鹿児島県内の最低賃金をめぐる審議が、またしても平行線に終わった。労働者側が「89円引き上げ」を求める一方、使用者側は「41円が限界」と主張し、両者の溝は8月10日の会議でも埋まらなかった。全国で2番目に低いとされる鹿児島の最低賃金。その格差をどう縮めるか、議論は次回に持ち越された。

「大幅に上げる必要がある」vs「非常に厳しい数字しか示せない」

鹿児島地方最低賃金審議会は、労働者と使用者の代表、そして専門家が地域の経済状況などを考慮しながら、妥当な最低賃金を話しあう場だ。

鹿児島県内の最低賃金は2025年に初めて1000円を超え、1026円となった。今回の審議では、国の審議会が示した引き上げ目安額は56円。しかしそれに対する労使双方の主張は、大きく食い違っている。

この記事の画像(5枚)

連合鹿児島の白石裕治委員は「大幅に上げる必要があるので、前回の提示額通り89円」と主張。「健康で文化的な」生活水準を保障するためにも、大幅な引き上げが不可欠だという立場だ。

一方、県経営者協会の浜上剛一郎委員は「非常に厳しい経営環境が続く中で出した41円」と述べ、企業側に賃金を引き上げる余力がない現状を訴えた。「『歩み寄れ』と言われても、非常に厳しい数字しか示せない。引き上げられるデータは持ちあわせていない」とも語り、譲歩の難しさをにじませた。

全国で2番目に低い水準 格差是正が焦点

10日の会議で、労働者側があらためて強調したのが鹿児島の最低賃金の低さだ。全国で2番目に低い水準にあるとして、他都道府県との格差を是正するためにも89円の引き上げが必要と主張した。

地方で働く人々の生活に直結するこの問題は、単なる数字の議論にとどまらない。最低賃金が上がれば、パートタイム労働者や非正規雇用で働く人々の手取り収入が増え、地域の消費活動にも影響を与える。一方で、中小企業や小規模事業者が多い鹿児島では、人件費の増加が経営を直撃するリスクも現実としてある。

使用者側の主張もまた、地域経済の実態を踏まえたものだ。「厳しい経営環境」という言葉には、原材料費の高騰や人手不足など、地方の事業者が直面する複合的な課題が反映されている。

「どこをどう譲っていくか」 次回の調整に注目

労使双方が主張を譲らず、議論は次回の会議へと持ち越された。鹿児島地方最低賃金審議会の川口俊一会長は「それぞれの立場で重視する要素や主張が労使で違う。そこでどこをどう譲っていくか、調整していくかという作業になる」と述べ、今後の折衝に向けた難しさを率直に語った。

国が示した目安の56円を軸に、労働者側の89円と使用者側の41円という両極の主張がどう着地するか。鹿児島で暮らし、働く多くの人にとって、次回の審議会の行方は見逃せない。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(5枚)
鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。