暑さが本格化する7月を前に、全国各地でクマによる被害が急増している。栃木県の小学校近くで70代の男性がクマに襲われケガをした。また、秋田県では新幹線がクマと衝突して緊急停止。出没が急増している理由について、専門家はこの時期ならではの、“夏のクマ”の危険性を指摘する。
「ぱっと見たらクマが歩いてくるからさ」
6月30日午前5時過ぎ、栃木県那須塩原市で作業をしにきていた70代の男性がクマに襲われ顔にケガを負い、病院に搬送された。
現場は学校の近くで、6月に入ってからクマの目撃情報が多発。現場には、クマが斜面を降りてきたとみられる足跡がはっきりと残り、木の皮を剥いだ跡も確認できた。近所の人の話では、2、3日前にクマが剥いだという。
近隣住民は、6月だけで2度もクマを目撃したという。
近隣住民:
ぱっと見たらクマがこう歩いてくるからさ、その周りの草の中に入って向こうに逃げた。それが16日。27日にゴミ収集の網があるでしょ。そしたらカゴから5mくらい下にいた、クマが。
市は猟友会や警察と協力し、警戒に当たっているが、クマはまだ見つかっていない。
男性が7針縫うケガ
一方、京都市右京区でも6月30日、シカなどの捕獲にあたっていた猟友会の40代男性が、クマに襲われた。男性は、腕を噛まれ7針を縫うケガをしたという。
また、6月30日午前11時過ぎには、福島・猪苗代町の小学校にクマが出没。児童たちは校舎に避難し幸いにもケガはなかった。
クマの行方は分からず、学校では保護者に送迎をお願いするなど安全確保の対応に追われた。
保護者:
ちょっとびっくりですね。この辺りに出るとは思わなくて。
「エサを一生懸命探すということと繁殖期が重なる」
こうした中、最近クマの目撃が多発しているのが秋田県だ。ここ3日間でおよそ80件もの情報が寄せられ、20件以上が住宅街の広がる秋田市の市街地周辺に集中している。
6月28日午後2時ごろには、市の中心部にある運動公園のグラウンドにクマが現れた。クマは、周りに住宅が広がる中、グラウンドの真ん中を堂々と歩いていた。短時間での目撃が相次いでいることから、複数の個体が移動している可能性も考えられるという。
クマを目撃した住民:
犬を散歩させている男性がいて、クマがそれにビックリして戻ってきた。そして隣の保育園の園庭から山の方に向かって行った。近場だったので怖かった。
また、6月30日早朝には、秋田新幹線の上り列車がクマと衝突する事故も起きるなど、事態は深刻さを増している。
なぜ、出没が急増しているのか。専門家はこの時期ならではの“夏のクマ”の危険性を指摘する。

岩手大学 山内貴義准教授:
今ちょうど山菜を食べていますけど、段々それも終わりに近づいている。なのでエサを一生懸命探すということと繁殖期が重なる。あとは、子グマが母親から離れる、いわゆる独り立ちする時期にもなるんですけども、ひょんと街中に現れたりということも見られます。普段よりも人身被害が起きやすい状況。
8月にかけては、山にあるエサがさらに不足し、人里への出没が増えていく恐れもあるという。

こうした中、環境省は東北地方の山を中心にカメラを設置し、クマの個体数調査を開始した。蜂蜜とワインを混ぜた匂いの強いエサでクマをおびき寄せ、ツキノワグマの胸にある白い模様を撮影することで、個体ごとの違いから頭数を推定するという。
調査は、6つの生息地(東北6県+新潟県の一部地域)を対象にカメラを800カ所以上に設置し、9月下旬まで行われ、2026年度中にも結果を公表する予定だという。
2m超のヒグマが“背こすり”
ヒグマが生息する北海道興部町(おこっぺちょう)では、繁殖期ならではの行動がみられた。

主にオスグマがメスグマに存在をアピールするための行動、“背こすり”をする様子が、6月27日夜、カメラに捉えられた。ヒグマは、高さ2mに巻かれたテープをゆうに超える大きさだ。
7月を迎え暑さも本格化する中、“夏のクマ”への警戒がより一層必要だ。
(「イット!」6月30日放送より)

