福岡県議会の蔵内議長が旗振り役となり、服部知事も同調してきたワンヘルス政策。

関連予算はこの5年間で約58億円にのぼり、批判も強まっています。

そうした中、服部知事がTNCの単独インタビューで「根底から見直す」と述べ、これからの事業を当面凍結する考えを明言しました。

2021年の就任以来、服部知事が県政の柱として掲げてきたのが…

◆服部知事(2024年6月)
「ワンヘルスの基本方針でございます」

◆服部知事(2025年7月)
「ワンヘルスの取り組みが」

◆服部知事(今年2月)
「私たちはワンヘルス」

◆服部知事(今年5月)
「このワンヘルスというものを」

至るところで訴えてきた「ワンヘルス政策」です。

人と動物、そして環境は互いにつながっているという考え方に基づき、一体的に健康を守っていこうという取り組みです。

◆福岡県議会 蔵内勇夫 議長(去年11月)
「子供たちのためにも『ワンヘルス』というのはしっかりやっていかなきゃいかん」

ワンヘルスは、世界獣医師会の会長も務める福岡県議会の蔵内議長が強く推進する政策として知られ、この5年間の県の関連予算は約58億円にのぼります。

しかし、その進め方には批判も集まっています。

蔵内議長の地元、福岡県筑後市の公園に整備されたワンヘルスのモニュメントに投じられた金額は約3億円。

また、福岡市の舞鶴公園に6000万円を投じて整備した「ワンヘルスパーク」は、目玉だった馬術体験の利用者が1日平均1人にとどまり、赤字のまま1年で閉園しました。

県民への浸透も十分とは言えません。

Q.ワンヘルスってご存じですか?(福岡市でインタビュー)

◆街の人
「いや、分かんないです」

◆街の人
「初めて聞きました」

◆街の人
「それに何億も使って本当に実のあるのかは、ちょっと疑問がありますね」

TNCが7月、県内の有権者を対象に実施した世論調査では、ワンヘルス政策について、「予算の使い方が不適切」または「予算を投じる必要がない」と答えた人が約7割を占めました。

こうした中、8月7日にTNCが行った服部知事への単独インタビュー。

話題がワンヘルス政策に及ぶと、知事はまず、自身の思いを語りました。

◆服部知事
「私が1期目に就任した際はコロナの真っただ中で。人獣共通感染症によって多くの尊い命が失われ、社会も経済も大打撃を被った。もう二度とこういうことを繰り返してはいけないと。人々の命・健康を守るという非常に重要な政策であるということは理解いただきたい」

◆TNC川崎健太記者
「60億円近い予算が当初予算で投じられている。この予算の妥当性、必要性は?」

◆服部知事
「今、60億円というお話もございました。本当に申し訳なく思うのは、明確な基準もなく、例えばイノシシから田畑を守るような防護柵を作る、あるいは、有害鳥獣を捕獲する経費とかもあります。こういった主たる目的は別にある事業をワンヘルスという冠を付けて、区分をして、公表してきた。これでですね、額が膨らんでしまい、ワンヘルスと言えば予算が付くとか、何でもワンヘルスとか、そういった疑念・疑問・誤解を生んでしまった。さらにまた今、ワンヘルスセンターということでやっていますけど」

福岡県みやま市で建設が進む総事業費約200億円の「ワンヘルスセンター」。

老朽化した県の保健環境研究所の移転に加え、家畜や野生動物の保健衛生を担う施設、さらに体験学習ゾーンも備える計画ですが…

◆みやま市議会(8月7日)
「ワンヘルス政策の検証を求める意見書については原案の通り可決されました」

高額な海外視察をはじめとした一連の問題による県政への批判を受け、地元のみやま市議会は先週、政策の必要性や妥当性を改めて検証するよう県に求める意見書案を全会一致で可決しました。

◆みやま市議会 牛嶋利三 議長
「(県に)賛同しますよ、ということで7億から8億もする土地を無償で譲渡した。地域の皆さんは余計に不安を感じている。県にはしっかり軌道修正しながら(進めてほしい)」

ワンヘルスを推し進めることが街のイメージ低下につながってしまうのではないかという懸念も出てきています。

<服部知事への単独インタビュー>

◆TNC川崎健太記者(7日)
「ワンヘルスセンターの名称変更も検討余地がある?」

◆服部知事
「ワンヘルスセンターというのはある意味、仮称のレベル。(みやま市には)ワンヘルスを非常に推進していただいていて、そのご理解のもとで、(土地を)無償譲渡していたただいているので、地元の皆さまにもよく話をしていかないといけないと思いますが、県民から見て納得いかないような名前にこだわる必要はないと思います」

服部知事は7月の会見で「ワンヘルス政策」の進め方や実態について、有識者などによる行政改革審議会に評価してもらうことを明らかにしています。

◆服部知事
「政策のあり方についても答申を頂きたいと思っている。行政改革審議会の答申を頂くまでは、今の段階で未着手の事業等については当面凍結をしたいと」

◆TNC川崎健太記者
「今後、一連の事業を根底から見直していくという理解でよいか?」

◆服部知事
「もちろんです」

着手していない事業については当面凍結する考えを示し、一連の事業を根底から見直すことを明らかにしました。

◆服部知事
「ワンヘルスという冠をいろいろな事業に付けてしまったために、県民の皆さまの誤解を招いてしまうことになった。これは我々の過ちであったと思っていまして。ワンヘルスの中でやらないといけないのは、人の命を守るということ。そのためには感染症とか、あるいは薬剤耐性菌の問題とか、こういったところに研ぎ澄ましていくというか、絞っていくことが必要なのではないか」

そうしたワンヘルスの「伝道師」を自称するのが蔵内議長。

服部知事はこれまで二人三脚で政策を推し進めてきました。

しかし、今回のインタビューでは2人の関係性に変化が伺える発言がありました。

◆服部知事
「蔵内さんに対する過度な配慮というものが、私も含め執行部側にあったと。このことは認めざるを得ないという風に思います。県政の根底から根こそぎ変えると申し上げて、こういう中で当然過度な配慮、忖度が生じるような関係は一切断っていく」


一方、10日、報道陣に対し、蔵内議長は―

◆福岡県議会 蔵内勇夫 議長
「我々福岡県から発信したこのワンヘルスは、すでにもう国策となっております」

非難の矛先となった3億円のモニュメントについては…

◆蔵内 議長
「あれはね、私は評価されると思います。将来。」

Q.どういった所で?
◆蔵内議長
「それは、ワンヘルスというのが国際的に大きな流れになってきますので、そういう意味で、ある意味ではね、ワンヘルスの発祥の地となるでしょう。そういったところには、やはりシンボルが必要なんです」

ワンヘルス政策について、反省や見直しを口にする服部知事。

かたや、変わらぬ自信を見せる蔵内議長。

共に歩んできた2人の認識に、今、大きな違いが生じています。

テレビ西日本
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