大阪・梅田のドン・キホーテで、“ドンキ公認”の路上ライブができる小さなステージがあります。

予約さえすれば、オーディションも、出演料もなし。誰でも立つことができる、小さくて熱い路上ライブの舞台です。

メジャーデビューを目指して、ステージに立つ人たちの夢を追いました。

■「ドンキストリート」どんな場所?

ドン・キホーテ梅田本店の1階入口には、毎晩のように歓声と音楽があふれています。

「ドンキストリート」と呼ばれるこのステージは、店の敷地内に設けられた路上ライブスペースです。

近隣の商業施設と音量などについて話し合いを重ね、実現しました。

取り締まりが強化される中で路上ライブができる場所が減っている昨今、ここは貴重な「公認の場」として注目を集めています。

■「ここは今、何者でもない人が何者かになっていく場所」

「ドンキストリート」を生み出したのは、ドン・キホーテ梅田本店の副店長・竹田徹さんです。

きっかけはコロナ禍でした。

【ドン・キホーテ梅田本店・竹田徹副店長】「(始まった)当時は(コロナ禍で)ライブハウスが悪みたいな風潮があり、路上だったらできるんじゃないかということで、ここにスペースがあったのでやってみましょうかというのがきっかけです」

ただ、その背景には、もう一つの思いもありました。

【ドン・キホーテ梅田本店・竹田徹副店長】「梅田のドンキに行くと“いつでも何かやってる”というワクワク感を提供したいという考えもありました」

実は竹田さん自身も、かつてはモノマネやコントなど、人前に立って表現する側にいました。

子どもの誕生などをきっかけにドン・キホーテで働き始め、今はステージを支える立場に。

【ドン・キホーテ梅田本店・竹田徹副店長】「年も年ですし、夢を諦めたという言い方が合うんですかね。夢を持って頑張っている人を応援したいという気持ちはありますね。ここは今、何者でもない人が何者かになっていく場所かなと思っています」

■車椅子でも“フラットに立てる”この場所が「ありがたい」

シンガーソングライターのおりせらふさん。

生まれつき骨の障害があるおりせらふさんは、生活の中で感じる思いを歌にしています。

【おりせらふさん】「車いすなのでライブハウスは階段しかなかったり。こうやってフラットでバリアがなく歌えることが、すごく貴重でありがたい場所」

夢は、メジャーデビューして音楽を通じて差別や偏見をなくすこと。

「ドンキストリート」は、その夢への一歩の場所になっています。

■中学の同級生3人で結成 多い時は月に3回ステージに

「ドンキストリート」が始まって5年が経ちましたが、ここからメジャーになるという夢をつかんだ人はまだいません。

そんな中、去年現れたのが高校1年生の3ピースバンド、「デビューまでスラストンズ」です。

中学の同級生3人で結成し、去年春ごろから多い時は月に3回このステージに立ちます。

【デビューまでスラストンズ・Ba/Vo大和空さん】「公園でいざやろうというときに止められたり、人が集まったのに止められたり、悔しいことは多いですね」

「ドンキストリート」は、そんな彼らにとっての「居場所」になっています。

■SNSでバズり、ライブハウスに300人超集客

「ドンキストリート」での演奏がSNSで話題になり、バンドへの注目は集まってきました。

【デビューまでスラストンズ・Ba/Vo大和空さん】「いろんな人にSNSで取り上げてもらって、ちょっとバズったりとかで、僕たちが勝手に話題になっていくみたいなのはドンキならでは」

今年3月には、「ドンキストリート」で集めたお金でライブハウスを貸し切り、300人以上の観客を集めるまでになりました。

さらに、大手レコード会社からも声がかかるように。

加えて、10代のバンドコンテストとして最大級と言われるオーディション「閃光ライオット」への出場権も手にしました。

【デビューまでスラストンズ・Ba/Vo大和空さん】「10代のバンドコンテストという類の中では一番デカい。お笑いでいう「M-1」に出るような感じ。優勝したら100万(円)ですよ」

■ファイナル出場をかけたステージ 結果は「不合格」

2回の審査をクリアし、ファイナル出場をかけたステージへ。

「日本のロックの未来、スラストンズだぜ!」そんな口上とともに、演奏が始まりました。

ステージを終えると、思わぬ再会が待っていました。

なんと、竹田副店長がこっそり見に来ていたのです。

【ドン・キホーテ梅田本店・竹田徹副店長】「『あのライブに行ってたんや』って何年か先に言うんじゃないかな、というライブを見せてもらった。褒めすぎかな」

しかし、オーディションの結果は“不合格”でした。

【デビューまでスラストンズ・Ba/Vo大和空さん】「上には上がいるというか、無力さというか、俺らちっぽけやなと感じました。まだまだ頑張っていこうと」

まだ何者でもない人が、何者かになるための場所「ドンキストリート」。

きょうも梅田の路上で音楽は鳴り続けています。

(関西テレビ「newsランナー」2026年7月15日放送)

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