これまでの国会の常識、すなわち国対政治の論理で考えれば、高市氏は自分のこだわりのある皇室典範や国旗損壊罪は何としてもやるが、維新が推す定数削減は「衆院だけは無理して通したけど、参院は過半数ないのでできませんでした」ですませる、というのが「よくあるパターン」だ。

会期延長の可能性も

だが維新も簡単には引っ込まない。吉村洋文代表は衆院の3分の2を使うことを公言している。3分の2の再可決は時間がかかるのでその場合は国会の会期を延長することになる。

衆院の3分の2の再可決を公言
衆院の3分の2の再可決を公言

側近によると、高市氏は「公約実現のためにはかなり踏み込んだ対応を取るだろうし、特に皇室典範改正などが危うくなれば迷わず会期延長するだろう」とのことだった。

高市氏が60日間の延長を検討しているとの報道もある。

6月のFNN世論調査
6月のFNN世論調査

高市内閣の支持率は先々週のFNN産経で少し下がったが、先週の読売新聞、今週の日経新聞と「続騰」しており、この数ヶ月「漸減」していた数字が「下げ止まった」「底を打った」印象だ。

理由は米イラン和平による「安心感」が最も大きいと思うが、週刊文春による「中傷動画」報道を元にした野党の追及があまり効果を挙げていないのではないかと筆者は思っている。

「解散するかもしれないよ」

もう一つ大きいのは内閣支持の理由に「首相の人柄」や「指導力」が常に上位に上がっていることだ。これはすなわち高市氏が公約を実行しなかったら支持率は下がるということだろう。

つまり皇室典範や国旗損壊罪だけでなく、議員定数削減も、さらには食料品の消費税実質ゼロも実現した方が支持率は上がるのではないか。

「高市さんなら何でもあり」との声も
「高市さんなら何でもあり」との声も

野党の言うことを聞かず、場合によっては衆院3分の2を使って強引に決めても支持率は下がることはないのかもしれない。そんなことはありうるのだろうか。

だが側近氏に聞いてみると「高市さんなら何でもありだ。60日ルール(衆院で可決後に参院で60日以内に議決されない場合みなし否決となり衆院で再議決できる)を使うのではないか」ということだった。

さらに「国会が止まったら解散するかもしれないよ。あの人はそういう人だから」と呆れたように言っていた。

全部やれば若者の支持は上がる?

側近も呆れるし筆者も「それはないだろう」とは思う。ただ今週の日経の調査では若者の内閣支持率が上がり、高齢者の支持率は下がっていた。

野党を「ないがしろ」にする高市政権の国会運営を高齢者はけしからんと思っているし、与党を含む政治家もメディアも似た考えだが、高市政権を支持する若者はそうではないのだろう。

そうであれば高市さんは議員定数削減も、さらには消費減税も、そして憲法改正も、公約に掲げたことは「全部やる」方がいいのかもしれない。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。