兵庫県では去年、暴走族に関する110番通報件数が直近10年で最多を記録しました。

2025年の通報件数は5417件。一方で、県警が把握している暴走族の人数は減少傾向にあります。

暴走族が減少するなか一体なぜなのか?

“令和の暴走族”その実態に迫ります。

■6月から3〜4倍以上の件数で苦情が

大阪府池田市の国道171号線で大阪府警が取り締まりを実施しました。

池田警察署の管内で暴走族の通報が相次いだことを受けての対応で、この日は車両を改造して騒音を出していたバイクなど3件を検挙しました。

【大阪・池田警察署 加藤貴哉交通課長】「先月から3〜4倍以上の件数で苦情が入っています。これから行楽期を迎えるにあたって、騒音苦情を抑えていきたい」

大阪だけでなく、兵庫でも状況は深刻です。

兵庫県警によれば、暴走族に関する通報は2001年の1万4870件をピークに減少を続けていましたが、2024年から再び増加に転じ、2025年は5417件と直近10年で最多となりました。

■「うるさくて眠れない」通報が急増

【兵庫県警交通部交通捜査課 山本晋也次席】「『うるさくて眠れない』とか、『運転していて前が塞がれて邪魔だ』といった110番が入ってきてますね」

特に被害の声が多く聞かれるのが、神戸市の海浜公園「メリケンパーク」周辺です。

ポートタワーや商業施設が隣接し、昼間は多くの観光客が訪れるこの公園は、夜になると様相が一変します。

近隣住民からは「特に金曜の夜、バンバン行き来してますよ」「涼しい時は窓を開けたいんですけど、開けられないんですよ。騒音がひどくて」という声が上がっています。

■1950年代の「カミナリ族」から特攻服の時代へ

「暴走族」の起源は1950年ごろにさかのぼります。

大きな音を鳴らす「カミナリ族」やスピードを競う「マッハ族」などが「はしり」とされており、関西テレビも当時「マッハ族」を特集していました。

【当時のナレーション】「世はあげてスピード時代。ジェームズ・ディーン気取りで、街の中に繰り出していく若い彼らの眼中には、人なく、車なく、ただいかにしてスピードをあげるかで頭がいっぱい。フライング、そして手放しの曲芸。まさに『鞍上(あんじょう)人なく鞍下(あんか)馬なし』の境地です」

その後、暴走族は族長をトップに、派手な刺しゅうを施した特攻服を着て集団走行するスタイルが主流となっていきます。

1980年ごろには法改正による対策強化が進み、警察が暴走族を目の前で解散宣言させるなど、両者の攻防が激化しました。検問を強引に突破した16歳の少年が死亡するという痛ましい事故も起きています。

大阪では11月3日に行われる「イレブンスリー」と呼ばれる集団暴走の開催を、警察が大規模な交通規制をかけて阻止するなど、長年にわたって緊張関係が続きました。

■「TikTokで万バズしてるような人が来るとなったら、そのバイク見たい」

しかし、令和の時代に現れた「新たな集団」は、かつての暴走族とは様相が異なります。

メリケンパークには無料の駐輪場があり、神戸港を望む景観から「バイク乗りの聖地」として知られるようになっています。

【神戸から来た人】「ここはやっぱり景色がいいので、写真撮って、集まってお話する。バイクのコミュニティって感じ」

【大阪から来た人】「見ての通りのスポット。映えるやろ」

この場所に最近人が増えた理由として挙げられるのが、SNSの拡散力です。

【明石から来た人】「ここ最近だと思います。TikTokで“万バズ”しているような人とか、なかなか手に入らないバイクを持ってる人が来るとなったら、『そのバイク見たい』ってなるので」

■「自分らが暴走族という認識はないかもしれない」

深夜11時半ごろになると、さらに続々とバイクがやってきました。周囲には騒音が響き始めました。

そのうち、播州方面から訪れたという18歳を含む約20人の10代の若者グループも取材に応じました。

「エモい写真」を撮りに来たというグループは、バイクの音を「目立ちたくて意図的に出している」と認めながらも、こう話しています。

「僕らも暴走族じゃないんで、静かにするところは静かにして」

通報があることについては「それは申し訳ないっすね。ただ僕らも考えながら乗ってるところもあるんで」とも話しました。

一方で迷惑をかけているが、注目してほしいのか?という質問には、「めちゃくちゃ目立ちたいです!」と言い切りました。

こうした若者たちの特徴として、従来の暴走族のように特攻服を着ない、チームを結成しないという点が挙げられます。

兵庫県警・交通部交通課の山本次席は「SNSを介して、友達の知人・友達みたいなのが一緒に走ってたりするんで、自分らが暴走族という認識はないかもしれない」と分析します。

■リーダーなく組織的なまとまりない“令和の暴走族”

従来の暴走族であれば、リーダーや組織を把握することで取り締まりが可能でしたが、今の状況は違います。

【兵庫県警 山本次席】「リーダー的な存在がいないので、検挙しても検挙しても、次から次に新しく走る子が現れるみたいな感じが今の現状。実態が見えにくくなっていると感じます」

時代とともに変化する「暴走族」。周囲にもたらす危険や迷惑は、令和の時代でも“若気の至り”で済まされるものではありません。

(関西テレビ「newsランナー」2026年7月13日放送)

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