27年間休まずに営業を続けた函館市の食堂。

 店主の男性が6月2日亡くなりました。

 その「休まない」日々をたどります。

 海に近い住宅街で1972年に開業した「たつみ食堂」。

 店主の山田征勝さんが6月2日、肺がんで亡くなりました。

 「とにかく『たつみ』の名前を売るということでスタートしたんです。(Q:安くてうまくて?)量があると(Q:そして?)休まない」(山田征勝さん 2005年)

 たつみ食堂が「無休営業」を始めたのは村山内閣が誕生した1994年でした。

 腰を痛めて半年間休業した時、客が離れてしまった苦い経験があり、「もう休まない」と決めました。

 「(Q:どんなところがいい?)やっぱり大将。大将の明るいところ」(札幌から来た客)

 「カレーおいしいかい?」(山田さん)

 「うまい!」(札幌から来た客)

 「これうちで一番うまくないやつ」(山田さん)

 「爆笑」(札幌から来た客)

 2005年、たつみ食堂は無休営業4000日を達成しました。

 「常に休みたいですよ。あしたにも休みたいのさ。(Q:なぜ続ける?)やっぱりお客さんだね」(山田征勝さん 2005年)

 「休みたい」と本音ものぞかせていましたが、2010年には無休営業6000日を達成し、1杯500円の塩ラーメンを60円で提供しています。

 「(Q:たつみ食堂の魅力は?)まず、人情ですね」(客)

 東日本大震災や北海道胆振東部地震によるブラックアウト、そしてコロナの感染が拡大したときも山田さんは店を開け続けます。

 2021年10月には仕込み中に腰の骨を折り3週間ほど入院してしまいますが、このピンチを救ったのは山田さんの3人の娘さんでした。

 「(結婚)式出て、店出て(結婚)式出てみたいな感じできょうだいの(結婚式の日に)やっていた。みなさん、お客さん来てくれるということは父の良さだったりします」(三女 拓美さん 2021年)

 「無休営業」はコロナ禍の2021年、ついに1万日に。

 「感無量という騒ぎでないよ 本当に。涙出てきてる。ティッシュなかったかな」(山田征勝さん 2021年)


 1万日は「27年と4か月余り」。

 これを機に山田さんは水曜日を定休日としました。

 「肩の荷がおりましたね、本当に緊張に緊張を重ねてきたからね。もうあしたからいつ休んでもいい。感謝感激雨あられ」(山田征勝さん 2021年)


 1年ほど前、肺がんと宣告されましたがステージ4だったため手術ができず、自宅で緩和ケアを続けていました。

 最期は多くの人に見守られながら息を引き取ったということです。

 山田さんの家族のコメントです。

 「父は亡くなる直前まで店の心配をするなど強い責任感と愛着を持っていました。父にとって食堂は『城』であり『生きがい』でした」(山田さんの家族)

 「がはははははははは!」(山田征勝さん)

 自分の「城」で笑顔で働き続けた山田さん。多くの人たちに愛された85年の生涯でした。

北海道文化放送
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