北海道江別市の男子大学生集団暴行死事件の裁判で8月3日、強盗致死の罪に問われている主犯格の男に、検察側は無期懲役を求刑しました。
元裁判官の内田健太弁護士が、量刑判断のポイントを解説します。
この裁判は2024年、江別市の公園で男女6人が大学生の長谷知哉さん(20)に集団で暴行を加え死亡させたうえ、現金などを奪ったとして、川口侑斗被告(事件当時18歳)ら2人が強盗致死などの罪に問われているものです。
検察側は求刑の理由として、”圧倒的な多数回にわたる暴行”や”強盗の主導”、さらには”共犯者に責任転嫁”するような裁判中の発言を挙げています。
一方、弁護側は懲役25年が適正だと主張。川口被告が適切な教育と支援を受けられる環境になかったという背景や、反省して更生の可能性があることを理由に、特定少年を普通の大人として扱うのは不当だとしました。
特定少年への無期懲役の求刑について、内田弁護士は「成人年齢が18歳に引き下げられた際、18歳と19歳は少年法上の保護を及ぼしながらも、刑事裁判では成人と同様に扱うという、やや曖昧な地位になった。18歳が本当に成熟した大人かは社会常識として微妙なところがある中、特定少年であっても無期懲役が相当だと判断したのは珍しいケースだ」と指摘。
今回、無期懲役が求刑されたことについては、「年齢の若さでは説明できないほど悪質だったと検察側は考えたのでは」との見方を示します。
■川村葉音被告(懲役30年)より重い判決となる可能性は
一方、事件のきっかけを作ったとされる川村葉音被告も一審では無期懲役を求刑されましたが、懲役30年の判決が下されました(現在控訴中)
内田弁護士は、川村被告の判決では、裁判所が『被告人が特に主導したとまでは言えない』としたことが求刑から減じた大きな理由だと考えられる。裏を返せば、川口被告が『主導した』と認定されれば、川村被告の時とは変わる可能性がある」と分析。
特に検察が『際限ない地獄の苦しみを与えた張本人だ』とかなり強い表現を使ったことに、無期懲役以外にあり得ないという決意を感じたと述べました。
「主導」の判断基準については
「暴行の回数、暴行に至る流れを誰が作ったか、物を取ろうと発案したのは誰か、実際に暴行を加えたのは誰か、奪った金を誰が使ったかなど、全体を総合的に評価することになる」と説明しました。
裁判で川口被告は暴行を止められなかった理由について「八木原被告から『もっとやって』と言われた」と証言。八木原被告の指示が暴行を続けた理由だったと、共犯者に責任を転嫁するような説明をしています。
この主張について内田弁護士は「上下関係や主従関係があったわけではないので、仮にそうした発言があったとしても、量刑を軽くする理由としてどれだけ影響を与えるか、裁判所はかなり慎重に判断するのでは」との見解を示しました。
さらに内田弁護士は、川口被告の判決が共犯者全員の量刑の上限を示す可能性が高いとし、「今後の共犯者の裁判にも大きな影響を与えるのでは」と述べました。
川口被告への判決は8月7日に言い渡される予定です。
