シリーズ「命と未来をまもる」熊本地震の現地リポートをお伝えしています。

20日は熊本の先行事例に倣って富山県内でも対策が進められている液状化をクローズアップします。

最大震度6強の揺れに見舞われた熊本市。市内でも震源に近い杉島地区です。

*リポート
「国道につながる道路の歩道です。30メートルはあるでしょうか、噴き出した砂が歩道を埋め尽くしています」

*坂口和子さん
「水柱みたいに噴き出す、泥水が…」

ここで100年以上続く自転車店を営む坂口夫婦です。

地震で店先の敷地に亀裂が入り、泥水が吹き出したと言います。

噴き出した泥水の正体は砂でした。

*坂口和博さん
「サラッとした砂、これが噴き出した」

*坂口和子さん
「もう地震来ないと思った。みんな個人でやっている、隣も。いっぱい借金抱えて、個人で地盤をジャッキアップして、杭を打ち直して、セメント流して。だけどまた同じ所に亀裂が入ってる、何だったのか…」

10年前の地震と同様の被害は他にもありました。

*坂口和博さん
「ここからズレが起きている」
*リポート
「あー、これ、そういうことですか、ここら辺一帯…」

*家が傾いた住民
「10年前も陥没して、地盤が川の方にズレて家が傾いた。けっこうな金をかけて復旧、家を真っすぐにしていたが今回の地震でまた同じようになった。液状化対策をして、地盤を固めてもらえればいいと思うが、現状では地盤が悪いので(個人で)直してもまた一緒かと」

地震工学の専門家は…。

*防災科学技術研究所 先名重樹主任専門研究員
「前回も液状化して、今回もまったく同じ場所で液状化している、再液状化と見て間違いありません」

スタジオには取材した福島記者です。

同じ場所で再び、液状化が発生する「再液状化」が起こることが今回の熊本地震でも改めて、確認されました。

こちらが10年前の熊本地震で先名さんが調べた液状化地点を250メートルのメッシュで赤色に色付けした地図です。

熊本市から阿蘇山のあたりまで赤色の液状化地点が点在しています。

そして、今回、取材した杉島地区がピンポイントでこちら。10年前の熊本地震でも液状化していた赤色のメッシュに入っています。

そして、ここから北に4キロほど離れた所にあるのが近見地区です。赤色で示されている通り、前回の地震で深刻な液状化の被害が発生し、今年3月までの10年をかけて、地盤改良の工事が行われた地区です。

現地を取材しました。

Q10年前は?
*近見地区在住 末次廣さん
「水浸し、そこも向うも、国道3号線に出るところも水浸しだった。その時は、ちょっとひどかったですね」

そもそも液状化はなぜ、起こるのか。普段、地盤は土砂の粒がかみ合って安定していますが、地震の揺れが加わると、その結合が外れ、液体のような状態になります。そして、地面の亀裂から泥水が地表に噴き出したり、地盤が沈下する被害となるのです。

*近見地区在住 末次廣さん
「これは市から。その時の状況を受けて、液状化対策をしなさった」

対策に用いられたのが地下水位低下工法です。

地下に、集水管と呼ばれる水を集める管を通し、ポンプで汲み上げて排水しすることで水分を抜いた地盤の強度が増し、液状化が起こりにくくなるのです。

近見地区では住民合意を経て約35ヘクタールで工事が行われ、かかった費用は132億円。加えて年間2000万円の維持管理費を熊本市が負担しています。

*近見地区在住 末次廣さん
「今回は(液状化は)無かった、地震はあったけど、その時(10年前)とは全然違う、それだけ対策をしてもらっているおかげですね」

他の住民にも聞きました。

*近見地区の住民
「10年前は液状化がひどかったんですけど、今回はなかった」

*防災科学技術研究所 先名重樹主任専門研究員
「近見地区、対策したエリアはまったく液状化が確認できなかった」

防災科学技術研究所の先名さんは地震発生から4日後に現地に入り、調査をされたということで、地下水位低下工法の対策をした近見地区でで液状化の被害は、見当たらなかったということです。

こちらは先名さんからお借りした調査の記録で、液状化したところを青色の丸印でプロットした地図です。

再液状化が確認された杉原地区を含め、市内を流れる川の南側でくっきり、液状化の有無が分かれているのが分かります。

川の北側では対策をした近見地区もしていない周辺の地区も液状化は見られなかったということで、先名さんはその理由を分析しているということです。

そして、今回、液状化が見られなかった地下水位低下工法ですが能登半島地震で被害が出た県内でも導入の動きがあります。

富山県射水市は、すでに工事を決定、富山県高岡市と富山県氷見市は実証実験が進められています。

その点について熊本市長です。

*熊本市 大西一史市長
「熊本の事例は富山の皆さんに随分、調査いただいて、能登半島地震の対応をされている。将来にわたって安心安全な地域づくりにつながる、近見地区においては人口も増えている、地価も上昇している、安全性が高まったことによって地域の価値も高まる。ただ今回、他の(近見地区以外の)被害もあるので、しっかり対策して、次の災害に耐えられる、乗り越えられる地域をつくっていくのが我々の責務」

富山テレビ
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