鹿児島県いちき串木野市の窯元に、ここで焼かれた磁器製風鈴の涼しげな音色が響いている。熊本地震の影響で火入れの前に一部が割れる被害があったが何とか焼き上げ、この夏の暑さを忘れさせてくれている。
爽やかな音色と涼しげな絵柄 目と耳で感じる「涼」
いちき串木野市にある「さつま花川焼」の窯元「次郎工房」。ここで毎年開かれているのが、磁器でできた風鈴の展示販売を行う「陶風鈴まつり」。2026年は7月11日に始まり、風鈴の爽やかな響きと涼しげな絵柄が訪れた人を楽しませている。

製作を手がけるのは、焼き物の本場、有田焼の窯元で修業した経験を持つ西田次郎さん(73)。夏らしい絵柄をつけるのはもちろん手作業。1つ仕上げるのに1時間ほどかかるという。2026年は、弟子たちと3月ごろから制作に取りかかり、550個ほど準備することにしていた。
突然の強い揺れ 準備中の風鈴にも被害
しかし7月28日午後4時27分、突然の強い揺れが窯元を襲った。令和8年熊本地震。熊本・宇城市などで震度7を観測したこの大地震で、窯元のある鹿児島・いちき串木野市も震度5弱の揺れに見舞われた。本焼きに向けて登り窯に詰めていた風鈴のうち、20~30個ほどが割れてしまった。その後も揺れが続く中、火入れを4日ほど遅らせて250個をようやく焼き上げた。
自慢の音色 風鈴の「薄さ」にこだわり
ここで作られた風鈴の特徴は1300度ほどの高温で焼き上げる磁器ならではの高く澄んだ音色。西田さんは「風鈴の薄さにこだわらないと、より遠くまで澄んだ音が出ない」と話す。

高温の火が醸し出す高音の響きには、どこか、金属やガラスの風鈴にないまろやかさも感じられる。「癒やされるような風鈴ですから、ここに癒やされにきてほしい」という次郎工房の陶風鈴まつりは8月30日までの開催。1つ3000円から販売もされている。お盆を過ぎ、残暑というにはあまりにも暑い日々が戻ってきた中、涼しげな音色で涼を感じるのも良いのではないか。
(連絡先)090-9588-6512

