熱戦が展開された夏の高校野球新潟大会は決勝戦の対戦カードが決まった。準決勝第2試合では、3年連続の対戦となった新潟産大附属と帝京長岡が対戦。帝京長岡が3度目の正直で新潟産大附属を下して決勝進出を決めた。2年生中心の帝京長岡だが、勝負を決めたのは、3年生だった。
■3年生左腕の西脇が好投
一昨年の決勝、昨年のベスト4で相まみえ、初の甲子園を阻まれ続けた因縁の相手・新潟産大附属と3年連続の対戦に挑んだ帝京長岡。
マウンドには、エースの工藤ではなく、公式戦初先発となった西脇が上がった。
慣れない先発のマウンドとなった初回、二死を奪うが、そこから四球と2連打で先制点を許してしまう。
それでも「焦りは特になかった」と振り返る西脇。
130キロ前後の直球に100キロ台の変化球を淡々とコーナーに投げ込み、2回から5回まで安打を許さない。
「野手中心で打ってくれるチームなので、そこを信じて自分の役割をしっかりやるだけだった」(西脇)
■2年生エース工藤に託す
6回まで0-1と緊迫した投手戦が展開される中、帝京長岡は7回、二死2塁のチャンスを作るとベンチが動く。
打席に立ったのは代打・鳥丸(3年)。右中間へ適時二塁打を放ち、同点に追いつく。
しかしその裏、西脇が2者連続の四球を出したところで、2年生エース工藤にマウンドを譲る。
工藤に「想定より早く交代になったのでごめん」と声をかけた西脇。
その思いは工藤に届く。工藤は産大附属の好打者・五十嵐主将を打ち取り、勝ち越しを許さない。
「西脇さんには何度も助けられている。普段は自分から西脇さんに繋ぐが、きょうは西脇さんからもらったバトンを勝利に繋ぐ。前日からイメージトレーニングをしていたのでその通りのピッチングができた」と工藤。
■終盤に打線が奮起
投手陣の奮起に応えたい打線は、ここから爆発。
8回、安打と犠打で二死2塁として、この日安打を放っている3番・富田が申告敬遠。産大附属バッテリーはこの日ノーヒットの4番・川村との勝負を選択する。
「人生で初めて前の打者が申告敬遠された。ここで打たなきゃ帰れないという思いで打席に入った」と振り返る川村。
産大附属のエース石黒の直球を振り抜いた打球は右中間を破る勝ち越しの2点適時三塁打。塁上で雄たけびを上げた川村は「この大会では良い結果が出ていなかった。辛いこともたくさんあったが頑張ってきてよかったと思った」と明かす。
この川村の一打で勢いに乗り、この回、4得点を挙げた帝京長岡。9回には安打と犠打で二死2塁とすると再び4番・川村の前で申告敬遠。
ここでさらに燃えた川村は高めに浮いたボールを捉えレフトスタンドへ。
「甘く入ったボールを振った。打球が見えなくて歓声で入ったとわかった」(川村)
復活した4番が、ダメ押しの3点本塁打を放ち、試合を決めた。
■4番川村の思い
1年時に千葉県の強豪・木更津総合から転校し、春のセンバツ甲子園でようやく帝京長岡のユニフォームを着て戦った川村。
センバツで敗れた際「1回目の甲子園(1年夏)は先輩に連れて行ってもらって、2回目(3年春)は今回みんなに連れて来てもらった。絶対3回目の甲子園は自分が連れて行けるように、その気持ちは曲げずに練習を頑張って、夏勝てるように頑張る」と話していた。
この言葉通り、自らのバットで甲子園に王手をかけた。
「絶対優勝するという気持ちで挑んで、もう一回監督を甲子園に行かせられるように頑張る」
初の夏制覇へ。帝京長岡があと1勝に迫った。
