国家プロジェクトである大阪・関西万博の工事で、大手ゼネコン・「竹中工務店」の工事責任者が逮捕されました。

下請け業者に水増し請求させ、竹中工務店に損害を与えたという「背任」の疑い。

元検察官の亀井正貴弁護士が今後の捜査のポイントを解説しました。

竹中工務店は工事の入札で万博会場の「西工区」を落札。
落札額は175億5500万円でした。

ここにはシンボル「大屋根リング」全長約2000mのうち、約700mが含まれています。
背任容疑で逮捕された河井辰巳容疑者は現場の責任者で、実質的に下請け業者を選定する立場だったということです。

■水増し請求分の金は自宅などのリフォームに

竹中工務店は下請け業者に工事を依頼します。

その中で河井容疑者は下請け業者に指示して工事代金を約1369万円水増しして請求させ、竹中工務店が水増しされた代金を支払うことで損害を与えた疑いがもたれているのです。

水増しされ下請け業者に支払われた金が、河井容疑者の自宅や親族が経営する飲食店のリフォームに充てられたとみられています。

亀井弁護士は「背任罪」について「会社に対して害を加える目的、もしくはか自分が利得する目的、そういう具体的な目的のもとに従業員としての“信任違反行為”をすれば背任罪が成立する」と解説

「詐欺にも横領にもあたらない広い範囲の“背任行為”を拾い上げる類型」だということです。

そのうえで、捜査当局は「まず詐欺や横領にあたるかどうかを検討する」として、「おそらく詐欺についてはなんらかの障害があって、今のところ成立(立証)が難しいと判断したのでは」と分析します。

■“水増し”と言えるかどうか 下請け業者との「共謀」の立証がポイントに

そして、捜査のポイントは下請け業者の「共謀」をどれだけ明らかにできるかだといいます。

【亀井弁護士】「工事代金っていうのはなかなか基準がないので、結構幅が広いんですよね。

だから水増しといえるかどうか、ということについては『余分に請求してくれよ』というような話し合い=共謀があるかどうかということですね」

また、水増しされた金が「親族が経営する飲食店」のリフォームにもあてられたとみられていますが、親族については「水増しされたお金でリフォームするんだということを事前に相談したうえで『やってね』というような相談まで行けば共謀が成立するけども、そこまで知らなければ成立しない」と指摘します。

■予算膨れ上がる裏で“水増し請求”「素通りした部分もあるのでは」

万博事業全体でみると、建設費は国と大阪府・市、そして経済界の3者が負担。
当初の費用は1250億円だったものの、最終的に2350億円にまで膨れ上がり、その理由は世界情勢や資材、人件費の価格高騰と説明されていました。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は膨れ上がった予算のなかで、水増しが見過ごされたのではと指摘します。

【ジャーナリスト・鈴木哲夫氏】「事件立件の本筋とは別の話として、予算が非常に変動したり曖昧になったと言ってもいいのかな、そういうところがあった。

そういう中でこういうもの(水増し請求)がスーッと素通りしていった部分もあるのかなと、予算全体の問題というのが1つあると思う」

■「人の広がり、工事の広がり、監視体制の問題を“洗う”ことに」

亀井弁護士は今後の捜査で「広がり」がなかったのかどうかを解明することになると解説しました。

【亀井正貴弁護士】「見逃されるような企業としての風土がなかったかどうか、関係した企業内の人は他にいなかったかどうか、それからこの人物(河井容疑者)が別の工事とか他のことについても余罪がないかどうか。

“人の広がり”とか“工事の広がり”とか、それから社内の監視体制の問題とか、その辺のところも(捜査当局は)一応洗っていく(調べていく)だろうと思います」

(関西テレビ「newsランナー」2026年8月19日)

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