いま、人気を集めている「船旅」。

コロナ禍で失った乗客を取り戻すべく、船の業界では新たなプロジェクトも動き出しています。

関西テレビ「newsランナー」では、関西と九州を結ぶフェリー「さんふらわあ」に密着。

単なる移動手段ではなく、”動くホテル”とも呼ばれるその船内で、乗客と乗組員それぞれのリアルな姿を追いました。

■「2030年に100万人」国が掲げるクルーズ振興の目標

国土交通省のデータによると、クルーズを利用する日本人は現在、年間およそ24万人。

それに対して、「2030年には100万人」という目標が国として掲げられているといいます。

【国土交通省 大石貴文さん】「新しい船も増えてきておりますし、超大型船も入ってきますので、供給量も増えております。非常に熱い業界だと思っています」

本当に“船業界”は盛り上がっているのでしょうか?その実態を探ります。

■全長200メートル、大阪〜志布志を15時間で結ぶ「さんふらわあ さつま」

クルーズよりも手軽に楽しめるフェリー「さんふらわあ」。大阪と鹿児島の志布志をおよそ15時間かけてつなぐ「さんふらわあ さつま」に乗り込みました。

全長およそ200メートルの船内は、2階から5階がおよそ260台の車を停められる駐車場スペース。

6階から8階が客室エリアとなっており、およそ200室の部屋が並びます。

客室は大部屋から個室まで10種類ほど。定員は639人です。

仕切りカーテンで個人スペースを確保できる「ツーリスト」はお手頃な料金です。(大人1人・1万1850円~)

海が見える窓付きの「デラックス」は洋室(大人1人・2万5400円~)と和室(大人1人・2万8400円~)から選べます。

さらに、ペットと一緒に泊まれる「デラックスウィズペット」という部屋まであり、船内にはドッグランも完備。(大人1人・2万5400円~。一部屋につき、別途利用料金が必要)

そして最上級の「スイート」は、窓を開ければそのまま専用バルコニーへ出られるという贅沢な造りです。(大人1人・3万1400円~)

■展望大浴場、ビュッフェ、プロジェクションマッピング 船内施設の充実ぶり

船内施設の充実ぶりも見逃せません。

海を眺めながら食事が楽しめるレストランでは、きれいに盛り付けられたお刺身、大分の郷土料理「りゅうきゅう」、北九州名物の「焼きしょうゆうどん」など、九州の郷土料理を中心にビュッフェ形式でおよそ30種類のメニューが楽しめます。

海を眺めながらくつろげる展望大浴場もあり、最上階の展望デッキでは風を感じながら大海原の絶景を満喫できます。

■船内で巨大なプロジェクションマッピングも楽しめる

消灯時間が近づくと、船内に少し変わった演出が始まります。

突然フロアの明かりが消えると、天井に巨大なプロジェクションマッピングが映し出されるのです。

国内フェリーでは初めての導入だという演出に、乗客たちは思わず「すごかった」と声を漏らしていました。

■「わずか7人」ほどで定員639人をの船旅を支えるアテンダントクルーの仕事

快適な船旅を影で支えているのが、「アテンダントクルー」と呼ばれる乗組員です。

定員639人の船を担当するアテンダントクルーは、なんと1便にわずか7人ほど。

客室の清掃・準備から受付業務、自販機のドリンク補充、さらにはフロアの水漏れ対応まで、客室に関わる全ての業務をこの少人数でこなしています。

乗務スケジュールは「約10日間船で勤務し、約5日間まとめて休暇」するそうです。

(Q:きょう何曜日とか忘れない?)
【アテンダントクルー・横山さん】「忘れちゃうかなって思いますけど、金曜日がカレーの日になっていて」

曜日感覚を忘れない工夫もされているようです。

■厨房スタッフはわずか2人だけ 人数が少ない理由は「逃げ場の確保」

厨房スタッフは、2人だけで30種類もの料理を作り上げています。

人数が少ない理由には、船上ならではの安全上の理由があります。揺れる船で油や刃物を使う調理中に万が一の事態が起きた場合、逃げ場を確保できるよう、広い厨房をあえて少人数で使っているのです。

レストランにはいたるところに工夫が見られます。テーブルには揺れても物が落ちにくいよう滑り止めシートが敷かれ、お皿は割れないプラスチック製のものが使われていました。

■コロナ禍で激減した乗客 乗客が”わずか7人”になったことも

2025年度、「さんふらわあ」は誕生から54年で過去最高の旅客数を記録しました。

しかし、その歩みは順風満帆ではありませんでした。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、船に対するイメージが悪化。風評被害もあり、乗客数は激減しました。

【“さんふらわあ”マネージャー 和田さん】「少ないときは、数名のお客さましかご乗船いただいておりませんでした。船内が静かで寂しかったですね」

ひどいときには、乗組員の数よりも乗客が少なく、わずか7人という日もあったといいます。

「コロナの収束を待つしかない」そう言い聞かせながら、乗組員たちは嵐が過ぎるのをじっと待ち続けました。

■同業他社が手を組んだ「日本一周ツアー」で業界が動き出す

コロナ禍で失った乗客を取り戻すべく、今、船業界では新たなプロジェクトが動き出しています。

阪急交通社と4社のフェリー会社がコラボして企画した”日本一周ツアー”です。

10日間で4つのフェリーを乗り継ぎ、日本各地を巡るこのツアーには、シニア層を中心に多くの参加者が集まっています。

【日本一周ツアーに参加】「クルーズ船だったらパスポートが必要じゃないですか。これはパスポートなしだから、気楽に」

【日本一周ツアーに参加】「ゆったり旅だから、全然疲れないの。10日間のゆったり旅だよ」

参加者たちはそう口をそろえます。

同業他社が手を取り合って業界を盛り上げようとする、その姿勢が「過去最高の旅客数」という結果につながっているのかもしれません。

(関西テレビ「newsランナー」2026年7月14日放送)

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