「正直、退屈ですよ」
では、めでたしめでたし…かというと、佐々木さんの答えは、意外なほど率直だった。
「ここでの暮らしは、退屈に感じられることもたくさんありますよ。越してきた当初、静養するにはちょうどよかったのですが、元気になった現在は、東京のような刺激がなくて寂しい気持ちもあります」
気軽に飲みに行ける環境も、お気に入りの古着屋もない。だから、ここでしかできないことを探す。馬、狩猟。庭での夕食、畑仕事。来年はピザ窯も作る予定。「退屈」な日々を充実させるための、工夫をしている。
そんな佐々木さんの語る十勝の生活と東京暮らしとの違いとは「用意された選択肢の多さ」だという。
「東京は無限に選択肢があります。友人の話を聞くと、子どもをインターナショナルスクールに入れたとか、海外留学させたとか。すごいなと感心しつつ、私がそのなかに居たら苦しくなりそうだとも思います。物理的に離れている今は、心が乱されることはないですけど」
何でも選べる東京。常に魅力的な選択肢が提示され、憧れを焚きつけられる東京。ただし選択をし続けるためには、豊富なリソースが必要になる。
「体力的にも、これからずっとアッパーではいられない。貯金もできない。あのままずっと東京にいたら…生活が続かなかったと思います」
刺激的だが、消耗する東京。刺激が少なく「退屈」に感じられることもあるが、マイペースで暮らしを続けられる十勝。佐々木さんが選んだのは後者だった。
42平米を使い倒す 暮らしの工夫ベスト3
広大な農地の中にぽつんと建てた平屋。そんな家を住みこなす佐々木ののかさんの工夫は?

