ミラノコルティナ五輪フィギュアスケートのペア競技で金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来・木原龍一ペア。その活躍の裏側を支えたスポンサー企業のトップが6月19日、鹿児島市での講演会で秘話を明かした。「リンクのない県で生まれていたら、りくりゅうはいない」——その言葉は、地域スポーツの環境整備という切実な課題を改めて浮き彫りにした。
「1年くらいやってるんじゃないか」——運命の出会い
三浦璃来・木原龍一ペアが所属するのは、建築や介護などを手がける総合生活企業グループ、木下グループだ。19日に鹿児島市で開かれた講演会に登壇した木下直哉社長は、2人と初めて出会った当時をこう振り返った。
「りくりゅうの2人は初めて滑ったにもかかわらず、1年くらいやってるんじゃないかというくらい息が合っていた。運命的な第一歩はここから始まった」

木下グループがフィギュアスケートのアイスダンスとペアの選手支援を始めたのは2009年のことだ。スケートリンクの整備なども手がけてきた同グループだが、木下社長は支援を続けながらも、ある現実に「がく然とした」と語る。
「ペアもアイスダンスもそんなに悪くないのに、見に来る人がいない。なんでこんなことになっているんだろう」
リンクがあるかどうかが、選手の運命を変える
講演の中で木下社長が特に力を込めたのが、スケートリンクという「インフラ」の重要性だ。
「最初のひと滑り。その時に『スケート面白いな、続けたいな、もっとうまくなりたいな』そう思えるリンクが近くにあるかどうか」

この言葉は、鹿児島の聴衆にとってひときわ重く響いたはずだ。鹿児島市にかつて存在したスケートリンクは2005年に閉鎖され、現在、鹿児島県内にリンクはない。金メダリストを育てた環境が、地元にはすでに失われているのである。

木下社長はさらにこう続けた。「南国鹿児島の地にスケートリンクが生まれ、そこからスケーターが育っていくと、非常に楽しみもあるし、うれしいことだと思う」。スポーツの力で地域を元気にすることへの強い信念が、言葉ににじんでいた。
講演を聞いた市民の声
講演を聞いた人々からも、地域への思いが語られた。「鹿児島にはスケート場がないけど、子どもたちには色々な経験をさせてあげたい」「10年以上前からスケートを見に行っている。鹿児島にもリンクがあったらいいなという思いを強くした」——りくりゅうの感動が、地元の人々の「もしも」への想像力を刺激している。

世界を熱狂させた金メダルは、競技の枠を超えて、地域スポーツ環境のあり方を問い直すきっかけにもなっている。
【動画で見る▶「りくりゅう」支えた企業の社長が来鹿 育成の道のりと地域を元気にするスポーツの力語る】

