23日午後4時ごろにドローンで撮影した千葉県北部に位置する印旛沼の様子を見てみると、堤防2カ所が決壊し、茶色く濁った水が流れ込み、大きな被害が出ているのが確認できます。
台風が過ぎ去った後に起きた堤防の決壊。
なぜ、大雨のピークが過ぎた後に新たな災害が起きたんでしょうか。
台風25号が去ってから2日、影響が長期化している地域があります。
23日に上空からカメラが捉えたのは、周りが水に囲まれ、完全に孤立状態になってしまった住宅です。
印旛沼が決壊し、大規模な冠水が発生。
茶色く濁った水が、街を広範囲にわたってのみ込みました。
千葉県の北部に位置し、北沼と西沼の2つに分かれる印旛沼。
沼を管理する独立行政法人水資源機構によりますと、決壊したのは北沼の東側など2カ所です。
印旛沼の水があふれて住宅が冠水しています。
さらに、印旛沼から街に流れ出た水が道路を分断し、白波を立てながら河川に合流する箇所もありました。
「イット!」は23日、決壊による被害を受けた成田市に向かうと、地元の消防団の方々が通行止めをしており、その先の道が完全に冠水してしまっていました。
自宅が浸水してしまったという女性は、当時の様子を「きのう朝6時くらいに、近所の方から『決壊したよ』ってことで電話があって、その頃はこっちの方も(水位は)全然だったんで、せいぜい床下くらいだろうと甘く見て。いったん息子の家に避難して帰ってきたときには、もうこっちの方まで水がいっぱいになって変わり果てた状態」と説明します。
印旛沼が決壊したことで、水かさがどんどん上昇。
22日に家族が撮影した写真には、家の中がすっかり変わり果てた様子が記録されていました。
自宅が浸水してしまったという女性:
こんなの見たことないから、まるで夢をみているような状況。
取材中も家族が排水用具を持ち、冠水した道路を自宅に向かって歩いていく様子が見られました。
住宅が浸水し、外に出られない弟がいるという男性は「なにか必要な物とかないかという話で来ている。(Q.必要な物資があったらどうする?)とりあえずここだけが冠水しているので、近くのスーパーや食品センターに買い物行って、それをここから投げる形になる、手渡しで」と話します。
外に出られない男性は「(Q.中の状況は?)座敷からリビングからもう全部(水に)潜っちゃってますね。(Q.1階には行けない?)そうですね、1階はもうぬれる感じで。だいぶ今、膝下より上の高さまで(水位が)下がってきているけど、まだたっぷり残っちゃってますね」と状況を話してくれました。
一方、決壊した箇所を見通せる場所で出会ったのは、この地域でウナギの養殖場を営む男性です。
浸水で近づけないため、今は土手の上から自分の会社を眺めることしかできない状況です。
養鰻会社「やまきね」・臼井優太郎社長:
魚の被害はなかったんですけど、機械が水没して使えない状態になってる。(被害額は)何千万とかいくんじゃないですかね。無残ですよね、絶句というか。この先片付けてまたやるっていうのはどうしたらいいか、はっきり言って頭が真っ白。
22日になって判明した印旛沼の決壊。
一体なぜ、時差災害は起きたのでしょうか。
水資源機構によりますと、2つの要因が考えられるといいます。
1つは、21日に最接近した台風25号による大雨で、印旛沼自体の水位が上昇したこと。
そして2つ目の要因は、印旛沼へつながる高崎川などの周辺の河川から水が流れ込み続けたことだといいます。
21日午後に氾濫した高崎川。
川の水は住宅街へ流れ込み、佐倉市の一部地域では一時、レベル5の緊急安全確保が発令されました。
周辺の河川からは、台風が通過した後も印旛沼へ向かって水が流れ込み続け、現在も利根川と東京湾に排水を行っていますが、排水が追い付かない状況となり、結果として堤防が決壊。
このようにして時差災害が起きたのです。
印旛沼の水位は、22日午前4時半に管理を開始して以降最高となる5.04メートルを観測。
専門家は、堤防が耐えられる水位を超えた状態が長時間続いたことが決壊につながったと指摘します。
東京理科大学・二瓶泰雄教授:
印旛沼の計画高水位(“設計上安全性を保てるとされた水位”)が4.25m。それを80cm程度上回る水位を少なくとも1日以上継続していた。大きな負荷があった。
印旛沼周辺では23日も断続的に雨が降り続いています。
今後の雨がもたらす影響について、二瓶教授は「堤防の決壊していないところも、かなりの水が染み込んでいる。これからさらに雨が降ることによって、思わぬところで堤防が壊れる可能性がある。むやみに沼の周辺に近づかないでいただけると」と語ります。
印旛沼の堤防が決壊した場所の近くに設置されたライブカメラの映像を見てみると、現在も水位が高い状態が続いています。
水資源機構によりますと、午後4時40分時点での北印旛沼の水位が4.06メートルで、この時期の水位は本来2.3メートルということですから、依然として倍近い水位になっています。
断続的に雨が降っているということで、さらなる被害の拡大が心配されます。
現在は、印旛沼の水位は少しずつ下がっているということですが、どうぞむやみに沼に近づかないようにするなど、くれぐれも警戒を続けてください。
