長野県東御市で高齢者の「運転終活」、つまり免許返納を考える講演会が開かれました。急な免許返納ではなく、自分の運転を認識し、運転の機会を段階的に減らしていくという考え方です。
■3割が高齢ドライバーの事故
6月28日、東御市で開かれた「運転の続け方・やめ方講座」。
講師は、上田市の真田自動車学校の指導員、宮下卓也さん(38)です。
真田自動車学校 指導員・宮下卓也さん:
「みんな同じ解決策はなかったとしても、一人一人考えることで、私らしい運転の続け方、やめ方につながっていく」
参加者の多くは、運転に不安を抱える高齢者やその家族でした。
県内でも目立つ高齢ドライバーの事故。県警によりますと、2025年の1年間、高齢ドライバーによる事故の件数は1392件(全体の31.1%)。死亡した人は20人で、全体の半分近くを占めています。
真田自動車学校 指導員・宮下卓也さん:
「反射神経は確実に20代の頃より衰えている。目の力も衰えている。20代の頃と同じ感覚の走りをしていると、ヒヤっとすることが増えていてもおかしくない」
■「生活の足」返納進まず6割が保有
警察は免許更新の際に70歳以上の人には高齢者講習の受講を、75歳以上には認知機能検査も義務付けています。
検査や医師の診断の結果、認知症と診断された場合は、免許の取り消しや効力の停止を受けることになります。
県警によりますと、県内の75歳以上の高齢者で運転免許を保有する人は22万人。人口比だと6割近くが保有しています。
一方、2025年1年間で免許を返納した高齢者は7132人。車は「生活の足」となっているだけに、免許返納の判断は難しく、進んでいないのが現状です。
■「運転終活」まずは”自己認識”から
真田自動車学校 指導員・宮下卓也さん:
「大多数の方は運転の衰えは認識しにくい。衰えは確実に生じてくるので運転行動をちゃんと振り返って、自分の運転を自己認識する、そういう機会が非常に大事。運転の終活、これは返納への準備につながっていく」
宮下さんは、事故でけがをした人などを対象に、運転支援のリハビリを行う「認定理学療法士」として働いていました。
しかし4年前、運転に特化した支援をしたいと、自動車学校の指導員に転職。
講演で呼びかけたのは、2つのステップで、1つは「自分の運転を正しく認識すること」。
こちらは内閣府が作成した高齢運転者のための「チェックリスト」です。17の質問に答える簡単なもので、丸をつけた項目は、アドバイスシートの助言を参考にして、自分の運転能力を認識してほしいとしています。
■急な返納はリスク…段階的に減らす
2つ目が「運転を自粛すること」。
すぐに免許を返納するのではなく、市街地や混んでいる道を避け運転しやすい道を選んだり、運転時間を減らしたり、目的地を限定するなど、段階的に運転を減らすという考えです。
真田自動車学校 指導員・宮下卓也さん:
「運転を急にやめてしまうと、認知症になりやすくなったり、要介護度がつきやすくなったり。一気に返納することはリスクがあるので、段階的に(運転の機会を)減らしてほしい。この2ステップを繰り返すと、安全運転寿命の延伸につながる可能性がある」
また、免許を持っている段階で、車の代わりになる「足」、たとえば家族に頼ることや、自転車やバスの利用などを試しておくことが大事だといいます。
■引き出し増やし「納得した返納を」
参加者は―。
運転は毎日(80歳):
「私に限って(大丈夫)というのはやめないと、と思った。乗り合いタクシーを充実してもらい、それに乗るしかない。(講座を通して)少し明日の不安がなくなった」
運転は毎日(76歳):
「(代替の移動手段を)いろいろ検討しても不便、できる限りはいつまでも運転したいけど、自分でよく見つめ直すこと、実際いつまで運転できるか考えていかないと」
真田自動車学校 指導員・宮下卓也さん:
「免許を持っている時点でいろいろな移動方法を試してみることによって、返納後のシミュレーションができる。こうやって引き出しを増やしていけばいくほど、返納後も生き生きと生活できる可能性が出る。同じ返納でも『納得した返納』につながりやすい」
