6月、長野県伊那市にオープンした古民家喫茶は、障害がある人や心身が不調な人の就労を支援する事業所でもあります。その人の特技を生かしてもらい、癒やしの看板犬もスタッフの力になっています。

■古民家喫茶は”就労支援の場”

伊那市に6月オープンした「古民家喫茶DeCo」。

築100年以上の家に洋風のアンティーク家具がなじんでいます。

店のおすすめは、ハンガリーの煮込み料理「グヤーシュ」。

さらに、見た目も華やかなアフタヌーンティーセットも好評です。

実は、「DeCo」は就労継続支援B型事業所。

障害や心身の不調、生きづらさを抱える人の就労を支える場でもあります。

喫茶の厨房のほか、裁縫や手芸を行う作業場もあります。

■「得意なこと」を生かす場所

事業所を開設したのは県内の介護施設やB型事業所で働いた経験がある山崎和枝さん(52)です。(「崎」のつくりは「立」に「可」)

古民家喫茶DeCo/事業所代表・山崎和枝さん:
「皆さんがそれぞれ本当に得意なことがあって、皆さんが誰かの役に立ちたいという思いを持っているというのをずっと感じていて」

スタッフ:
「いらっしゃいませ、ご来店ありがとうございます」

スタッフの一人、芝広明さん(21)は接客の練習中。

山崎和枝さん:
「失敗してもいいから、元気で大きい声で」

この日は、来店した客の案内に挑戦しました。

スタッフ・芝広明さん:
「スリッパのままどうぞ。こちらのお席へどうぞ」

無事に案内しました。

スタッフ・芝広明さん:
「みんなにありがとうって言われるところがいいなと思います」

■「誰かの役に」手芸の作業場も

一方、手芸の作業場では、注文を受けた小物などの縫製を行います。

スタッフの一人が余り布を丁寧に裁断。

別のスタッフがミシンで縫い合わせます。

スタッフ:
「じゃーん。彼女が切ってくれたのをパッチワークのようにつなげていって」

完成すればストラップになります。

■特技を生かし「人生のやり直し」

心身に不調を抱えるこちらの女性は、子どもの頃から手芸が好きでした。

スタッフの女性(60):
「3歳、4歳、気が付いたら針と毛糸針を持っていました」

特技を生かして働けるDeCoに出会い、救われたといいます。

スタッフの女性(60):
「夢中になってやれるということが楽しくて。人生のやり直しというか…そんな感じです」


■長所を伸ばし、短所は助け合う

現在は10人が通い、調理や手芸のほか、イラストを描いて店のポップを作るなど、特技を生かしています。

出勤の頻度や時間も自身の体調や生活リズムに合わせて決められます。

山崎和枝さん:
「自分が好きなこととか、ときめくことって楽しく仕事ができると思うので、自分に自信を持っていってもらえたら」

店と事業所の名前である「DeCo」の由来は「でこぼこ」。

それぞれの長所を伸ばし、短所は助け合おうという意味を込めました。

■看板犬「かっちゃん」の支え

ここには、そんなスタッフの支えとなる存在が―。

柴犬の「かっちゃん」です。

「かっちゃん」は山崎さんの飼い犬で、店の看板犬。

長女が不登校になった時、「かっちゃん」に支えられた経験から、動物と一緒に仕事ができる場所を実現したいと考えていました。

「かっちゃん」に会うのが楽しみなスタッフも。

スタッフの女性(40):
「ここで働くなら、安心して働けそうだなと思えて。すごく元気をもらう存在ですね」
「いつもありがとね、かっちゃん」

女性は犬用のスタイやメモスタンドなどを手作り。商品化を目指しています。

スタッフの女性(40):
「自分でいろいろ試行錯誤するのも楽しくて、(仕事が)役に立ってるって思うと、うれしいですし」

■働く人も客も「心地よい場所に」

山崎さんの飼い犬、チワワの「ラスク」や「エクレア」も、順番で店に「出勤」しています。

山崎和枝さん:
「ワンちゃんがいるから体調が悪いけど行ってみようかな、とか動機にもなるし、何も言わないで寄り添ってくれるというのは、すごいなと思います」

喫茶店は犬の同伴もOKです。

客も、働く人にとっても心地よい場所になればと考えています。

古民家喫茶DeCo/事業所代表・山崎和枝さん:
「福祉とか関係なくいろんなお客さまに来ていただいて、お互いの良さを認め合ったり、得意なことを伸ばしていけるような支援ができれば」

長野放送
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