“本当の日本”を求める欧米富裕層を山陰へ

「地方に足を伸ばすことで本当の日本を感じることができる」。
アメリカの業界団体担当者がそう語る旅行スタイルが、山陰・瀬戸内地方への新たな人の流れをつくろうとしている。

欧米の富裕層をターゲットにした体験型旅行「アドベンチャートラベル」を山陰・瀬戸内地方で展開するため、アメリカの業界最大団体・ATTAのアジア担当者が島根、鳥取両県内を事前視察した。

2026年11月に予定されるモニターツアーに向けた取り組みで、棚田ウォークやおむすびづくりなど、地域ならではの体験を通じて「本物の日本文化」を届けようとしている。

イメージ通りの日本がここに…奥出雲「棚田」の風景

7月3日、島根・奥出雲町を訪れたのは、ATTA(アドベンチャートラベル・トレード・アソシエーション)でアジア地域を担当するレア・ファカレロさんだ。
地元の観光協会や政府観光局の担当者が同行するなか、「棚田ウォーク」を体験した。

日本の伝統的農業が作り出した棚田の風景を眺めながら周囲を一望できる展望台を目指す往復約1.5キロのコース。
ファカレロさんは、目の前に広がる景色を前に「景色が美しい」と表情をほころばせ、「外国の人が日本の風景といって思い描くのはこういう風景。それが実際に広がっているのを見て、とてもきれいだと思う」と語った。

歩いたあとには「おむすびづくり」の体験も用意された。
棚田で取れたコメを自分の手で握り、味わうというものだ。
最初は慣れない手つきだったファカレロさんも、地元の人たちに教わりながら徐々に上手に形を作れるようになった。

「おコメがどういうふうに収穫されて、どういうふうに食べられているのかを知ることでその国の文化を知ることができ、需要があると思う」とファカレロさん。
おむすびという日常的な食べ物が、外国人にとっては日本の食文化に触れる貴重な機会となっている。

棚田ウォークを体験 眼前に広がる景色に「美しい」と一言
棚田ウォークを体験 眼前に広がる景色に「美しい」と一言
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世界市場は約1兆1600億ドル「持続的な観光」に国内でも注目

アドベンチャートラベルとは、訪問先の地域の自然や文化を体験し、多様な価値観に触れる旅行スタイルだ。
欧米の富裕層を中心に人気があり、1回の旅行あたりの滞在期間が長く、消費額も高い傾向にある。

ATTAが公表した最新の市場分析によると、世界のアドベンチャートラベル市場規模は、2024年時点で約1兆1600億米ドルに達している。
その大きさから、日本国内でも「付加価値の高い持続的な観光のかたち」として各地で誘致の動きが広がっている。

今回の事前視察と11月のモニターツアーを企画したのは、中国地方でアドベンチャートラベルの開発に取り組む「CAT(中国アドベンチャーツーリズム)」だ。
日本海と瀬戸内海、2つの海と中国山地が織りなす多様な魅力を活かした体験ツアーづくりを目指している。

CAT理事の広瀬徹さんは「自然を生かし、歴史文化のある山陰というのはアドベンチャートラベルという旅行商品でいうと非常に可能性が高い地域。地域の価値が分かっていただける方に届けたい」と意欲を語る。

おむすびづくりに挑戦 地元の人たちのフォローで上手に三角おにぎりを作れるように
おむすびづくりに挑戦 地元の人たちのフォローで上手に三角おにぎりを作れるように

山陰・瀬戸内でモニターツアー 試金石に

2026年11月には、欧米の旅行会社やメディアを対象としたモニターツアーが山陰・瀬戸内地方で開催される予定だ。

ファカレロさんは今回の中国4県への事前視察を踏まえ、「地方に足を伸ばすことで本当の日本を感じることができるので、そこにすごく意味がある」と、この地域が持つポテンシャルへの期待を示した。

政府観光局とCATは今回の視察結果を踏まえ、魅力的なツアーの提供を目指すとしている。

棚田の風景、コメづくりの文化、地域の人々との交流、
山陰の日常に息づく風景が、世界の富裕層を引きつける「本物の体験」として磨き上げられようとしている。

同行した地元の観光協会や政府観光局の担当者たちとの1枚
同行した地元の観光協会や政府観光局の担当者たちとの1枚
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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