リージョナルマーケティングは、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の運営を中心に、地域における企業や店舗のマーケティング活動を支え、「ヒト・コト・モノ」をつなぐ事業を展開しています。今回は代表取締役社長の渡部真也さんに、これまでのキャリアの歩みと、地域経済の循環および北海道の可処分所得向上に向けた取り組みについて聞きました。

バブル期の葛藤と、レールを外れた経験

――学生時代はどのような将来を描いていましたか。
 「田舎育ちで明確なイメージはありませんでしたが、高校時代はバブルの真っただ中でした。世の中にお金が溢れ、映画や音楽といったエンタメ業界に多額の資金が流れていた時期です。そうした世界に憧れはありましたが、大学進学から就職という一般的なレールに乗ることに抵抗を感じていました。みんなと同じルートを歩むことを避けたがる、当時の自分の思考こそが青臭かったのです」

――その抵抗感から、どのような行動をとったのですか。
 「高校卒業後はアルバイトをして過ごし、20歳の時にワーキングホリデーでカナダのバンクーバーへ渡りました。しかし、現地には日本中から同じような考えを持つ若者が集まっていました。鏡を見ているような同族嫌悪を感じ、自分が忌み嫌っていた大学進学を決意しました。帰国後、地元の会社で1年働いたのち、4歳年下と同級生として大学に入学しました」


経営の視点を養ったキャリアの転換点

――大学卒業後のキャリアはどのように築いたのですか。
 「東京の大学時代もエンタメへの関心は高く、レンタルビデオ事業を展開するレントラックジャパンに入社しました。店舗スタッフから営業、バイヤーを経て経営企画へシフトしました。その後、同社がCCCにM&Aされたことで、ポイント事業やネット事業など多岐にわたる事業の課題解決を経験しました。この時期に、事業の多角的な見方や理解の仕方を自然と身につける人生でした」

――北海道に戻ったきっかけは何ですか。
 「30代後半は経営企画や経営管理の仕事をしていました。40歳を目前にした時、あと定年まで20年この仕事をやり続けることが自分の人生としてどうなのかと自問自答しました。転職を決意し、札幌のUIターン専門エージェントに相談したところ、サツドラの現代表である富山氏を紹介されました。2013年10月に札幌ドラッグストアへ転職しましたが、入社するまで共通ポイントサービスの構想については知りませんでした」


地域を巻き込む「EZOCA」の立ち上げ戦略

――「EZOCA」を立ち上げる際、何を大切にしましたか。
 「2014年のサービス開始時点で、全国的な共通ポイントカードがすでに勢いを持っていました。私たちは完全に後発組です。北海道というマーケットで勝負する中で、プラットフォームの上に何を乗せるかが重要だと考えていました。立ち上げの年に、北海道コンサドーレ札幌とのコラボの機会がありました。単純にデザインを変えるだけでは面白くないと考え、『利用額の0.5%をクラブに還元する』というモデルを作りました」

――そのモデルのポイントはどこにありましたか。
 「2つあります。1つは、お客さんが買い物で貰えるポイントの権利はそのままお客さんのものだということです。もう1つは、0.5%という数字を明確にしたことです。『一部還元します』という言葉は世の中に溢れていますが、実感がないのです。0.5%と数字にすれば、1,000円の買い物で5円がクラブに行くということが明確になり、サポーターは自分の行動がクラブのためになっていると実感できます。この2つにこだわりました。最初の1年間で1万人ぐらいの人がEZOCAを作って使ってくれましたが、そのうちの半分の5,000人は初めてEZOCAを作り、初めてサツドラで買い物をしてくれた人でした。100万人を動かすキャンペーンはリソースもお金もかかりますが、これのためなら店を変えてもいいという人たちがいるなら、それを100個作れば100万人動くのではないかと考えました。そこからレバンガ北海道をはじめとするスポーツチームとの提携や、自治体と連携した取り組みに広がっていきました」

決済手数料とデータの地域循環を目指して

――現在、最も力を入れていることは何ですか。
 「昨年10月に開始したキャッシュレス決済サービス『EZO Pay』です。キャッシュレス決済はユーザーには便利ですが、事業者にとっては手数料負担が経営の圧迫要因となります。『EZO Pay』では、この手数料を標準的な料率の半分程度に抑えることで、事業者の負担を低減したいと考えています。また、決済手数料をもらっている事業者側がデータを独占して広告などで稼ぐのはフェアではないと考えています。手数料を払っている事業者さんにも、ちゃんとそのデータを活用して生かしていける世界を作りたい。お金もデータも地域の中で循環して回っていける経済圏をどうにかして作りたいと取り組んでいます」

――北海道でこの事業を行う意義をどう捉えていますか。
 「20代の頃は北海道から出たくて仕方ありませんでした。しかし、戻ってきて感じるのは、北海道の可処分所得の低さです。地理的要因や生活コストの高さから、自由に使えるお金が他のエリアに比べると少ない現状があります。北海道の人の可処分所得を上げることにチャレンジしたいと考えています。企業とコラボして稼ぐ力を高め、ポイント活用で生活コストを下げる。この両面からアプローチすることで、可処分所得を増やすお手伝いができるのではないかと考えています」

 北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合うUHB「#BOSSTALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。

北海道文化放送
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