岡山市が進めている新しいアリーナの整備事業について、7月、市民団体が建設の賛否を問う住民投票の実施を求めて直接請求の手続きを行いました。実施されれば岡山市では初めてとなる住民投票。これまでの動きをまとめました。

◆「新アリーナ」建設はスポーツだけでなく…ダンサーやラッパーなどもモチベーションの向上に

毎年、岡山市内で行われている「オカヤマストリートフェスティバル」ダンサーやラッパーなど多くのアーティストが集う屋外イベントです。

(ラッパー 脱兎さん)
「自分たちの本心はアリーナの建設は賛成、そこは揺るがない」

(ダンサー HIMEさん)
「(岡山に)アーティストを呼んでもらえばバックダンサーとして活動できたり、刺激になる、目標としてアリーナがあれば頑張れる」

参加したアーティストたちは、新しいアリーナの建設を心待ちにしています。彼らの写真を撮るカメラマンで、イベントの実行委員長を務める斎藤将希さんも新アリーナの建設に賛成しています。

(オカヤマストリートフェスティバル 齋藤将希実行委員長)
「音問題や設営が大変で、地域の人に認めてもらうためにもちゃんとした形、アリーナの中で音楽をして、地域に根付くようにしたい」

◆「アリーナを否定しているのではない」市民団体はなぜ建設の賛否を問うのか

岡山市は2024年、北区野田の市有地に、新しいアリーナの建設計画を発表しました。2025年11月には事業化が決定し、市議会で関連予算も可決されました。2026年度は、運営事業者の選定準備などが進められています。

新アリーナの建設は、地元のプロスポーツチームや経済界の要望を受けたもので、最大収容人数は1万人、建設費は、約280億円が見込まれています。

(新アリーナ建設の賛否を問う住民投票を実現させる会 浦上雅彦会長)
「アリーナを否定しているのではなく、進め方、順序、合意形成そして維持管理。それらに疑問が残る」

◆市民団体が建設賛否を問う住民投票を目指し署名活動 有効数2万1009人分→直接請求へ

アリーナ建設の動きに対し、26年1月、岡山市の市民団体が建設の賛否を問う住民投票を目指し、署名活動を行うと発表。約2カ月で、住民投票の条例制定を求める手続きに必要な1万1463人分を上回る2万2000人以上の署名を集め、市に提出しました。そして、7月9日、署名の有効数が2万1009人分と確定し、直接請求の手続きを行いました。

◆住民投票の実施を求める「直接請求」とは・・・

そもそも住民投票の実施を求める直接請求とはどのようなものなのでしょうか?地方政治に詳しい、岡山大学の岩淵泰准教授に聞きました。

(地方政治が専門 岡山大学 岩淵泰准教授)
「住民参加の大切な制度で市民の声を直接表すことができる。議会や行政、市民との間の意見のずれが起きた時に制度を使うことが多い」

◆住民投票の直接請求を岡山市が受理すると、どうなるの?

直接請求を受けた岡山市は、請求が受理された翌日から20日以内に条例の可否について決める臨時議会を開かなければいけません。

議会で可決されれば誰が投票するのかや成立条件などを規定し条例を制定。そして、条例に基づき住民投票が行われますが、その結果に法的拘束力はありません。

(岡山大学 岩淵泰准教授)
「1996年から2017年まで約450実施されているが、9割は失敗(議会で否決)に終わっているという調査がある」

◆岡山・香川での住民投票の直接請求 過去には・・・

総務省によりますと、2007年度以降岡山県では、笠岡市、備前市、玉野市、久米南町で、香川県では東かがわ市で住民投票実施に向けた直接請求が行われましたが、いずれも議会で否決されています。

(新アリーナ建設の賛否を問う住民投票を実現させる会 浦上雅彦会長)
「自分たちのまちは自分たちの意思で決める住民自治の精神を取り戻す、岡山市民の誇りを取り戻す機運はすでに高まったので、住民投票の結果いかんによらず、その意義はあった」

◆岡山市・大森雅夫市長「住民がひとつの案件として投票するのが適正かというと、私はどうかなと」

一方、岡山市の大森雅夫市長は、住民投票の条例制定について否定的な考えを示しています。

(岡山市 大森雅夫市長)
「二元代表制は適正に機能していると思っている。直接請求をして住民がひとつの案件として投票するのが適正かというと、私はどうかなと」

大森市長は、新アリーナの建設は適正な手続きを経て進められているとして、住民投票の条例制定は「必要がないもの」と意見を添えることも明らかにしています。

◆議会での採決の行方は・・・

現在、岡山市議会議員は、全員で46人。23人を抱える最大会派・自民党岡山市議会は・・。

(自民党岡山市議会 宮武博会長)
「23人は議案に対しては否決(反対)」

このほか、OHKの取材に対し態度を明らかにしたのは4つの会派の9人で、いずれも住民投票の条例制定に賛成を表明してます。
【賛成4人・共産党岡山市議団】
【賛成3人・みらいえ】
【賛成1人・おかやま未来プロジェクト】
【賛成1人・日本維新の会 岡山市議団】

残る3つの会派の14人は、検討中としました。
【検討中8人・公明党岡山市議団】
【検討中4人・おかやま創生会】
【検討中2人・懐かしい未来】

◆専門家「集まった一筆一筆は大切な声」住民投票直接請求が市民にもたらした影響

(岡山大学 岩淵泰准教授)
「今回の活動を通じて自分ごとではなかった人が自分ごととなったのが一つの成果、署名を集めるのは大きなエネルギーが必要、集まった一筆一筆は大切な声なので、議会はこのテーマについて一生懸命真摯(しんし)に議論してほしい」

議員の賛否が分かれる中、住民投票実施の行方は…採決は、7月28日に行われる予定です。

岡山放送
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