医療機関の収入となる診療報酬。物価高や賃上げに対応するため6月1日に引き上げられた。これにより患者が支払う初診料などが増加するが、影響は…。

背景にあるのは“病院の赤字”

「診療報酬が上がれば患者の一部負担金も上がることになりますが、医療従事者の賃上げへの対応も含め、地域における必要な医療の確保という観点からは重要だと考えており…」。6月1日に実施された『診療報酬改定』について上野賢一郎厚生労働大臣は国民へ理解を呼びかけた。

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医療機関などの主な収入源となる診療報酬は原則2年に1度見直され、今回、政府は、医師らの人件費などに当たる本体部分を3.09%引き上げた。

3%台は1996年度以来、30年ぶりの高水準となる。その背景にあるのが、病院の経営悪化の問題だ。

厚労省が2025年11月に発表した調査報告によると2024年度はベッド数が20床以上ある一般病院の72%以上が赤字だった。

福岡県内でも、久留米市の久留米大学医療センターが経営状況の悪化を理由に2027年12月までに閉鎖する方針を明らかにしたほか、北九州市の産業医科大学若松病院も慢性的な赤字が続いているとして2027年5月を目途に閉院すると発表。

地域を支える医療機関が相次いで閉鎖に追い込まれているのだ。

医療費3割負担の場合は初診料が57円アップ

今回の改定は、こうした状況のなか、医療機関の収入を増やし物価高や医療従事者の賃上げに対応する狙いがある。

福岡市の『ひろつ内科クリニック』。このクリニックでも6月1日からの診察料の引き上げを実施している。診療報酬の改定で何が大きく変わるのか?

『ひろつ内科クリニック』の廣津こう平院長は「窓口負担が多少増えます。自己負担が3割の場合、初診料が57円、再診料が21円高くなります-」

「―例えば外来の初診料は2910円ですが、新たに物価対応料が新設され、20円が上乗せされます。さらに職員の賃上げ分を補うベースアップ評価料170円も加わります。これにより、医療費の3割負担をしている人の場合、多くの医療機関で初診料は57円、高くなります」と話す。

また入院時にかかる費用についても物価高等への対応として増加する。

食事は1食あたり40円増の自己負担550円、光熱水費は1日あたり60円増の自己負担、430円となります」(『ひろつ内科クリニック』廣津こう平院長)。

キャンセル料もルール変更

更に診察予約のキャンセルについてもルールが変更された。

一部の医療機関で予約のキャンセル料を請求できるようになったが、厚労省によると請求できるのは、患者から予約料を取ることを厚労省に報告している900余りの医療機関で、患者が予約料を払うことを前提に予約し、直前に患者の都合でキャンセルした場合のみだという。

廣津院長は「予約時に予約料が発生しないクリニックや病院ではキャンセル料が発生しないということなので。つまり殆どの医療施設ではキャンセル料は発生しないのではないか。検診とかは10%から30%ぐらいは無断キャンセルがくるんで、かなりのダメージではある」と話す。

今回の診療報酬改定について街の声は―。

「ドクターにしろ、看護師にしろ、働いている人の給料を上げるには診療報酬を上げるしかないので仕方がないのでは」(40代・男性)。

「病院に行かなかったら、悪化してからじゃもっとお金かかるので、上がった分、どこかで生活を切り詰めていかないといけない」(60代・女性)。

「子どもを産んでから体調を崩すことが増えたのでたまに行く。診察料の引き上げは、しょうがないかなと思いながらも“地味に効いてくる”って感じ」(30代・女性)。

市民は、概ね理解を示しているようだ。

先行き不透明な中東情勢にどう対応

中東情勢の影響で医療資材の値上がりが続いているが、今回の診療報酬改定でどこまでカバーできるのか。廣津院長は「少し足しにはなるでしょうけども、物価高のスピードに追いついてないのは確か」と話し、更に「地域の医療が持続していくのが重要ですから、病院が維持できるような、そういった診療報酬改定になるのが望ましい」と結んだ。

物価高や人件費の高騰に対応するため大幅に引き上げられた診療報酬。7割の病院が赤字となるいま、中東情勢も先行きが不透明のなか、今回の診療報酬改定で医療機関の経営状況は、果たして良くなるのか?

(テレビ西日本)

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