夏の甲子園への切符を懸けた男子の熱戦がピークを迎える7月中旬。南部商業高校の女子硬式野球部が兵庫県で開幕する女子高校野球全国大会に沖縄県代表として挑む。県内では唯一の女子硬式野球部の部員は16名で、小規模チームながら彼女たちは「女子野球を盛り上げたい」という一心で白球を追いかけている。

楽しく笑顔でプレーすることで出る「女子野球らしさ」

この記事の画像(10枚)

チームの主軸を担うのは、経験豊富な3年生たち。1番打者として攻撃を牽引する強打者の城間心彩さんは、大会への意気込みを以下のように語る。

「まずは初戦勝てるように。1年生が声を出して、3年生もチームを引っ張れるような意識も上がってきていて、雰囲気はどんどん良くなってきています。私は1番バッターなので、先頭打者として自分から積極的に塁に出られるような打撃をすることが目標です」

一方、守備の要でありエースを務める外間華琉(はる)さんは、自身のスタイルを冷静に分析している。

「自分の強みはコントロールと変化球で、打ち取るピッチングです。チームとしては一つになるような声掛け、みんなで一球大事にすることを意識しています」

攻守の要である2人は小学生から野球に親しんできたが、実は部員16名のうち14名は中学時代にバスケットボールやソフトテニスなど異なる競技に取り組んできていた。それでも、互いを認め合う風土がチームを動かす。

「みんなが仲いいから毎日楽しく取り組めています」「自分たちの流れが来て良い雰囲気ができたときに女子野球らしさ、楽しさが出る。そこが楽しい」と選手たちが口をそろえる通り、多様なバックグラウンドを経ていても、一体感は抜群。

指揮を執る外間亮太監督も、この明るさこそがチームの真骨頂だと捉えている。

「笑顔が頻繁に見られて、そこは男子にないもの。グラウンドの中でも笑顔で取り組めていることで、そのポジティブさが野球の技術にも繋がっていると感じます。みんな話を真剣に聞くんですよね。しっかり目を見て。野球が大好きなんだというのは伝わってきますし、素直に受け入れてプレーしようという気持ちを感じています」

選手と監督として、親と子として歩んだ10年

チームを率いる外間監督とエースの華琉さんは、実の親子でもある。小学1年生の時、父が監督を務めるチームで野球を始めた。華琉さんにとって、今回が高校最後の全国大会となる。

「(父の話は)聞きやすいし、自分の中では一番分かりやすく教えてくれる。やりやすいです」
父であり監督である存在への信頼を明かす娘に対し、指揮官として、そして親としての視点から外間監督は評価と課題を口にする。

「華琉の良いところは負けん気が強いことと、周りが見えるところ。悪いところは周りが見えているはずなのに、そこに対して言葉で声かけができない。自分の中で解決しようとしている。その辺はちゃんと周りに伝えた方がチームが丸くなる」

指導者として、一番の理解者として支え続けてくれた父とともに歩んだ10年間。華琉さんはその思いを胸に全国へ挑む。

「お父さんは今までずっとサポートしてくれた。自分のプレーで感謝を伝えられるようにしたいです」

沖縄女子野球の未来への思いを込めて

2025年の夏、沖縄尚学が甲子園で優勝を果たした快挙は、彼女たちにとっても大きな刺激となった。

「(沖尚のプレーを見ていて)野球に対しての意識の高さを感じました。自分もその後の練習から、よりちゃんと意識を持たなくては思えるようになりました」

城間さんがそう振り返るように、同郷の先輩たちの活躍する姿は希望の光となっている。地域の人たちからも温かい支援が届き、彼女たちは初戦突破を目指す。
外間監督は沖縄の女子野球の現状についてこう語る。

「沖縄は女子野球人口が増えていると感じています。今後の沖縄の野球界においては、女子野球の底上げが重要だと思っています。女子野球を盛り上げて『沖尚に続け』という気運を高められれば」

城間さんも女子野球の「これから」を視野に入れてプレーに臨んでいる。

「女子野球も負けてられない。自分たちが南部商業女子野球部の知名度を上げて、後輩たちがどんどん入ってきて『沖縄の女子野球はすごい』というのを発信できるように。自分たちが頑張りたい」

そしてエース・華琉さんは、自身の集大成となる大会に向けて静かに覚悟を固めている。

「今回が最後なので、自分のやってきたことを出し切って全力プレーでやりきる気持ちで戦いたいです」

一球に青春を懸ける球児たちの姿は、地域の未来と女子野球の新たな展開を照らし出している。

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。