治療に臨む子どもやその家族の心の準備をサポートする専門職「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」、国内では50人ほどが病院などに在籍しています。
出雲市の島根大学附属病院では2026年、2人目の担当者が着任。
患者と医療者をつなぐ橋渡し役として活躍しています。

出雲市にある島根大学附属病院の小児外来の診察室。
タブレットを一緒に見ながら、男の子と会話する女性スタッフ。

木村春香さん、2026年1月に小児病棟に着任したチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)です。

男の子は8歳。8月に手術を受ける予定です。
この日は、事前に説明を受けるため来院。
両親が主治医から話を聞いている間、木村さんがそばに付き添っていました。

チャイルド・ライフ・スペシャリスト=CLSは、医療施設で病気の子どもが安心して治療に臨むことができるよう、本人とその家族を心理的・社会的に支援する専門職です。

遊びや会話を通じて「プレパレーション」と呼ばれる診察や治療を受ける前の心の準備をサポートするほか、処置中には子どもに付き添い、病気に向き合う子どもとその家族の心をサポートします。

日本の国家資格ではありませんが、アメリカの団体が定める臨床経験などの条件を満たし、試験に合格すると資格を得られます。
国内では、わずか50人の専門的な人材です。

木村さんは愛知県出身で高校卒業後、18歳で渡米し、大学で子どもの発達学を学ぶ中でCLSの仕事を知り、資格を取得。
9年前にCLSを導入した実績を上げている島大付属病院で現場経験を積みたいと着任しました。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
看護師やお医者さんがやらないことを私たちが一緒に遊んだりとか、分かりやすい言葉で説明したりとかで持っていた不安や心配を私たちに共有してくれるので、つなぎをできるお仕事としてCLSは重要な役割を果たしているのではないか。

現在、15人ほどが入院する小児センター病棟。
木村さんと医師・看護師のミーティングが始まりました。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
(お母さんが)いる人いない日では変わりますか?

医師:
リズム的には変わらない。

体の「痛み」を的確に表現し伝えることが難しい子どもの患者に、どのように接するかそれぞれの立場から意見を交わします。
木村さんはミーティングの間もポケットから取り出した小さいノートに盛んにメモを取っていました。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
医療知識が全くない状況なので、1から学んでる状態で「こういう疾患が来たときにメモしたな」で振り返っています。

CLSは医療行為を行いませんが、患者や家族に説明するため医療の知識は欠かせません。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
私、早歩きです。けっこう。

ミーティングを終えると2階の外来へ移動し看護師とコミュニケーションを取り、子どもとの会話に必要なおもちゃや本を消毒。
外来と病棟を慌ただしく往復します。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
こんにちは、木村と申します。よろしくお願いします。

午後、木村さんが向かったのは4歳の女の子の病室。
翌日、脚の手術を控えていました。
木村さんと女の子が会うのは、この日が初めてです。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
きょう、何で入院しているか知ってる?

「プレパレーション」、心の準備のため、木村さんは写真を使いながら、手術室に入るまでの流れを女の子に説明しました。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
手術室前でシャワーキャップみたいな青いやつを被ります。
クマちゃんに被ってみようか。

用意したぬいぐるみでお手本を見せると…。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
上手、上手。こんな感じ。

女の子は笑顔でキャップを自分の頭に被せました。
呼吸器のマスクも実際に手に取りながら説明。女の子に不安そうな様子はありません。

女の子の母:
も家では手術も近づくにつれ、怖がって泣いていたりもしたので、こんなにテンション上がっていて拍子抜けしている。
分からないままだと多分、不安も強くなるので、分かった上で手術に臨めるのはありがたい。

患者の気持ちを落ち着かせ、手術や治療に臨む環境を整えるCLS。
今の医療現場に欠くことのできない存在です。

島大附属病院小児外科・真子絢子医師:
本人が理解しているか、家族がどこまで理解しているか把握することすら十分にできていないと思う場面があるが(CLSに)間に入っていただいて時間と十分な理解を深めてもらうことをしてもらっている。いていただかないと困ります。

島大附属病院・狩野園子薬剤師:
(いるといないでは)全然違いますね。
最初の取っ掛かりを作ってくださるのがCLS。
医療者とご家族をつないでくれる、安心感というか空気感を作ってくださっていて。
これは医療職ではできないかなと思っています。

病気に向き合う子どもたちの気持ちを軽くできれば…そんな思いで日々を過ごす木村さん、子どもたちから学ぶことも少なくないそうです。

島大附属病院小児科CLS・木村春香さん:
きょう1日、ちょっとバタバタ。
2階から6階にたくさん上がって、たくさん歩いた。
患者さんが来て自分できょう頑張ったとか、きょう頑張れたとか思って帰ってもらうことが、やりがい。あしたも頑張っていこうと思います。

病気と向き合う子どもたちが笑顔になれるよう新人CLS・木村さんの奮闘が続きます。

TSKさんいん中央テレビ
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