岩手県花巻市で重い障がいがある人やその家族などが音楽イベントや学習会を通じてつながりを広げる「ぽっぽプロジェクト」という取り組みが行われています。
メンバーは5月、他県の先進事例から学ぼうと九州を訪れました。現地を訪れた1組の親子の思いとは―。
重い障がいがある人たちが集い、「ぽっぽプロジェクト」の活動の拠点となっている花巻市の「ののはなハウス」です。
吉田結実さん17歳は、重い障がいがあり、歩いたり話をしたりすることはできません。
結実さんは母・桂子さんと共に、度々この場所を利用しています。
母・桂子さん
「結実の小さい頃に比べたら、色んな社会資源は整ってきていると思う。その中で選びたい選択肢があるかっていうと、そこはまだやっぱり整ってない。足りないかなっていう部分がいっぱいある」
結実さんは現在、特別支援学校高等部の3年生です。
卒業後はどうするのか。もっと先、親亡き後は誰とどこで過ごすのかーー。
親が支え続けることを前提とした暮らし、その在り方に不安を感じていました。
「将来へ向けてのヒントが欲しい」ーー吉田さん親子は仲間たちと共に視察旅行に出かけました。
花巻から飛行機に乗り、降り立ったのは福岡県福岡市。
向かった先は、重い障がいがある人たちが共同生活を送るシェアホーム「はたけのいえ」。全国の先進事例として知られる場所です。
シェアホームを作ったのは、水野英尚さんと妻の睦さんです。
水野英尚さん
「(娘は)障がいは重いけど、当たり前に青年たちがやっているようなことを体験させたい。本人ももしかしたらしたい。体験しないままエスカレーターみたいに制度上のところに行くよりも、やれることの体験はやってみていいんじゃないか、そういうところから」
娘・ひかりさんの1人暮らしを願い、5年前に自宅をリフォームしました。
現在、ひかりさんを含め4人の重度障がい者が親元を離れ、地域の中で共同生活を送っています。
「はたけのいえ」には、看護師やヘルパー、ボランティアなど多彩な人たちが関わり生活を支えています。
母・桂子さん
「自分がいつも自分の責任で見なきゃいけないという状況の中で、子どもにどれだけ丁寧に接しているか難しいところがあって、親が背負いすぎないというか抱えすぎないことがすごく大事と感じた」
支援する人・される人、その関係を超え共同体として一緒に時間を重ねます。
親亡き後も見据えた地域での関係づくりに、吉田さん親子も大いに刺激を受けました。
母・桂子さん
「暮らしている様子が周りの人も楽しそうで、こんな風な暮らしができたらいいなと思った。そういう暮らしをみんなでワクワクしながら作っていきたい」
たとえ重い障がいがあっても、地域で安心して暮らしたい。
吉田さん親子は、遠くない未来に向けて新たな一歩を踏み出しました。
