負債額は1150億円以上。先週、大阪市に本社を置き、クレジットカードの決済代行を手掛ける「全東信」が破産した。
ことし最大規模という破産により、影響が広がっている。
クレジットカードが使えなくなったバーラウンジのオーナーは「カード使えない間は、使えるときより客単価低くなると覚悟している」と語った。
また全東信の債権者の1つである金融機関の社員は「破綻は読めなかった」と語り、経営には問題ないものの「預金の解約が増えている」として自社への信用に影響が出ていることを明かした。
■「ことし最大規模の破産」
大阪市中央区に本社を置く、クレジットカードの決済代行会社「全東信」が7月6日、大阪地裁から破産手続きの開始決定を受けた。
負債総額はおよそ1151億円。
民間の調査会社によると、これはことし最大規模の破産だということだ。
全東信の本社ビルには破産を知らせる張り紙が貼られ、関西テレビの記者が訪ねた営業所のポストには郵便物が溜まったままになっていた。

■「資金繰り余裕ない個人店に重宝」サービスの仕組み
全東信には、飲食業を中心におよそ20万の店舗が加盟していた(2018年時点)。
大阪・北新地のバーラウンジ「蓮」のオーナー・山形明日香さんもその1人で、先週突然、クレジットカード決済ができなくなっていた。
山形さん:カード使えない間は、使えるときより客単価低くなると覚悟している。
通常、クレジットカード決済の売上がカード会社から店に入金されるまでには数週間かかる。全東信はその売上を最短5日で立て替え、代わりに手数料を受け取るサービスを提供していた。
資金繰りに余裕のない個人経営の店にとって、この仕組みは大きな助けとなっていた。
山形さんは「逆に(全東信を)挟んでる方が安心だった。(北新地の店の)7割ぐらいは全東信だったのでは」と振り返る。

■53億円が未入金 2万件以上が被害に
破産の影響は支払い停止にとどまらない。
破産管財人によると、7月以降に入金されていないケースが2万件以上あり、その総額は53億円にのぼる。
山形さんの店でも「(未入金は)100万円はいかないけど、それに近しいくらい」が未回収のままだという。
事態を受け、政府も動き出した。
赤沢亮正経産産業大臣は「事業継続に影響が出ないよう、少しでも不安がないように万全を期してまいりたい」とコメント。
7月10日からは国内378カ所に相談窓口が設けられ、支援が始まっている。

■破産申立書が明かした実態「少なくとも20年前から粉飾」
なぜこのような破産が起きたのか。
破産申立書には衝撃的な記述があった。「少なくとも20年前から630億円にのぼる決算の粉飾を行っていた」というのだ。
目的は、財政状況が悪化するなかでも金融機関からの借り入れを継続することだった。
全東信は全国60以上の金融機関から融資を受けていて、大阪市の近畿産業信用組合は最多のおよそ124億円が回収不能と発表している。

■金融機関「経営破綻まで読めなかった」
2024年には社員の逮捕事案が発生し、業界内では信用不安も広がっていた。それでも融資が続いたのはなぜなのだろうか。
債権者の一つである金融機関の社員は、関西テレビの取材にこう語った。
債権者の金融機関社員:業界では名の知れた取引先だったので、優良な会社なんだという認識はありました。各金融機関が徐々に貸し出しを減らしていたと思うが、経営破綻になるまでというところは読めなかったのかな。
経営に影響はないとしながらも、顧客には不安が広がっていると話す。
債権者の金融機関社員:預金者の方々が預金を解約するという動きが増えた。今まで積み重ねてきたものが、一瞬で吹っ飛んだという感じではある。

■”異変”を感じ取り難を逃れた美容院
一方、破産前に取引を解約し、被害を免れた店もある。
心斎橋に店を構える美容院「RITA Hairs」のオーナーは、15年間続けてきた全東信との取引をことし5月に解約していた。
きっかけは全東信の営業担当からの一言だった。
RITA Hairsオーナー:めずらしく連絡きて『手数料上がるんです』、『申し訳ないので変えてもらっても…』みたいな話になって。
それまでとは明らかに対応が異なると感じ、すぐに別の決済代行会社に切り替えたという。
RITA Hairsオーナー:『なんか対応おかしいな』みたいな感じになって。変えてもいいんやったら変えてしまおうと思って、すぐに動いたので難を逃れた。
その後、オーナーが当時の営業担当に電話をかけてもらうと、「お留守番サービスに接続します」というアナウンスが流れるであった。

■「連鎖倒産が懸念される」
債権者たちは未入金の売上を回収することはできるのだろうか。
帝国データバンク 内藤修課長:ほとんど回収は見込めないと思います。一般の取引先、飲食店等は数%もらえれば御の字という弁済しか見込めない。連鎖的な倒産が相次ぐというような事態が、今後も懸念されます。
今回の大規模倒産、影響はどこまで広がるのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月15日放送)


