「私の体調が良くなってきたタイミングで、猫の具合が悪くなって。みいちゃんがいなくなったら生きていけない、と本気で思いました」

愛猫の介護の日々のなかで、自分を支えてくれる存在を探した。新たに猫を2匹迎えるのと同時に、銀座のエルメスギャラリーで見たシャルロット・デュマによる馬の映像を思い出す。映像では、与那国島で暮らす少女と与那国馬の親密な関係性が描かれていた。「馬と暮らしたら楽しいんじゃないか」。みいちゃんの死からわずか2週間後、愛馬「ペリート」を迎えた。

馬のペリートと暮らすために、家を建てた
馬のペリートと暮らすために、家を建てた

「まだ家の話も出てない時に、馬を買っちゃって。そこから、馬を迎える家が必要になったという順番でした。はじめは、地元北海道に戻ったのは一時的なもので、いずれ体調が回復したら東京に戻ろうと思っていたのに、思いがけずこの土地に家を建てることになりました」

家より先に、馬。祖母が残した土地を父から譲り受け、馬と暮らすための家を建てた。譲り受けた土地はテニスコート約8.5面分ほどと広大だが、敷地内にはその2~3倍以上の大きさの農地もあるという。

住宅のローンの返済期間を少し長めにして月々の支払いを抑えた。馬の譲渡費用の一般的な相場は60~70万円程度だが、オーナーさんのご厚意で、かなり良心的な価格で譲ってもらったという。

「当時は本当に必死で、人生における大切な決断を勢いで決めてしまいました。今となっては、もっといろんな人に相談すればよかったと思っています(笑)」

美容代を「馬と猫」に全振りした

北海道では、お気に入りの美容室にもネイルサロンにも出会えず、自然と足が遠のいた。

「美容関係の出費をやめて、それを猫と馬のご飯代にまわしたら、ちょうどネイルと髪にかけていたぶんくらいの出費で収まりました。あとは自炊するようになって、お金が貯まるようにもなりました。1回貯め始めたら、お金を貯めるってこんなに安心するんだって感じて。保険を見直そうとか、NISAを始めようとか、自分で調べ始めたんです」

現在飼っている猫は2匹
現在飼っている猫は2匹

コロナ禍の移住で取材はリモート中心になり、移動時間が消えた。パソコンを閉じれば、東京とは全く違う景色が広がり、気持ちの切り替えも早くなった。ライティングスキルを買われた企業からの依頼が増えて、仕事の質が変わった。

「結果的に現在の収入は、東京時代の1.5倍ほどになりました」