2026年7月22日、北海道の十勝岳でごく小規模な噴火が発生しました。
十勝岳が噴火をするのは22年ぶりです。
麓に位置する上富良野町では、最も大きな被害を出した100年前の十勝岳噴火の被害と復興を描いた人気小説家・三浦綾子さんの小説『泥流地帯』の映画化プロジェクトが新たな局面をみせています。
プロジェクト始動10年目となる2026年7月、ついに映画の制作が始まりました。
上富良野町が映画化を目指しているのは、町が舞台となった小説『泥流地帯』。
1926年5月24日に144人もの死者・行方不明者を出した十勝岳の噴火を題材にした、北海道旭川市出身の人気小説家・三浦綾子さんの作品です。
100年前に起こった十勝岳の噴火は、町に甚大な被害をもたらしました。
噴火によって山に積もっていた雪が解けて「融雪型火山泥流」が発生。
最大時速100キロの猛烈なスピードで、津波のように田畑を飲み込みました。
一瞬のうちに町は泥の海となり、壊滅状態となりました。
町が『泥流地帯』の映画化を目指したのは、2017年4月。
プロジェクト始動から10年目となる2026年、映画の製作委員会が発足し、7月23日には、町と製作委員会が連携協定を結びました。
ついに、映画の制作が始まったのです。
町によりますと、製作委員会は今後2年をめどに映画を公開させることを目標にしているということです。
映画化プロジェクトの先頭に立って奮闘してきたのは、上富良野町出身で自身も祖父から泥流の話を聞いた経験がある浦島啓司さん(上富良野町役場 商工観光課長)です。
大災害の歴史を後世に伝えたいと制作会社などを探したり、制作費として2億円を集めようと資金集めに奔走したりしてきました。
いよいよ映画の制作が本格化することについて、浦島さんは、「ようやく制作が始まった。一つの壁を乗り越えた達成感を覚えている。町民とファンの皆さんに心配をかけていたので、報告できたこと、安心してもらえることが嬉しい」と喜びを噛みしめます。
映画制作の道のりは苦難の連続でした。
提携を結んだ制作会社の事業撤退や倒産が相次ぎ、2度の白紙を経験しました。
矢面に立たされてきた浦島さんは当時を振り返り「映画の制作経験がないので、相当な年数がかかると最初から漠然と想像していた。けれど、1回目、2回目と白紙になった時はショックだった。周囲の風当たりも強くなるし、作品にそれが向いていくと困ると思った。制作が始まることが決まって、今になって2度の白紙が『それも糧だった』とようやく言える」と話します。
浦島さんが映画化を諦めなかったのは、100年前の上富良野の人々が、人力で流木や岩を取り除き、8年かけて復興を成し遂げた歴史があるからです。
小説でも、泥流で家族や田畑を失った町の人々が、土地を捨てず復興を志す不屈の精神が描かれています。
浦島さんを筆頭に町が取り組んできた資金集めは、これまでに目標の半分に当たる約1億円が集まりました。
町は、多くの町民が制作に参加できるようにして、少しでもクオリティをあげられるようにサポートしていきたいとしています。
