「Otaru arch」は2024年に設立され、「あなたと小樽をつなぐサウナ」をコンセプトに、小樽の歴史や自然文化を取り入れた施設運営を行うほか、特産品を活かした食やクラフトジンの開発など、地域資源を活用した事業を多角的に展開しています。代表取締役社長の橋本喜生子さんに、地域貢献を軸に小樽の価値向上を目指す経営への熱い想いと、その未来について聞きました。

看護師から家業へ。経営の根底にある「使命感」

――子供の頃はどんなお子さんでしたか。
 「父親が一代で建設会社を経営していましたので、その会社に入らなければならないという使命感を感じながら育ちました。幼い頃から家業を継ぐのが当たり前だと思っていました」

――看護師を目指した理由はなんですか。
 「身近だった祖父が急に倒れて意識を失ったことが転機でした。普段は元気だった祖父が救えなかった悔しさから、自分が看護師になってそのような方たちをケアしたいという気持ちが強くなりました。実際に東京や札幌で勤務しましたが、人と接することが大好きで、やりがいを感じていました」

――家業に入ったきっかけは何ですか。
 「北海道内で『湯の花』という温浴施設を4店舗展開していますが、4店舗目の江別店がオープンする際、直営で運営しているため手が足りなくなりました。私も看護師としてやりがいを感じていましたが、潮時かなと思い、このタイミングで家業に入りました。入社してからは、経営全般やイベントの企画、スタッフのマネジメントなど多岐にわたる業務に携わってきました」」

――いきなりの転職に不安はありませんでしたか。
 「全く大変だと思ったことはありません。幼少期から、建設業を営む父親がやりたいと思ったことを次々と実行していく姿を見て育ちましたので。例えば、最初の温浴施設で自家源泉を掘る際、地質調査で難しいと言われても、父親は『ここから出る』という記憶を信じて掘り続け、結果として温泉を出すことができました」


小樽愛を凝縮した、地域貢献型のサウナ施設

――「湯の花」でサウナに変化を起こしたのはなぜですか。
 「もともと父親が大のサウナ好きで、『湯の花』には大きなサウナがありました。私はオートロウリュを導入したことが一番大きな変化だったと思います。大型温浴施設でのオートロウリュは故障のリスクも多いのですが、需要に応えたいという気持ちで導入しました。一方で昔ながらのサウナを好むお客様もいらっしゃるため、日替わりで片方の浴場にのみ設置するという工夫をしています。今では問い合わせやSNSを見て『今日はオートロウリュがあるから行こう』と選んでいただけるようになりました」

――「Otaru arch」を設立したきっかけを教えてください。
 「2019年に小樽青年会議所に入会したことがきっかけです。6年間、この街を盛り上げるために自分ができることは何かを考え続けました。その中で、地域貢献を目的とした会社を作りたいという気持ちが強くなり、青年会議所で地域と向き合ってきた小樽への想いを表現したサウナを作るという結論に達しました」

――サウナにはどんな工夫を凝らしましたか。
 「とにかく小樽らしさを詰め込みました。小樽といえばランプの街ですのでランプを使用し、海の街であることから舵輪を使った照明を配置しています。また小樽軟石を取り入れ、サウナの部屋の名前にも小樽の町名を使っています。水風呂には、小樽の水の90%を担うダムから名前をいただき『朝里ダムの水風呂』と名付けました。お客様からは『小樽が凝縮されている』という声をよくいただきます」

――施設設計のこだわりを教えてください。
 「すべてのサウナ室に大きな窓を作り、四季を楽しめるように設計しています。庭も自然を体感できるように作っており、観光客の方にも小樽の自然を感じてらえるような空間を目指しています。まだまだお客様の心をつかめるよう、設計をアップデートしている最中です」


食とクラフトジンを展開。すべては「小樽の魅力」発信のために

――サウナ以外にも事業を展開されていますが、どのような想いがありますか。
 「小樽の特産品を味わえる店を運営しています。小樽は寿司などの生ものが有名ですが、温かいものも提供したいという思いから、小樽のホタテ『おタテ』を使った『おタテチャウダー』を開発しました。また、ただのソフトクリームでは面白くないと考え、小樽の特産物を使ったソフトクリーム店もオープンしました。すべての事業の始まりには、小樽愛があります」

――クラフトジンも作られたそうですね。
 「はい。小樽初のクラフトジンを開発しました。もともとサウナで、地元で採れたハーブを蒸留した香りを使ってロウリュを行っています。その香りをグラスに落とし込みたいと考え、製作する方にアウフグースを受けてもらうことから始めました。まずは五感で感じてほしいという私の想いを伝え、小樽の植物を四つ使い、合計29種類のボタニカルを配合したジンが完成しました。お土産として販売し、ご家庭でも小樽の風や香りを感じてほしいと思っています」


大学院での挑戦。北海道から「ブランド」を創り出す未来

――BOSS(経営者)として大切にしている軸を教えてください。
 「始まりはすべて小樽愛であり、その軸は絶対にブレないということです。いろいろな事業を展開していますが、原点はすべて小樽を盛り上げたい、小樽市民にもっと誇りに思ってほしいという想いです。この想いはスタッフにも伝わっており、この軸がブレないからこそ、言葉や目指すゴールもブレることはないと思っています」

――事業の最終目標は何ですか。
 「最終目標は、北海道のエルメスのようなブランドを作ることです。現在大学院に通い、経営やマーケティングを本格的に勉強しています。ブランドを作ることは一番手を出していけない分野だと教授にも言われますが、誰かがゼロから始めなければなりません。北海道を代表するブランドを創り上げることで、小樽の価値ももっともっと上がるのではないかなと考えています」

 北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合うUHB「#BOSSTALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。

北海道文化放送
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