7月25日、宮城県栗原市で江戸時代から続く「くりこま山車まつり」が開かれました。地区の住民が手作りで完成させる山車には、祭りを盛り上げるだけはなく、人々をつなぐ役割がありました。

強い雨が降る中、練り歩く勇壮な「山車」。

栗原市の栗駒地区で行われた、「くりこま山車まつり」。

この日のために、9つの地区の住民がそれぞれ山車を作り上げます。

300年以上の伝統がある「山車まつり」。

若い世代が少なくなっている栗駒地区が、1年で最も盛り上がる日です。

山車の制作は祭りの2カ月前から始まります。地区のひとつ「四日町親和会」です。

地区の住民
「光生、気を付けろよ!」

早坂光生さん
「はい!」

栗駒出身の早坂光生さん、26歳。

早坂光生さん
「山車作りは好きでやってるのもありますし、普段から運動してるんで、そんなに苦ではない」

祭りを担う若い世代として、周囲も期待しています。

地区の住民
「(早坂さんは)地域の宝物という感じ」
「小さい頃はうるさい子供だなって。それがいつの間にか好青年になって」
「光生は若手のホープだし、これからのこの町内の四日町を担っていく貴重な存在です。次期会長?」

早坂光生さん
「すーぐそうやって(笑)」

子供の頃から山車まつりに参加してきた早坂さん。これまで20回以上、祭りに参加しています。

早坂さんにお囃子を指導 菅原敬司さん
「どんなに叱ってもめげない、めんこい子だった」

早坂光生さん
「自分のときはもっとスパルタで(笑)。リズムを覚えるまでずっと叩かせられました」

いまは、地区の子供たちにお囃子を教える立場になりました。

子供
「優しいですね、本当に」

地区の住民
「嘘っぽい嘘っぽい!(笑)」

子供
「でも本当に教え方うまいし、熱心に教えてくれて」

早坂光生さん
「高校まではずっとここで過ごしてきたので、もちろんふるさとだし、ほかの地域と違ってこうやってお祭り毎年あるので、やっぱりふるさと以上の重みはあるのかな」

母・千鶴さん
「本当に毎年帰ってくる。大学の時も社会人なってからも」

早坂さんは高校を卒業した後、岩手の大学に進学。いまは仙台市内で働いています。

早坂光生さん
「7月中はだいたい家に帰ってきて、ここでリモートワークをしています」

毎年、祭りの時期は実家に戻ってきます。離れていても薄れない地元・栗駒への特別な思いがあるからです。

早坂光生さん
「せっかく毎年帰ってきているので、最後の2週間頑張って、『市長賞』とれるように頑張りましょう!」

地区の住民
「光生にとって山車まつりってなんなの」

早坂光生さん
「毎年やっているから来ているだけで別に」

地区の住民
「四日町が好きか、よっぽど友達がいないかのどちらかだ」

ふるさとを離れ暮らす自分を『おかえり』と温かく迎えてくれる場所…。

早坂光生さん
「こうやってみんなで作ってわいわいやっているところが一番好き。地区には小さい頃からずっとお世話になっていますし、この年になっても自分の親とかが作り始めている時に、『まだ来ないの』とか言っててくれたので、来て良かったと思えるすごく温かい地域だなと思っています」

いよいよ2日間の日程で山車まつりがはじまりましたが、初日は朝から強い雨が降り続けていました。

それでも…。

地区の住民
「せーのっ、せーのっ」

力を合わせて山車を押す巡行が始まりました。

雨の中でも、この日を待ち望んだ地区の人たちが盛り上げます。

一時、雨が止むと、多くの人が山車を見に訪れました。

早坂さんたちが作った山車も雨よけが外されました。

今年のテーマは『琉球~ニライカナイ』。沖縄に伝わる理想郷、「ニライカナイ」の世界観を表現し、五穀豊穣などを願う作品です。

そして…祭りの目玉、夜間巡行が始まります。

夜の帳が下りた町に光をまとった山車が現れると、祭りは熱気を帯びます。

早坂さん、そして地区の子供たちのお囃子も町を包み込みました。

子供
「早坂さんと一緒に演奏できてよかった部分もあるし、目指さないといけない存在なのでがんばってやっていきたい」
「みんなで力を合わせて太鼓をたたいて楽しかった」

早坂光生さん
「友達も会えましたし、こうやってみんなで巡行していって楽しむことができたので良かった。こういうのを毎年ずっと、少子高齢化で子供少なくなっていますけど、続けていければ」

祭りは2日目も雨に…。

アナウンス
「山車巡行も本日は悪天候のため中止とさせていただいております」

予定されていた巡行も中止になりました。

そして、迎えた表彰式。

早坂さんたちが目標としていた『市長賞』は逃してしまいました。

祭りは終わりましたが、お囃子の音は途切れません。

最後まで全員で演奏し、全員で山車を戻します。

帰ってくる人がいて、迎える人がいる…。

山車まつりを通して300年紡がれてきた人と人とのつながりは、これからも…。

早坂光生さん
「地元の栗駒に帰ってくることで、こうやって子供たちと新しい子たちとも触れ合って、最終的に祭りで仲良くなってということもあるので、やっぱり色々な意味で帰ってくる意味があるのだなと。地区の良さを自分も継承できているのかなと思えたので、ちょっとうれしいなと思います」

子供たち
「楽しかったです!」

地区の住民
「サンサン七拍子~~そ~れっ」
「パンパンパン、はい!」
「お疲れさまでした!」

仙台放送
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