「特集」です。
深刻な人手不足が続くバス業界。
こうした課題を解決しようと、県内のバス会社が新たな取り組みに乗り出しています。
期待されるのは外国人運転手の活躍です。
運転手デビューを目指して奮闘する姿を追いました。
仲良く揃って笑顔で出社してきた2人。
インドネシア出身のサエフルさんとティエリさん。
県内初となる外国人のバス運転手です。
この春、バス会社に入社した2人。
新たな職場で意気込みを語っていました。
【サエフルさん】
「大きなバスを操る運転者の姿にあこがれです」
広島交通ではバスの運転手の高齢化が進み、若手の人材確保が課題となっています。
195人の運転手のうち20代から30代までの若手は25人。
一方、50代は86人と最も多く全体のおよそ4割を占めています…。
深刻な人材不足を解消しようと、今年4月から新たに外国人運転手の採用を決めたといいます。
【広島交通 管理部 笹井龍人 部長】
「10年くらい前から比べると2割くらい運転者が減少している。それによって路線や便数も減らしているので、沢山お客様にご迷惑おかけしている。一日でも早く独り立ちしていただいて、路線の方で活躍していただきたい」
しかし、日本でバスのハンドルを握るための道のりは楽ではありません。
日本の普通自動車免許や大型二種免許の取得に加え、社内研修なども必要で、いくつものハードルを越えなければなりません。
後日行われた講習…。
さっそく壁にぶつかります。
★外国免許切り替えのための講習
【サエフルさん】
「このあとこのあと…」
【指導官】
「タッチミラー」
【サエフルさん】
「あ、そうだ、忘れてた」
【指導官】
「要は車が動かない措置を先にとる」
【サエフルさん】
「はい。はい。わかりました」
大きな壁となったのはインドネシアと日本のルールの違い…。
【サエフルさん】
Q:何が一番難しい?
A:すべてが難しい(苦笑い)。車に入る前も入った瞬間も確認するところがたくさんありましたね。母国では走ってから確認でもいいというくらい。そういう習慣がなかなかなかったから慣れないといけないな…。
インドネシアでは工場で勤務していたというサエフルさん。
運転手としての経験がないうえに、慣れない日本での運転で実技試験は3回連続で不合格…。
思わずホンネがこぼれます。
【サエフルさん】
Q:不安とかはある?
A:すべてが不安。あはは。
一方、インドネシアでタクシードライバーとして6年ほどの経験があるティエリさん。
運転経験は十分ですが、安全基準の対応は別です。
指導員から次々と厳しい指摘が飛びます。
【指導員】
「常にペダルの上に足を置くというのはNG。必要性がないときは足はフットレスト」
【ティエリさん】
「はい」
【指導員】
「必要な時に踏む。常に手はハンドル。足はフットレスト」
【ティエリさん】
「わかりました」
【サエフルさん】
「忙しいよ。足と手が忙しいよ」
思うような運転ができず、ティエリさんも実技試験は3連続不合格。
【サエフルさん】
「試験は…。明日は4回目」
Q:これまでの3回は落ちた。
A:たぶん私のせいです。なぜかというと私は本番に弱いタイプです。
不安が残る2人。
次の日行われた4回目の実技試験の結果は?
2人は見事合格!
ようやく普通免許をとることができました!
2人はその後、2週間かけて大型二種免許を取得し、今月13日からいよいよ実際に営業で使用している路線バスを使った実践型の研修をスタートさせました。
※ティエリさん実習の様子
【広島交通 運輸課 指導人材係 千早哲哉 係長】
「横断歩道の信号をちゃんとみとけばよかったね。お客さまを倒さないようにしないといけないからね」
乗用車とは勝手が異なる大型バス。
車体が大きい分より慎重なハンドル操作が求められます。
※サエフルさん実習の様子
【広島交通 運輸課 指導人材係 千早哲哉 係長】
「中央線によらないように左の方によって、両方がスペースをあけて楽に通れるようにしましょう」
ギアチェンジがうまくいかず失速。
上り坂難しいね
【広島交通 運輸課 指導人材係 千早哲哉 係長】
「今からですね、今からだんだん上手になります」
まだまだ課題は山積みですが、年内のデビューに向けて決意を新たにします
【サエフルさん】
Q:嬉しさはありますか?
A:ありますよ。特に大型二種仮免許を取得して、やっと路上で運転できて、その時もすごく嬉しくて。大変ということはまだ慣れていないから。慣れてからは楽しくなると思うから楽しくしたい。
指導を担当している千早さん。
2人に大きな期待を寄せています。
【広島交通 運輸課 指導人材係 千早哲哉 係長】
「まだやっぱり日本の交通ルールとか交通マナーをいまから勉強していくところかなと。お客様に好かれるような運転手になってもらいたい。2人のバスに乗ってよかった、次もまた乗りたいと思ってもらえるような運転手になってもらいたい」
【ティエリさん】
「個人的にこの仕事は人間関係ですので、思いやりとやりがいの気持ちは大事だと思う」
【サエフルさん】
「安全、それから快適、信頼される存在になりたいと思っている」
人手不足に悩むバス業界で、新たな担い手として期待がかかるサエフルさんとティエリさん。
日本でバス運転手として活躍する日を目指し、2人は今、着実に歩みを進めています。
