2026年5月から運用が始まった、新しい「防災気象情報」。6月3日、台風6号の接近に伴い、福島県内ではいわき市で初めて発表された。新たな情報では名称がレベルごとに整理され、住民が取るべき行動の目安がより明確になっている。
災害リスクが高まる中、自治体はどのように動き、私たちはどう命を守るべきなのか。実際に運用が始まった現場の対応と、今後備えるべきポイントを、専門家の解説を交えて詳しく紐解く。

■行動の目安が分かりやすく
新たな防災気象情報では、レベルごとに注意報・警報・危険警報・特別警報と名称が統一されていて、それごとに私たちが取るべき行動の目安が示されている。【警戒レベル4・危険警報】が出たら危険な場所から全員避難、【レベル5・特別警報】のタイミングでは避難を完了していなくてはならない。
東京通信大学特任教授で「防災マイスター」の松尾一郎さんは「この警戒レベルの数値を、ご自身や家族の“避難スイッチ”としておくといい。リスクごとに逃げ方も異なるので、予め考えておきたい」と語る。

■実際は?自治体の対応
6月3日、福島県にも接近した台風6号の影響で、いわき市では雨や風が強まり新たな防災気象情報の運用が始まってから初めて県内に【レベル3・大雨警報】が発表された。
いわき市は市内全域に【警戒レベル3・高齢者等避難】を発表。最大で50人を超える市民が避難所に身を寄せた。

午後1時ごろに発表された「警報」の約7時間前には【高齢者等避難】を発表していたいわき市。
市は新たな情報への対応について「大きな混乱はなかった」と振り返る。
いわき市災害対策課の松本祐一課長は「台風の進路がより北寄りになってくると、さらに雨や土砂災害の危険性が出てくる状況だった。大雨が降ると、逃げにくい、危険性がある状況になりますので、うちとしては早めの避難を出すように心がけている」と話す。

■市民の安全を守るために
いわき市が期待を寄せるのは『新たな防災気象情報』と合わせて運用が始まった『線状降水帯の直前予測』だ。
線状降水帯発生の危険性が高まったときに、発生の2~3時間前を目安に発表されるもの。
3年前に線状降水帯の被害を経験しているいわき市。災害対策課の松本課長は「災害が起こる前に、市民には早めの行動を取っていただくことが大切。こういった情報を素早く速やかに得られるようになるので、対応はよりスピーディになる」と話すように、新たなこれらの情報を使いこなしながら、市民の安全を守りたいとしている。

■避難の時間を十分に確保するため
いわき市は「警報」の約7時間前に「高齢者等避難」を発表した。
隣接する北茨城で「レベル3・土砂災害警報」が発表される可能性があるという情報や、台風の進路によっては危険性が高まる可能性があったことから、避難の時間を十分確保するために早めの判断をしたという。

防災マイスターの松尾一郎さんは「災害は地域で起る。気象台は、大雨の情報が基本。河川の洪水やそれへの避難対応は、自治体の役割となる。いわき市は、これまで大雨の被害を受けてきた。災害の可能性があるとすれば、勇気もって早めに市民に備えや安全な退避行動を促すのは重要なことと言える。こうした防災対策はトップの思いが地域を動かすのだと思う」と話した。

■レベル以外の注目点
新しい防災気象情報には、レベル以外にも注目すべき点がある。
まず河川に注目する。「河川氾濫」の警報などの対象になるのは、福島県内では6河川。ほかの川は大雨警報などでの発表になる。
自分の近くにある川に危険が迫った場合、どんな情報が発表されるか把握しておく必要がある。
さらに「土砂災害」では「発表のタイミング」に注目してほしい。
基本的なルールとしては、【レベル4】は基準に到達すると予想される時刻の2時間前、【レベル3】はそのさらに1時間前に発表される。
「レベル3だから避難に時間がかかる人への呼びかけ」ではなく、「全員避難が迫っている」の合図なのだ。

■防災行動計画も忘れずに
タイムラインは、災害が起る前からの身を守る行動を考え、ご近所や家族で話し合って作る防災計画書。
防災マイスターの松尾さんは「レベル3・高齢者等避難はとても短い。レベル2から備えて動いていくことが大事。行政のみならず、地域住民もきちんと“自分のタイムライン”を作っておくことが大切だと思う」と話した。

福島テレビ
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