今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、生活スタイルも大きく変わった。11月特集「夫婦のカタチ」では、そうした変化が夫婦関係に与える影響も探っているが、家庭にはどんな傾向が見られるのだろう。

こうした中、気になる調査結果が11月22日の「いい夫婦の日」を前に公開された。緊急事態宣言中などには“コロナ離婚”という言葉も話題となったが、実は意外にもコロナ禍で夫婦仲がよくなった人が増えているというのだ。

コロナ禍で2割が「仲がよくなった」

調査は「明治安田生命保険」が毎年行っているもので、今年は10月12日~16日、全国の20~70代の既婚男女1620人に、インターネットによるアンケ―ト形式で実施。例年は夫婦間の意識の違いなどを調べているが、今年はコロナ禍の影響についても取りまとめた。

そこではまず、コロナ禍の社会的な影響を受けやすい20~50代(1080人)に「コロナ禍で夫婦関係に変化はあったか」と聞いていて、回答者は「仲がよくなった」(4.8%)、「どちらかといえば仲がよくなった」(14.8%)、「変わらない」(74.3%)、「どちらかといえば仲が悪くなった」(4.1%)、「仲が悪くなった」(2.0%)と答えている。

仲がよくなった傾向は全体の19.6%にのぼり、仲が悪くなった傾向の6.1%と比べると、約3倍も多かったという。

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仲がよくなった傾向の人に理由を聞いてみると、「コミュニケーションや会話の機会が増えたため」が6割以上で最も多く、次点は「一緒に食事をする頻度が増えたため」や「支えになる人がそばにおり、心強いと感じたため」だった。

調査では配偶者にプレゼントをしているかどうかも聞いていて、夫婦関係が円満である人はそうでない人に比べて、プレゼントする割合も予算も多かったという。ちなみに、今年の1回あたりのプレゼント予算は1万4528円で、2019年の平均より1035円の減少となった。

こうしたデータから、明治安田生命保険は「夫婦円満の秘訣は、日頃の感謝の気持ちを“かたち”にして伝えることかもしれません」と指摘している。

約8割が「夫婦円満」…秘密は会話時間にあり

また、20~70代に「現在の夫婦関係が円満かどうか」と聞いたところ、回答結果は「円満である」(32.2%)、「まあ円満である」(45.6%)、「どちらともいえない」(15.1%)、「あまり円満でない」(4.1%)、「円満でない」(3.0%)となり、全体の77.8%が円満傾向にあった。

そして、円満傾向の人とそうでない人には「夫婦での会話の時間」に違いがあったという。円満傾向の人は平均で平日146分、休日273分、会話していたが、円満傾向でない人の会話時間は平日53分、休日83分にとどまっていた。

なお、会話内容は「テレビなどのニュース」「子供のこと」「休日の予定」などが上位にランクインしていて、特に子供のこと以外も話す人は、夫婦仲が良い傾向にあったという。

これらのデータから、明治安田生命保険は「円満である夫婦ほど会話時間が長くなる傾向にあり、夫婦の円満度とコミュニケーションの時間は比例する関係にある」としている。そしてこの分析からも、「コミュニケーションや会話の機会が増えた」ことがコロナ禍でも夫婦仲がよくなった理由として重要だったということが分かる。

このほか、配偶者から言われたい一言を聞いたところ、全体で最も選ばれたのは「ありがとう」という感謝の言葉。次いで「お疲れさま(ご苦労さま)」(31.6%)や「あなたがいてくれてよかった」(24.3%)などの言葉がランクインした。

ただし、ここの回答結果は夫・妻でギャップもあり、「ありがとう」と言われたい割合は夫が47.2%、妻が67.3%で約20ポイントの差があった。妻の方がより、ありがとうを言われたいということになる。夫婦間でも、相手に言われたい言葉は違うということだろう。

「もう一度同じ相手と結婚したい」は半数以下

ここまではポジティブな要素が多かったが、20~70代に「生まれ変わっても、もう一度同じ相手と結婚したいかどうか」という質問では、意外な事実も判明している。

回答結果を見ると「必ず結婚する」(14.9%)、「たぶん結婚する」(29.1%)、「どちらともいえない」(35.4%)、「たぶん結婚しない」(11.8%)、「絶対に結婚しない」(8.8%)となり、同じ相手との結婚を選択したのは、半数以下の44.0%だったのだ。

さらに、同じ相手との結婚を選んだ回答にも、性別で違いがあった。夫は49.1%が結婚を望んだのに対し、結婚を望んだ妻は38.8%で、夫にとっては寂しい結果となった。

コロナ禍における「いい夫婦の日」に関する今回のアンケート調査。

分かったのは、外出自粛などで自宅にいる時間が増えた当初はストレスがたまっていたかもしれないが、実は生活のすれ違いが解消されて会話する機会が増えたことで夫婦仲がよくなったと感じている人が多いとのことだった。

では、この結果をどう受け止めて、どう活かしていけばいいのだろうか?残念ながらそうではない夫婦のためにも「いい夫婦の日」に改めて考えてみたい。夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんに、調査結果から想定されることを分析してもらった。
 

コロナという夫婦共通の“敵”が現れた

ーーコロナ禍で夫婦仲がよくなった人が多いのはなぜ?悪くなった夫婦との違いは?

仲がよくなった夫婦がいるのは「コロナ」という夫婦共通の“敵”が現れたことで、結果的に会話が増えたり、協力し合えたりして、団結心が強まったためだと思います。

それにもかかわらず「仲よくなった夫婦」「悪くなった夫婦」に分かれるのは、(1)互いの気遣い、(2)尊重ができているかどうかではないでしょうか。夫婦が一緒にいる時間が増えたことは、どちらも同じ条件のはずです。


ーープレゼントを贈るかどうかが夫婦の円満度に差が出たが、アドバイスはある?

プレゼントの価格よりは心遣い、気配りのほうが大切だと思います。例えるなら、年に一度高価なプレゼントをくれるよりも、日頃から好きなコンビニスイーツを買ってきてくれるような夫の方が、妻は「愛されている」と感じると思います。

その上で誕生日、結婚記念日など、それぞれが大切に思っている記念日のプレゼントは、相手と話し合って「欲しいもの」を贈ると、満足感が高まると思います。サプライズよりも相手が求めているもの、本人が喜ぶものを贈ってはいかがでしょうか。

相手への気遣いや心配りが大切(画像はイメージ)

ーー配偶者から言われたい一言は「ありがとう」だが、夫と妻で結果に差があった。想定できる理由は?

「ありがとう」が選ばれた理由はシンプルで、言われて嫌な気持ちになる人はいない最高にポジティブな言葉だからだと思います。夫と妻で結果に差が出たのは「ありがとう」という言葉の重みの“感じ方”が、夫と妻で違うからではないでしょうか。

今は家事や育児に協力的な夫が増えましたが、それでも妻が抱える負担は大きく、大変と感じている人も多いです。だからこそ、「ありがとう」という言葉がほしい、夫から言われるとうれしい奥さんが多いのではないでしょうか。


ーー生まれ変わっても同じ相手と結婚したい人が半数に満たなかったことと、夫と妻で差があることに、想定できる理由はある?

男性に比べて、女性の方が現実的な面があることと、好奇心旺盛なことでしょうか。実際の相談でも、夫婦関係が上手くいっているところでも「それとこれとは別」と考える女性が多いですね。夫には感謝しているが、違う人生があったかも…と考えるようです。

感染予防の価値観を一致させておくことも大切

ーー現在のコロナ禍でも夫婦円満であるために、心がけてほしいことはある?

新型コロナウイルスの感染予防について互いの価値観を確認し合い、一致させておくこと
でしょうか。もしも一致しなければ、自分のルールを無理やり押し付けるのではなく、それぞれがどうするべきかを話し合うことでしょう。

また、一緒に過ごす時間が増えている場合、互いの話を「聴く」ことも大切です。互いを知ることで配偶者への理解も深まるので、会話することは必要だと思います。在宅の時間が増えた夫は家事や育児を積極的に行うと、妻の見る目も変わるかもしれませんね。

感染予防などの価値観をすり合わせるといいかもしれない(画像はイメージ)

ーー逆にしてはいけないこと、避けるべきことは?

自分の考えが正しいと譲らず、意見を一方的に押し付けることですね。コロナ禍だとここには出掛けちゃいけないなどと考えがちですが、そうした自分だけのルールを相手に強要するのは危険だと思います。

コロナ禍で収入が減った相手を責めたり、不満をぶつけたりすることも避けたほうがいいでしょう。専業主婦やパートの女性はつい、経済的な不安やストレスをご主人にぶつけてしまうこともあるのですが、ご主人のプライドも考えてほしいと思います。


ーー実際の夫婦生活で取り入れられる、習慣などを教えて

不安や不満をため込まないこと、自分がしてほしいことを具体的に言葉に出して伝えることですね。「私」を主語にして考えを伝える「アイメッセージ」を使うと、相手も動いてくれやすくなります。(アイメッセージの例:「私は○○してくれたら助かる」)

また、「でも」「そうじゃなくて」などの否定から入らず、まずは「共感」してから自分の意見を言うことも大切でしょう。「ありがとう」の言葉を使う機会を増やしたり、コミュニケーション(対話)を積極的にとってみてもいいでしょう。


コロナ禍はつらい状況も多いが、配偶者の大切さを再認識するきっかけにもなるようだ。一緒に過ごす時間が増えるから今こそ、会話を増やしてみたり、「ありがとう」の気持ちを言葉やカタチにして伝えてみてはいかがだろうか。

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