同じ飲食店の仲間でした。
【FNN取材団 山川 遼 記者】
「八代市の飲食店に来ています。こちらはその駐車場なんですが、駐車場の端を見ますと皿がずらっと並んでいます。さらにその横には『ご自由にお持ち帰りください』の文字が書かれています」
『居酒屋甲子園』。年に一度、全国の飲食店の店主などが店の取り組みや仕事への思いを発表し、日本一を目指す大会です。この大会を主催するNPO法人が、熊本地震で被災した店を支援しようと食器の提供や募金活動を広く呼びかけたのです。
八代飯店にも食器が届き、店の駐車場には1000枚を超える食器が並んだといいます。
【有田 代表】
「飲食店は皿が割れて、ほぼないんですよ。買うのも大変だし、めちゃくちゃ助かります。いいデザインでめちゃめちゃいい」
Q.何を盛ろうかなと思いますか?
「うちの娘が料理長なので...僕はそういう権限はあまりないので。何を盛らせてくれるかなという感じです」
8月16日、有田さんの元を東京から訪れた人がいました。演劇ユニット『翠座』主宰の知江崎ハルカさん。7月の公演では、出演者たちは店の広間に寝泊りさせてもらいました。
【演劇ユニット『翠座』主宰 知江崎 ハルカさん】
「まさか1週間前にお世話になった所がこうなるとは…とりあえずお世話になった所からと思いまして」
地震発生後、SNSを使って八代飯店への支援を呼びかけ、集まった義援金を有田さんに手渡しました。
【有田 代表】
「本当に助けられたというのが一番で、お客さんに喜んでもらって、自分たちも楽しく仕事ができるので、娘も『続けたい』と言っているし、やっていきたいと思います」
(八代飯店PR誌『hancyu(ハンチュウ)』最新号が片付けが終わった頃に届いた)
【八代飯店 田原恵利花 料理長】
「前は裏面がパパの担当だったんですよ。ダサくて…私がもう裏表作っています」
そして、8月21日。
【21日の朝礼】
「きょうも久しぶりに元気に頑張りましょう、オー!」
「お願いします!」
八代飯店は、限定メニューで営業を再開しました。
【星野佐和 記者】
「営業再開した八代飯店。開店してすぐ、約3週間ぶりにその味を楽しみたいとお客さんがやってきます。『居酒屋甲子園』からもらったお皿も大活躍! 出来たての唐揚げが盛られています」
【来店客】
「おいしかったぁ」
「ほっとしました、ここのごはん食べて。お皿もよかったぁ」
「どれも本当においしい。再開している中に入ったら、私も泣いちゃうかなって」
【田原 料理長】
「お客さんの顔見たら安心するし、食べたかったよって来てくれたのがすごくうれしくて、これが八代の味だよって思いながら(作った)」
来年、創業60周年を迎える八代飯店。100年続く店を目指して、新たな一歩を踏み出しました。
紹介した2つの支援以外にも、店を応援してくれるたくさんの人たちが片付けを手伝い、支援物資を届けてくれたそうです。
※支払いは現金のみ 火曜定休
昼)午前11時半~午後2時半
夜)午後5時半~8時半(日・月・水・木曜)
午後5時半~9時(金・土曜)
