灼熱の鳥取砂丘で「熱中症」警戒 砂の温度は50℃超
砂の温度が50℃以上に達する鳥取砂丘で、2026年の夏も熱中症対応の件数が急増している。
「ほぼ毎日何件かは搬送」と語るレンジャーたちは、陸と空の両面から観光客の命を守る活動に奔走する。
「異常です、年々暑くなって」猛暑の砂丘で観光客が悲鳴
鳥取砂丘を訪れる観光客の定番コースは、海寄りの小高い砂丘「馬の背」をめざして歩く散策だ。
近くに見えても片道約400メートル、往復すれば日差しをさえぎるものが一切ない砂の上を1キロ近く歩くことになる。
7月21日も猛烈な暑さとなり、記者が持つ手元の温度計は38℃を超え、砂の表面温度は50℃以上に達した。
「暑いです。とても暑いです。異常ですね、年々暑くなって」「暑いです」と話す観光客の言葉が、現場の過酷さをそのまま映し出している。
それでも多くの人が砂丘を訪れ、炎天下の砂の上を歩き続ける。

「顔の表情や歩き方を見ている」8人のレンジャーが目を光らせる
こうした状況に目を光らせているのが「砂丘レンジャー」だ。
砂丘の自然保護や環境保全、そして観光客への安全指導を担う鳥取県の職員で、現在8人が在籍している。
1日3、4人が交代で午前9時から午後4時半まで「見守り活動」を行っている。
砂丘レンジャーの木村良成さんは「歩いている姿、ちょっとしゃがみこみかけたりとか。あと顔の表情、そういったところを気を付けて見ている」と観察のポイントを説明する。
実際、木村さんが声をかけた家族連れの中には、かなり辛そうな様子の小学生男児がいた。
レンジャーは、常時携帯している救急用バッグから保冷剤を取り出し、男の子の首に当てて応急処置をした。
「良かった」とほっとした表情を見せた男の子の父親は「初めての鳥取砂丘でしんどかった。すごく助かった」と語った。
別の家族連れでは、お父さんにおんぶされた小学生男児を発見。
砂丘の入り口まで自力で歩くのは難しいと判断したレンジャーは、運搬車を手配し、約5分で救護所まで運んだ。

搬送件数は2倍以上に増加 記録的な猛暑浮き彫りに
鳥取県によると、砂丘での熱中症患者への対応件数は今シーズン、7月21日までに22件。
このうち、運搬車による搬送は4件で、いずれも2025年の同じ時期の2倍以上に上っている。
数字が示すとおり、2026年の暑さはより厳しい状況だ。
木村さんは「最近、ほぼ毎日何件かは搬送」と話したうえで、訪問者へ「安全に安心して楽しんでいただきたいので帽子、日傘、水分とか準備を十分したうえで来ていただきたい」と呼びかける。
さらに、自身の健康管理についても「自分が倒れたら元も子もないので、自分の身の安全を考えながらやっていきたい」と言葉に力を込めた。

観光客を空からも見守る 200倍ズームのドローン
陸上での見守りだけでなく、鳥取県は2023年から夏のシーズンに「空からの見守り活動」もスタートしている。
専門業者に委託したドローンによる監視で、午前10時から午後5時まで1時間おきに約20分間飛行する。
搭載された約200倍のズームカメラで観光客の様子を確認し、必要に応じて拡声器で注意を呼びかける仕組みだ。
委託先であるスカイヤーの宇佐美孝太社長は「効率的に巡視することができるようになった。熱中症疑いの方をいち早く見つけて、より安全な鳥取砂丘をつくっていきたい」と話す。
地上のレンジャーでは把握しきれない広い砂丘を、上空から丁寧に監視する体制が整いつつある。

「助かります」観光客から感謝の声 熱中症予防に「声かけ」も活用
熱中症対策は事後の搬送だけでなく、予防の面でも強化されている。
2026年も始まった「熱中症予防声かけプロジェクト」がそれだ。
7月19日から8月30日までの土日・祝日とお盆期間中、砂丘入口の階段付近でスポーツドリンクや水など冷たい飲み物を対面販売し、熱中症予防を直接呼びかけている。
訪れた観光客からは「飲み物を何も持ってこなかったので、これはまずいと。ありがたい。助かります」「水筒1本だけ持ってきたが、馬の背に着くぐらいでなくなってしまって。助かります」「自販機で買ったが補給したばっかりでぬるかった。ここの販売所だとすごく冷えているので、すぐにもらえてありがたい」といった声が上がった。
プロジェクトを担う田渕直人さんは「ドリンク販売だけでは(予防が)足りなくて、人の声かけで、もっと多くの方に熱中症予防の声かけできていると感じている」と手応えを話す。

「見守り」で夏場も安全な砂丘観光をめざす
砂丘レンジャーによる地上の見守り、ドローンを使った上空からの監視、そして声かけプロジェクトによる予防活動。
鳥取砂丘では、これら三つのアプローチを組み合わせながら、観光客の安全を確保しようとしている。
この後も厳しい暑さが続くと予想される中、灼熱の砂丘を安全に楽しんでもらうための取り組みは続く。
帽子、日傘、十分な水分。
砂丘を訪れる際には、まず自分自身の備えを万全にしてほしい。


