富士山の山開きまで1カ月を切った。2025年の夏山シーズンにおける登山者数は4つのルートあわせて20万5100人。初心者から上級者まで、さらには日本人だけでなく外国人の間でも人気が高い富士山の登山だが、一方で気候が変わりやすく、遭難と隣り合わせという現実もある。

霊峰富士の光と影 遭難は2日に1回

標高3776メートル。

海外の人からも日本の象徴として広く知られている富士山。

2026年は山梨県の吉田ルートと静岡県の須走ルートが7月1日に、富士宮ルートと御殿場ルートが7月10日に冬期の通行止めが解除され、登山規制を設けた上で開山期を迎える。

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富士登山は訪日外国人観光客からの人気も高く、2025年の登山者数は4ルートあわせて20万5100人。

コロナ禍以降は20万人超が続いている。

一方、富士山は天気の変化が激しいだけに、毎年課題となるのが安易な判断や登山の強行に伴う遭難事故。

県警察本部によると、2025年の開山期に発生した遭難事故は36件で、前の年から17件減ったものの、2日に1回は遭難事故が起きている計算だ。

救助有料化に壁 際立つ国の消極姿勢

ただ、遭難事故が特に問題視されているのは夏山シーズン以外の閉山期。

4つの登山道は、いずれも法律に基づき通行が禁止されているからであり、このため富士宮市の須藤秀忠 市長は「自己責任になっていない。遭難したら助けてもらえばいいというのはとんでもない話。登山道を歩かなければいいわけではない。登ってもらっては困る」と怒りをあらわにし、開山期以外の救助に関して有料とするようたびたび訴えている。

とはいえ、現在の法律では警察や消防の救助活動について費用を請求することができない。

そこで、モデルケースとなり得るのが埼玉県。

埼玉は全国で唯一、山岳救助を有料化していて、指定された山や地域で県の防災ヘリによって救助された場合、燃料費に相当する手数料として5分のフライトにつき8000円を徴収している。

これは、防災ヘリについては法律の制限を受けないことによる。

ところが、静岡県消防保安課の村井浩 課長は「本県で実施できるかどうかについては課題が多く、解決に向けていま頑張っているところだが難しい」と表情がさえない。

現在、埼玉が保有する防災ヘリは3機。

これに対して静岡はわずか1機のみで、メンテナンスに加え、災害などで別の現場へ出動している場合は警察に頼らざるを得ないからだ。

このため、鈴木康友 知事は国に対して山岳救助に関する統一的なルールや基準を定めるよう要望。

しかし、消防庁は「山の状況がそれぞれ異なる中、簡単なことではない」と指針の策定には後ろ向きな姿勢を見せている。

世界の山々を登ったアルピニストの提言

こうした中、日本を代表するアルピニストの野口健さんは「有料なのか無料なのかによって緊張感が変わる。何かあっても無料で来てくれるというのは無意識の中で緊張感がなくなる」と、山岳救助の有料化には一定の効果が見込まれると話す。

その上で、閉山期の富士登山を一律に禁止するのではなく、許可制にするのが望ましいと考えていて、「例えばアメリカの国立公園マッキンリーに行くと、まずカバンの中のチェックがあり、しっかりと装備を持っているのか確認される。また、申請時には過去にどのような山を登ったことがあるのか自身の登山歴をすべて書く。現場に行っても担当者が大丈夫と判断した時に初めて山に登ることができる」と自身の経験から、その意義を強調した。

閉山期の規制 揺れる判断

救助費用の有料化を含め、閉山期の無謀な登山を防ぐための施策について秋頃には方向性を出し、必要に応じて県議会12月定例会に関連する条例案を提出する考えを示している山梨の長崎幸太郎 知事。

他方、鈴木知事は慎重姿勢を崩しておらず、「実務的にこれからまだ詰める必要がある」との認識を示した上で「今の時点で12月に間に合うのか、その先までかかるのかは見通せない」と述べている。

テレビ静岡
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