バラエティータレントや司会者として活躍する一方、女優としても数々のドラマや映画に出演し、日本アカデミー賞の優秀助演女優賞やヨコハマ国際映画祭の主演女優賞を受賞するなど、俳優として高い評価を得ている小池栄子さん。

小池栄子さん
小池栄子さん
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小池さんはこの夏放送のドラマ『さよならノワール』で、元刑事で警察の犯罪被害者支援室に所属する警察官役を演じることになり、普段はほぼ接点のない異色の相手と対談することになった。

その相手は、現役の警察官僚である警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当)の篠原英樹氏だ。

警察庁・篠原英樹審議官
警察庁・篠原英樹審議官

対談には、同じく犯罪被害者支援室に所属し、心理学者で公認心理師と臨床心理士の資格を持つという役柄を演じる、俳優の北香那さんも参加した。

北香那さん
北香那さん

今回、『さよならノワール』の放送を前に、警察庁で犯罪被害者等施策を担当する篠原英樹審議官が小池さん、北さんとの対談に参加した理由は、警察庁として伝えたい2つの大きな目的があるからだ。

一つは犯罪被害者支援という仕事の存在を多くの人に知ってもらうことだ。

事件が起きると、社会の関心はどうしても「何が起きたのか」「犯人は誰なのか」「なぜ事件が起きたのか」に向かいがちだ。

その一方で、被害者やその家族は事件後も深い苦しみの中で日常を続けていかなければならない。被害者の中には「自分が悪かったのではないか」と自分を責めてしまう人もいる。こうした人たちに寄り添い、必要な支援に繋げていくのが犯罪被害者支援の仕事だ。

犯罪被害者等支援のシンボルマーク「ギュっとちゃん」
犯罪被害者等支援のシンボルマーク「ギュっとちゃん」

そしてもう一つは、犯罪被害者等支援のシンボルマーク「ギュっとちゃん」の認知を広めること。ハートをギュッと抱きしめた姿には、被害者やその家族を支えたい、そばにいたいという思いやりの気持ちが込められている。

篠原審議官は、このドラマをきっかけに、実際の犯罪被害者支援の仕事とギュっとちゃんの存在をより多くの人に知ってもらいたいと語る。

「被害者に焦点を当てたドラマは斬新だった」

対談の冒頭、篠原審議官はドラマ『さよならノワール』について、「とても引き込まれた」と語った。

対談でドラマの感想を伝える篠原審議官
対談でドラマの感想を伝える篠原審議官

警察ドラマといえば、犯人を追う刑事、事件の真相、逮捕までの緊迫感が描かれることが多い。しかし、『さよならノワール』が扱うテーマは、事件のあとに残された被害者や家族だ。篠原審議官はそこに新しさを感じたという。対談では、実際の現場を知っている篠原審議官に小池さんから質問が寄せられた。

小池さん:
私が演じている役は、犯罪被害者支援室に所属する前は組織犯罪対策課の暴力団対策担当の班長として働いていたという設定ですが、こういった異動というのは実際の警察の中でもあるのでしょうか?

篠原審議官:
もちろんあります。刑事の担当から犯罪被害者支援室に異動ということは当然ありますし、逆に犯罪被害者支援室から刑事にいくというのもたくさんあります。

小池さん:
刑事をやっていたからこそ犯罪被害者支援室の仕事に活かせるというものはあるのでしょうか?

篠原審議官:
例えば犯罪被害者支援室員というのは被害者の方に寄り添って、支援を受けられる手続きの説明をしたり、生活の中で心配事の相談を受けたりしますが、これは刑事の仕事の経験があるからこそできることがあると思います。刑事の仕事の経験が被害者を支援する仕事の土台になっていることがあります。

また、心理学者の役柄を演じる北さんからも篠原審議官に質問が寄せられた。

篠原審議官に質問をする北さん
篠原審議官に質問をする北さん

北さん:
私が演じた心理学者や臨床心理士の方というのは、実際には都道府県警のどちらにいるのでしょうか?

篠原審議官:
実はたくさんおります。47都道府県警察で合計するとカウンセラーは200人以上います。そしてカウンセラーと支援にあたる警察官で一緒に仕事をします。その中で、ある被害者の方が、カウンセリングが必要だなと感じた時にはカウンセラーが対応したりします。

三菱重工ビル爆破事件 1974年8月30日
三菱重工ビル爆破事件 1974年8月30日

日本で犯罪被害者を支援すべきとの議論が大きく進展したのは、1974年に発生した「三菱重工ビル爆破事件」だった。過激派による無差別殺傷事件で理不尽に殺害されたり、傷付けられたりした被害者を支援する給付金制度の必要性が議論され、1981年に施行された。

そして2004年には「犯罪被害者等基本法」が制定され、その下で犯罪被害給付制度の拡充として、重傷病給付金の給付期間の延長、幼い遺児がいる遺族への給付金の額の引上げ、カウンセリング費用の公費負担制度など、支援策が拡大してきた経緯がある。

篠原審議官によると、実際の被害者支援室は各都道府県警の警察本部の中に設置されている。

そして、被害者支援室の職員と警察署の職員、事件を担当している刑事などが一体となり、被害者が何を必要としているか、できる支援は何があるかということを考えて提供する、そして様々な制度を紹介したりするのが被害者支援の仕事だという。

寄り添うことの難しさ

小池さん:
ドラマの台詞でもありましたが「刑事時代は犯人を逮捕することに必死だったが犯罪被害者支援室に来て自分の考えが変わった」というのが私はこのドラマの芯の部分なんだろうなと思いました。

この言葉について、篠原審議官は「犯人を捕まえること、被害者を支えることも、どちらも警察の大切な仕事です」と話す。

篠原審議官:
刑事も被害者支援の仕事をやったことがなかったとしても、この仕事がどのように在るべきかというのを理解しながら刑事の仕事をやってほしいと思います。そして、被害者の気持ちにより一層寄り添いながら活動してほしいです。

また、篠原審議官からも小池さんと北さんに質問が出た。

篠原審議官:
今回のドラマでは被害者支援室というこれまでには中々ない題材のドラマですが実際に役を演じてどのように感じましたか?

小池さん:
本当に被害者支援室で働く人たち、仕事を尊いと感じましたし、芝居とは言え自分の気持ちがけっこう持っていかれてしまって、撮影の中で被害者を演じる役者の方と日々接していると相手に対して自然な態度で接することが非常に難しい仕事だから、被害者支援室の仕事はすごく難しいお仕事だと感じました。
だからこそ、この仕事の存在をもっと多くの人たちに認知してもらって、手を挙げる勇気の無い人たちが一歩でも踏み出せることができるようになればこのドラマをやる意味があるなと思いました。

北さん:
気持ちの部分で、実際に働いている皆さんはどのようにしているのだろうと思いました。
仕事上、被害者に対してフラットな気持ちでいるといっても、被害者支援室で働く私たちも人間であるので心が揺れ動かされる瞬間というのが繰り返されるのだろうと思っています。
このドラマをきっかけに、実際に被害者支援室で働く人たちの存在が世の中に認知されれば嬉しいなと思います。

篠原審議官:
被害者支援という仕事はどうしても陰に隠れてしまうこともあるのですが、多くの方に認知していただきたいなと思っています。

被害者支援の存在を多くの人に知って欲しい

警察庁は、ドラマ『さよならノワール』をきっかけに犯罪被害者支援という仕事の存在を多くの人に知ってもらいたいと語る。

事件が起きると、社会の関心はどうしても「何が起きたのか」「犯人は誰なのか」「なぜ事件が起きたのか」に向かいがちだ。
その一方で、被害者やその家族は事件後も深い苦しみの中で日常を続けていかなければならない。こうした人たちに寄り添い、必要な支援に繋げていくのが犯罪被害者支援の仕事だ。

そしてもう一つは、犯罪被害者等支援のシンボルマーク「ギュっとちゃん」の認知を広めること。ハートをギュッと抱きしめた姿には、被害者やその家族を支えたい、そばにいたいという思いやりの気持ちが込められている。

篠原審議官:
被害者支援と言っても中々伝わらない部分もあると思うので、シンボルマークであるギュっとちゃんを通してみんなに知ってもらえればと思っています。

小池さん:
被害者支援をもっと多くの方に知ってもらうためにギュっとちゃんと一緒に色々な場所に出て行くと良いと思います。ギュっとちゃんと一緒に登場して少しずつ広げていけば良いと思います。
学校とかオフィスとかそういったところに置かれるようになって、ギュっとちゃんを通して私たちの生活の中で、被害者支援ということが当たり前に小さいときから感じることができれば良いですよね。

対談の最後、篠原審議官はドラマをきっかけに知ってほしい事についてこう語った。

篠原審議官:
『さよならノワール』の第一話のラストでは、民間の支援団体に繋ぐ場面がありました。
被害者支援というのは警察だけの仕事ではありません。警察だけでなく民間の支援団体など色々な機関があります。
そういった人々が色々な面で被害者をサポートしています。一方で、実際に被害にあわれた方にとってどこに行けば支援を受けられるのかがあまり知られていない現実があると思います。私たちが今取り組んでいるのは警察だけでなく、民間の支援団体、自治体などと一緒になって被害者がどこに相談をしに来ても適切な支援に繋げられる、そういったネットワークを作っていこうとしています。このため被害者の方には悩んだらまずはどこでも良いので相談をしてくださいと伝えたいです。

また小池さんも、「被害者支援の仕事がなければ、被害者の方は本当に置いてけぼりになり、社会復帰できない方はたくさんいらっしゃると思いますし、『家から出られない』とか『人と会うのが怖い』とか、今後の人生にも影響を与えるわけですよね。そういった時に誰かが側にいてくれるとか、話を聞いてくれるというのがどれだけ大切なのかというのを今回、学ばせていただきました」と話した。

被害者の人生は続く

警察庁の「令和7年の犯罪情勢」によると、2025年に全国で認知された殺人事件は976件あった。さらに傷害事件の認知件数は2万3460件に上っている。

こうした事件の先には、被害にあった人がいて、その家族がいる。被害者やその家族は、事件が報道され裁判が終わったあとにも続いていく人生がある。そんな時、そばにいて話を聞き、必要な支援に繋いでくれる人たちがいる。

ドラマ『さよならノワール』は事件のその後に光を当てるドラマだ。

誰かを支えること。誰かに支えられること。実は、その両方は私たちの人生のすぐ近くに存在している。

『さよならノワール』

7月7日(火曜日)夜9時スタート

フジテレビ
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