2024年10月、北海道江別市の公園で大学生の長谷知哉さん(当時20)が男女6人に集団暴行を受けて死亡した事件。
札幌地裁では強盗致死などの罪に問われている川村葉音被告(21)、当時18歳の滝沢海裕被告、当時16歳の少年の3人の裁判員裁判が続いています。
6月11日の裁判では検察側は滝沢被告に対し「懲役20年」を求刑、一方で弁護側は「懲役15年」が妥当だと主張しました。
■「絶望の淵に追いやる虐待的・拷問的暴行」
これまでの裁判で、長谷さんの遺体を司法解剖した医師は「被害者は頭と顔の全体にわたって出血していて、数十回以上顔面が打撃されたと考えられる」と証言。全身の血液量の20~30%を失い、外傷性ショックで死亡したと説明していました。
論告求刑が予定されていたこの裁判では、冒頭に被告人質問が行われました。その中で検察側から、自身にどのような刑が下されるかと問われると「死刑か無期懲役だと思います」と回答しました。
検察側は、被告らの暴行について、約2時間にもおよぶ執拗な暴行、全裸で土下座させたなどの行為を「目をそむけたくなる非人道的な暴行」、「絶望の淵に追いやる虐待的・拷問的暴行」と位置付けました。
さらに、滝沢被告について、ふざけた口調で「ライダーキック」と叫び、蹴りつけたことが、他の共犯者がふざけながら苛烈な暴行を加えることを促したと指摘。
また、滝沢被告の行動について、主犯格とされる川口侑斗被告(当時18)に言及し、「流れを作ったのは川口被告」「自分の暴力は川口被告より少ない」など、共犯者に責任を転嫁するような供述を続けるなど、厳罰が不可欠であることを説明しました。
その上で、滝沢被告が終始主導したとは認められないこと、犯行時18歳だったことを考慮し、「懲役20年」を求刑しました。
■被告の暴行は「ライダーキック、首元への蹴り、根性焼き」だけ。中心的担い手ではない
一方、弁護側は「誰が流れを作ったのか」が量刑を判断するうえで重要だと主張。川口被告らが暴行の開始や金銭の要求を主導し、滝沢被告は流れを作った立場でないと説明しました。
また、被告人の暴行は「ライダーキック」2回と、「首元への足蹴り」1回、いわゆる「根性焼き」などにとどまり、事件における暴行の中心的担い手ではないと指摘しました。
その上で、「少年であることが考慮されるべき。流れを抜けられない未熟さがあった」とし、「懲役15年」が妥当だと主張しました。
■「人を殺しているのに、友人と遊びに行き楽しかったですか」遺族が問いかけ
この裁判では、代理人を通じて遺族の心情意見陳述も行われました。
長谷さんの父は、「毎日息子に線香をあげることしかできない」「無念で無念で仕方ありません」などとつづり、母は「息子の無念を晴らすためにこれ以上ない最大限の刑罰を望みます」とつづりました。
長谷さんの姉は、江別市の公園で見つかった遺体と長谷さんの指紋が一致した時のことについて「ふるえ、泣きくずれ、絶望した」と振り返り、「どうして殺されないといけないのか理解できない」とつづりました。
「人を殺しているのに、友人と遊びに行き楽しかったですか」、「犯行後の焦りを感じさせない態度に許すことのできない憤りを感じる」という長谷さんの姉の言葉を、滝沢被告は時折、目を閉じながら聞いていました。
■「命を奪ってしまったこと申し訳ございませんでした」滝沢被告の謝罪
公判で滝沢被告は自身について「死刑か無期懲役だと思う」と答えていました。
11日の裁判で懲役20年を求刑されたあと、改めて被害者と遺族に謝罪しました。
「僕の勝手な行動で傷つけ、助けも呼ばず、命を奪ってしまったこと、本当に申し訳ございませんでした」(滝沢被告)
前日の被告人質問の際も、椅子に座ったまま謝罪した滝沢被告。この日の謝罪も、証言台の前の椅子に座った状態で行われました。
滝沢被告、川村被告ら3人の判決は、6月25日に言い渡される予定です。