子供の腹痛は、年齢によって原因がまったく異なり、身体的な疾患だけでなく心理的なストレスが絡み合う複雑な症状な場合もある。こうした症状に向き合い正確な診断につなげようと、福井県済生会病院の小児科に2026年7月、「こどものおなか外来」が新設された。同外来を立ち上げた岩井和之医師に、子供の腹痛の実態と注意すべきポイントを聞いた。

「症状に向き合い診断するため」専門外来を新設

便秘や胃腸炎といったありふれた訴えから、場合によっては命に関わる疾患まで幅広い原因が潜んでいる、子供の腹痛。

福井県済生会病院に専門外来が設置された
福井県済生会病院に専門外来が設置された
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福井県済生会病院小児科の岩井和之医師は専門外来を設置した理由について「子供の症状にしっかりと向き合い正しい診断や治療が行えるよう、そして分かりやすく案内することで受診してもらえるよう開設した」と説明する。

福井県済生会病院小児科の岩井和之医師
福井県済生会病院小児科の岩井和之医師

腹痛という一見シンプルな症状でも、その背景には腸の動きや生活リズム、ストレスや学校生活の負担など、複数の要因が複雑に絡み合っている。専門的な外来窓口を設けることで、こうした多様なケースに一元的に対応できる体制を整えるのが狙いだ。

 「年齢によって注意すべき疾患はまったく違う」

子供の腹痛において注意が必要なのは、年齢によって現れやすい疾患が大きく異なるということ。岩井医師は年代別に注意すべき症状を次のように説明する。

新生児期:胃食道逆流や過飲、便秘などが主な要因となることが多い。しかし中には腸の位置がずれていたり、ねじれていたりと、緊急性の高い病気が隠れているケースもある。

乳児前期(生後3か月ごろまで):激しい泣き声を伴う乳児せん痛やミルクアレルギーなどがよく見られる。

乳児後期:感染性胃腸炎や食物アレルギーが増え、ときに虫垂炎が潜んでいる可能性もある。

新生児期から乳児後期の腹痛のリスク
新生児期から乳児後期の腹痛のリスク

幼児期:子供が腹痛を言葉でうまく訴えられない時期。腸炎や便秘に加え、行動範囲が広がることで異物の誤飲や中毒にも注意が必要。

就学前:尿路感染症や溶連菌感染による腹痛などが見られるようになる。

幼児期と就学前の腹痛のリスク
幼児期と就学前の腹痛のリスク

学童期:検査で明らかな異常が認められないにもかかわらず腹痛が長引いたり、過敏性腸症候群を発症したりするケースが出てくる。

思春期:女子では月経困難症、男女ともに卵巣や精巣の捻転など、より専門的な対応が求められる疾患が登場する。

学童期と思春期の腹痛のリスク
学童期と思春期の腹痛のリスク

年齢を追うごとに注意すべき疾患の種類が変化していく点が、子供の腹痛を診る上での難しさのひとつだ。

小中学生はプレッシャーやストレスでの受診「非常に多い」

身体の問題だけが腹痛の原因ではない。岩井医師が特に強調するのが、心理的なストレスによって引き起こされる腹痛の増加だ。

ストレスが原因で体調を崩すことも
ストレスが原因で体調を崩すことも

「小中学生になると学校生活でいろんなプレッシャーやストレスを感じる。お腹の違和感や、それがさらに進むと下痢、過敏性腸症候群。早いと小学校高学年くらいから中学校、受験期の子供まで非常に多く受診する」と岩井医師は説明。

複雑な要因が絡み合っている
複雑な要因が絡み合っている

学校でのテストや人間関係、受験のプレッシャーといった心理的な負荷が腸の動きに影響を与え、慢性的な腹痛や下痢を引き起こすことがある。こうしたケースでは、検査をしても数値上の異常が見つからないことも多く、「異常なし」という診断で終わってしまうことがある。

しかし腹痛が繰り返され、学校を休みがちになるなど日常生活に支障が出ているならば、それは見逃せないサインだ。

便秘と診断も…婦人科系の疾患が判明したケース

子供の腹痛の難しさは、見た目の症状だけでは本当の原因を特定しにくい点にある。岩井医師は診療経験の中でこんな事例を挙げる。「別の病院では便秘と言われても婦人科の病気のケースがあった」。

子供は、自分の体の不調をうまく言葉にできないことが多い。腹痛を「お腹が痛い」と明確に伝えられず、ただ不機嫌になったり、ぐずったりするだけというケースも珍しくない。親が気付くまでに時間がかかることも多く、症状が進行してしまうリスクがある。

受診を検討したいサイン
受診を検討したいサイン

岩井医師は「検査や診察で異常なしと言われても不安を覚える場合はぜひ受診をしてほしい。その方が保護者も安心できるのでは」と呼びかける。

学校を休みがちになったり日常生活に支障が出たりするようであれば、改めて受診を検討することが大切だ。

福井テレビ
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