福岡県議会や県執行部による高額な海外活動や、県職員の「部課長会」によるパーティー券問題で揺れる中、服部誠太郎知事が7日、TNCの単独インタビューに応じました。

その内容を前編と後編にわけてお伝えします。

後編は県と県議会の蔵内勇夫議長が推進する、人と動物の健康と環境保全を一体的に考える「ワンヘルス」政策についてです。

知事はみやま市に建設が進む「ワンヘルセンター」の名称も含め、政策をゼロベースで見直す考えを明らかにしました。

聞き手は「報道ワイド 記者のチカラ」の川崎健太キャスターです。

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ワンヘルスは「非常に重要な政策」と理解求める

川崎健太キャスター(以下、川崎):
ワンヘルス政策について我々の世論調査では「理念にも賛成し予算の使い方も適正」というのは3%にとどまっている。「予算の使い方が不適切」または「予算を投じる必要がない」というのが合わせて約70%という結果が出た。これまで5年間にいわゆるワンヘルス関連事業に関しては当初予算で60億円近くが投じられているが今後、ワンヘルス事業はどうしていくつもりか。

服部誠太郎知事(以下、知事):
ワンヘルスへの思いを説明させていただくと、私が1期目に知事に就任した際は新型コロナの真っ只中で、本当にこの新型コロナという人獣共通感染症によって多くの尊い命が失われ、社会も経済も大打撃を被った。もう二度とこういうことを繰り返してはならないということを副知事の当時も含め強く思っておりました。

そして現在、ワンヘルスというのは世界的にも取り組みが進められ、WHOやG7にでも重要なものであると位置づけられ、我が国も厚生労働省にワンヘルス対策推進室が設置されるなど推進体制が整備されつつあります。これらを踏まえてワンヘルスは、県民の皆さまの命と健康を守るという非常に重要な政策ということはご理解いただきたいと思います。

「何でもワンヘルス」との疑念生んだのは反省

知事:
しかしそういう政策の重要性は重要性として、これまで実施してきた事業や予算について本当に申し訳なく思うのは、明確な基準もなく「ワンヘルス関連予算」と区分して、県民の皆さまにちゃんと説明できていなかったことは本当に反省しなければいけない。

例えば、イノシシから田畑を守る防護柵を作る。これは年9億円ぐらい(の予算で)以前からやってきていたんですね。あるいは有害鳥獣を捕獲する経費とかもあります。さらにワンヘルスセンターと言っていますが、中身は築50年以上たつ老朽化した保健環境研究所の建て替え、また同様の家畜保健衛生所の建て替えの経費です。こういった事業の主たる目的が別にある事業を「ワンヘルス」という冠をつけて区分して公表してきた。これで額が膨らんでしまい「ワンヘルスと言えば予算がつく」とか「何でもワンヘルス」とかいった疑念、疑問、誤解を生んでしまった。このことは本当に大いに反省しなければいけないと思っております。

我々もワンヘルスの関連予算の核心だけを捉えるようにしているところですが、これからどうするかを考える上でも、これまで行ってきた政策や事業についても検証する必要があると思います。こういう政策面の検証をしてもらうために、行政改革審議会にワンヘルスについて諮問し、専門家の方も入れて、今までのすべての事業について評価をいただく。そして今後のワンヘルスの取り組みをどう体系化していくかも含めて、政策の在り方についても答申をいただきたいと思っております。

こういったことを踏まえてこれからどうするのか考えたいと思っていて、審議会の答申をいただくまでは、今の段階で未着手の事業等については当面凍結したいと思っております。

ゼロベースで見直しへ

川崎:
審議会での諮問結果にもよるだろうが、一連のワンヘルス事業をゼロベースで見直すという理解でよいか。

知事:
もちろんです。だから、すべて見ていただきたいということです。さっき申し上げたようにワンヘルスの知名度が日本にほとんどない、福岡にもないということから、ワンヘルスという冠をいろいろ付けてしまったがためにいろいろな県民の皆さまの誤解を招いてしまうことにもなった。これは我々の過ちだったと思っております。ワンヘルスの中でやらなければいけないのは人の命を守るということ。感染症や薬剤耐性菌の問題に厚生労働省もフォーカスしています。こういうところに研ぎ澄ましていく、絞っていくことが必要ではないかと思います。

あとは概念がSDGsと同じで非常に広いですから、環境保全、生物多様性の保全とかまで入ります。海洋プラスチックの問題も。やはり環境が守られて人も動物もこの地球で暮らしていけるんで。環境の取り組みというものも大事なので我々はワンヘルスととらえてやってきましたけど、あまり広く言いすぎるとまた何でもワンヘルスになってしまう。だからここを反省し、もっと研ぎ澄ましていく必要があると思います。

川崎:
ワンヘルス推進のシンボルは(現議長の)蔵内勇夫さんであるという認識も広がっている。蔵内さんとの関係性の変化と、ワンヘルス事業をゼロベースで見直すことはつながっていることか。

「ワンヘルスセンター」にこだわる必要ない

知事:
ワンヘルスは蔵内さんが提唱されたわけではなく、もう世界で進んでますが、日本では蔵内さんが非常に推進していることは事実ですし、獣医学の博士で専門家でもいらっしゃる。だからワンヘルス等についての専門的な知見をお持ちだと思います。しかし、だからといって蔵内さん個人のお考えでワンヘルスを進めるべきものではありませんから、あくまで我々も審議会のご意見もいただいて、そこにも専門家の方が入っていただき、それを踏まえて県民の皆さまから見て公正な、そして本当に必要・妥当だと思ってもらえる政策として人々の命を守るためにやっていくべきだと思っております。

川崎:
具体的にいうと「ワンヘルスセンター」の名称変更も検討の余地があるか。

知事:
「ワンヘルスセンター」は仮称のレベルなんです。保健環境研究所と動物保健衛生所の有機的な連携機能を捉えて「ワンヘルスセンター」と言っていて、「ワンヘルスセンター」という建物ではないですが、これが県民の皆さまから見て違和感が大きいということであれば検討すべきであると思います。

ただ保健環境研究所と家畜保健衛生所の改築先の土地は、みやま市およびみやま市議会がワンヘルスを非常に推進していて、その理解のもとで無償譲渡をしていただいてるので地元の皆さまともよくお話をしなければいけないと思いますが、誤解を招くとか、あるいは県民から見て納得がいかないという名前にこだわる必要はないと思います。

問題はそこで何をやるのか。保健環境研究所はバイオセーフティレベル3の施設もあり、新型コロナウイルスの分析でも大活躍しました。本当にそこの機能を活かして、人々の健康や命や生業を守っていくことができればいいと思っています。

川崎:
ワンヘルス認証制度についても制度の縮小・廃止に関しても手を付けるか。

知事:
これもしっかり審議会に諮って、見直して、検証していただきたいと思います。やはりワンヘルスの認証農林水産物も多くの生産者の方に加わっていただいてますが、やはり我々の中でも、もっと基準を明確にすべきではないかという議論もしてまいりました。今、一生懸命取り組んでいらっしゃる方々を裏切ることはできませんが、審議会でしっかり見ていただき客観的なご意見をいただいて、認証制度もゼロベースから考えていきたいと思います。

(終わり)

テレビ西日本
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