京都市内の桂川駅周辺を通る「桂川案」で決着した北陸新幹線の大阪延伸。「京都の水と伝統を守るため反対」と声を上げた仏教会、2兆円超から膨らみ続ける建設費、そして連立政権の組み替えによる大転換—。10年にわたって二転三転した議論は、今月15日の与党整備委員会でようやく終止符を打った。

「小浜・京都ルート」で決まったはずが…
2016年12月、当時の自民・公明の連立与党は、敦賀から新大阪を結ぶルートとして「小浜・京都ルート」を正式決定した。福井県の小浜市付近を経由し、京都市内の地下にトンネルを掘って大阪へ向かうルートである。

しかし決定直後から反発の声は大きかった。京都市内の地下をトンネルが貫く計画に対し、市民や仏教会が地下水への影響を強く懸念。僧侶たちは「京都の水と伝統を守るため北陸新幹線延伸計画反対」と訴え続けた。


さらに財政面でも問題が浮上した。当初2兆1000億円とされていた建設費が大幅に膨らむ見通しとなり、沿線自治体の財政負担が深刻な課題として浮かび上がった。ついに去年6月、京都市議会は「小浜・京都ルート」への反対を表明する決議案を可決。決定から約9年が経過してもなお、敦賀以西の区間は着工に至らないままでいた。

新たな連立政権が「転機」に 8ルート再検証
膠着した状況を動かしたのは、去年10月に発足した自民党と日本維新の会による新たな連立政権だった。
維新の前原誠司衆院議員は「小浜市付近を通ることが50年前の閣議決定にしばられている。閣議決定を見直していく」と主張し、敦賀以西のルートについて小浜・京都ルートを含む8案の再検証を要求した。
維新が提示した8案は以下の通りだ。

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小浜市を経由する「小浜・京都ルート」
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滋賀県米原市で東海道新幹線に乗り換える案と乗り入れる案(2案)
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琵琶湖西側の湖西ルートで新線を設ける案と在来線を活用する案(2案)
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小浜から舞鶴を経由して京都市内を通る案と、亀岡市を経由して京都市内を通らない案(2案)
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小浜から亀岡を経由して京都を通らず大阪へ向かう案

国土交通省が示した「費用対効果」の試算では、敦賀から新大阪間だけの評価では米原ルートが最も高い数値を示した。一方、東京から新大阪までの全線が開業した場合の評価では、小浜・京都ルートが最も高くなるという結果が出た。
沿線自治体はそれぞれの思惑
先月末から今月上旬にかけ、与党整備委員会は沿線自治体へのヒアリングを実施した。各自治体の立場は微妙に異なった。

京都市の松井孝治市長は「我々は誘致していない。ということを申し上げた上で、いまの状況でそろばんをはじいても受け入れられると簡単には申せない」と慎重な姿勢を崩さず、地下水・交通渋滞・文化的歴史的建造物への影響・財政負担など「5つの懸念」を挙げ、沿線自治体の財政負担軽減を強く求めた。

一方、大阪府の吉村知事は「1日も早い全線開業を実現すべきという考え方」と述べ、「小浜・京都ルート」か「米原ルート」のいずれかによる早期全線開業を求めた。
自民・維新が一致した「桂川案」に決定


今月10日に開かれた与党整備委員会では、両党の支持する案がほぼ絞り込まれた。自民党は、京都駅地下に南北方向の駅を設置する「南北案」と、京都駅の西およそ5キロに位置する桂川駅付近の地下に駅を設ける「桂川案」の2案を支持。維新は「桂川案」と「米原ルート」を支持した。

両党が重複して支持したのが「桂川案」であり、15日の会合で正式に「桂川案」への決定が下された。2016年の「小浜・京都ルート」正式決定から10年。迂回に次ぐ迂回を経て、北陸新幹線の大阪延伸はようやく具体的な方向性を得た。

京都駅ではなく桂川駅周辺に新幹線の駅が設けられることは、周辺住民や利用者の利便性に直接影響する。財政負担の軽減や地下水問題など、残された課題への対応が今後の焦点となる。
(富山テレビ放送)

