尾村不二夫さん(79):
「助けてください」と言って、用水路に入ってしまっていた。思い出すと、“あと30秒早ければ良かったんだろうなぁ”とか、“あと30秒遅ければケガはしても、死んではいなかったんだろうなぁ”と。

八代市鏡町で、妻・トヨ子さん(79)を亡くした尾村不二夫さん。
地震が発生した時間帯は、毎日、花の水やりのため外に出ていたというトヨ子さん。

倒壊した自宅の中からどうにか脱出した不二夫さんは、トヨ子さんの姿を探すものの、見つからず。

その後、駆けつけた警察が自宅そばの用水路に転落し、亡くなっているのを発見した。溺死だった。
「事件・事故は起きないだろうと」通学路を花畑に
2人の子どもと3人の孫に恵まれた夫婦で、不二夫さんの退職後は、自宅の周りで一緒に花を育てていた。

尾村不二夫さん:
ここは子どもの通学路なんですね。自転車でみんなが通って見た時、“あぁ、きれいだね”と思うと心が和むじゃないですか。 だから“そういう所ならば、事件・事故は起きないだろうと思って、そういう町にしたいなぁ”と思って始めた。 500メートル、雑草を花畑に変えることを目標にしていた。

自宅には住めなくなり、今は姉の家に身を寄せ、飼っているネコ3匹の譲渡先を探しているという不二夫さん。トヨ子さんと連れ添った約50年を思い出す日々だ。

尾村不二夫さん:
仏の顔を見た時に、もう胸がいっぱいになって、とても言葉を発することはできなかったな。 走馬灯のように画面が出てくる。けんかもしながら人生の荒波を超える瞬間を思い出すようになった。
心境に変化「もう一回チャレンジする気合を」
この3週間で、心境の変化もあったという。

尾村不二夫さん:
動転していたけど、最近は少し落ち着いて“やり残したこともあるけど、もう一回チャレンジする気合を育まないとこの先、生きていけないのかなぁ”とか、(妻が)亡くなったからこその気付きが少し増えてきた。

「さようなら ありがとう」と、トヨ子さんに伝えたいと話す不二夫さん。
地震から3週間。それぞれに置かれた状況で、それぞれの時間が流れている。

