若い世代の転出超過が止まらない背景には、「男性は仕事、女性は家事など、生まれ育った地域での昔ながらの価値観がある」。新潟県は若年層を対象にした独自調査からこう結論づけた。これを受け県は“ジェンダーギャップ”をテーマにした座談会を初開催。語られた女性たちの本音とは…。
「食事の準備は女性の仕事」性別役割分担意識が人口流出の一因に?
新潟県内在住の20代の女性6人が参加し、オンラインで開催された座談会は、ファシリテーターの「きょうはありのままのお話をお聞かせいただきたいと思います」という言葉で始まった。
テーマは“ジェンダーギャップ”だ。
進学や就職を契機とした首都圏への若年層の人口流出が止まらない中、新潟県は2025年、県出身の18歳~39歳の男女を対象に意識調査を実施。
このうち、性別で役割を固定されることについて『生まれ育った地域で経験したこと』を尋ねた項目では…
▼地域や親戚の集まりでの食事の準備やお茶出しは女性の仕事
▼結婚や子どもを持つことは当然である
▼家事・育児・介護は女性の仕事
いずれの項目でも、新潟県出身で首都圏在住の女性が「生まれ育った地域であった」と回答した割合が高い。

県はこれを、若い女性の転出超過の一因とみている。
「女性がもてなし、男性はひたすら酒を飲む」昔ながらの光景は若い女性にどう映るのか
座談会では、「家庭・地域・職場、それぞれのどんな場面で、誰のどんな言動がありましたか?」というファシリテーターの投げかけに、様々な経験が語られた。

参加者の一人は、親戚の集まりで女性ばかりがもてなしをしていた場面に言及。
ファシリテーター:
女性がお茶くみ、おもてなしをしているとき男性は何をしていた?
参加者:
男性はひたすら座って、お酒を飲んでいた。
職場での一コマに触れた参加者も…。
ファシリテーター:
経営者から『女性は採用しづらい』といった発言があったんですね?
参加者:
しょうがないと思いつつ、自分も当事者になるかもしれないからショックだった。

そのほか、第一子を出産後、高齢の親戚から「日本のために3人頼むよ」と言われたエピソードも披露されるなど、性別や世代によって様々なジェンダーギャップや性別役割分担意識があることが赤裸々に語られた。
「お茶出しが染みついている」女性にもある…ジェンダーギャップを許容する意識
一方、参加者から「知らず知らずのうちにジェンダーギャップや性別による役割を許容していた」と自身を顧みる声も上がった。
参加者:
お茶出しを自らが進んでやることが染みついている。女性だからやろうとしているのか、気遣いでやろうとしているのかは自分でも分からないが、後輩が見たら『お茶出しは女性の役割』と見えていて、いい影響を与えていないのかもしれない。
参加者:
男性が残業していると「頑張っているな」と思うのに、女性が残業していると「誰が子どもの世話をしているのかな」と勝手に心配してしまっている。
“無意識”の性別役割分担意識は根強いことが見えてきた。
ジェンダーギャップを語る場が社会を変えるきっかけに
座談会後、参加者に話を聞くと、こうしたジェンダーギャップについて話し合う場を歓迎する声が聞かれた。
「もっと声を上げるタイミングや機会があると、それが働きやすさ、生活のしやすさにつながっていくと思う」「皆さんの話を聞いて、全ての話に大共感した。いい時間になった」
新潟県・知事政策局の神山美幸男女平等・共同参画統括監は、「固定的性別役割分担意識やジェンダーギャップの解消は、意識に切り込むという部分で難しさがある。県全体で、みんなでジェンダーギャップのことを考え、解消に向けて取り組んでいく。機運醸成をしていくことが必要だと思う」と、意欲的だ。

県は26年度、ジェンダーギャップの解消において市町村が実情に合った施策を行った場合、申請に基づいて100万円を交付する。
ジェンダーギャップをテーマにしたシンポジウムの開催も予定しているという。
性別による役割ではなく、その人らしく生きられる社会をどうつくり出していくか。
人口減少対策は、人の意識に切り込むという新たな局面を迎えている。

