宮崎県で唯一、全国でもわずか9人しかいない民間資格「焼酎検定1級(=焼酎名人)」に合格した韓国出身のヤン・ヘジョンさん。翻訳や通訳の枠を超え、焼酎を通じて宮崎の魅力を世界に発信している。難関試験を突破した情熱の裏には、焼酎がもたらす人との縁を大切にする思いがあった。宮崎の文化に惚れ込み「焼酎名人」となった彼女の歩みと、その志を追う。
難関を突破し「焼酎名人」へ
ヤンさんは2022年から宮崎県の国際交流員として働いており、翻訳や通訳にとどまらず、県民向けの講座や交流会を開くなど、宮崎と韓国をつなぐ活動をしている。

ヤン・へジョンさん:
韓国の文化が気になるという方たちが、気軽にいらっしゃって、質問する。韓国に触れるチャンスかなと思う。

そんなヤンさんが宮崎で魅了されたのが「焼酎」だ。来県後の歓迎会で勧められた芋焼酎をきっかけに、その奥深さに惹かれた。
ヤン・へジョンさん:
お酒は地域のお米、芋、水を使って地域なりの方式で作られているので、それが興味深かった。なによりも焼酎を飲みながら宮崎の人たちと仲良くなりたいという思いが大きかった。
言語の壁を越えた情熱
ヤンさんは韓国でバーテンダーの国家資格・造酒技能士を取得しており、県内の酒蔵を巡る中で宮崎の焼酎文化に深く傾倒していった。

そして2025年9月、全国でわずか9人しか存在しない「焼酎名人」の称号を得られる「焼酎検定1級」に合格した。宮崎県内では唯一の取得者だ。

試験の出題範囲は、原材料や酵母、製法、歴史、料理との相性など多岐にわたる。テキストや問題はすべて日本語であり、専門用語も多いため、外国人であるヤンさんにとっては非常に高い壁であった。
ヤン・へジョンさん:
難しかった。戸惑った部分はある。全部日本語だし、本は分厚いし、用語も難しい。
しかし小学2年生から20年以上、こつこつと日本語を学んできたという自信を糧に、約1年2カ月で「焼酎名人」の座を手にした。
同じく焼酎検定1級を目指す同僚は…
県国際・経済交流課 酒井陽一朗さん:
始めたのは一緒のタイミングだったが、いつの間にか最上位の1級までノンストップで取られていたのですごい。日本人でも大変。
焼酎が繋ぐ日韓の縁
名人となった後も、ヤンさんの焼酎研究は続いている。

宮崎市の焼酎バーを訪れた彼女が現在最も気に入っているのは、蒸留工程の一番初めに抽出される「ハナタレ」だ。
ヤン・へジョンさん:
蒸留して初めて出るからこそ、とろける感じもある。香りも強い。飲み方は、キンキンに冷やしてストレートでいつもいただいている。度数は44度らしいです。
友人たちには芋の種類による味の違いを楽しむ「飲み比べ」を提案。
ヤン・へジョンさん:
赤芋はみなさんがよく食べている芋。焼き芋に使われる芋とか、すごく芋の味がする。オレンジ芋は熱帯果実。ちょっとフルーティで、紅茶の味わい。紫芋の場合は、ワインやヨーグルトの風味がある。
友人は「私がそんなにお酒に詳しくないので、すごくありがたい存在」と話す。

出荷量が11年連続日本一を記録するなど、地域を代表する特産品となった焼酎。ヤンさんは、地域の産業にとどまらず、焼酎を通じた交流やそこで生まれる人と人との縁こそが、世界に誇れる最高の文化だと話す。
ヤン・へジョンさん:
行きつけの焼酎バーに行って、焼酎を通して他の人と話したりする文化が好きだからこそ、焼酎がもっと好きになった。宮崎の方たちはすごく明るくて楽しい。宮崎焼酎のおいしさや楽しさ、面白さをPRしていきたいし、宮崎と韓国の方たちの交流を手伝いたい。
多彩な活動で魅力を発信
焼酎をきっかけに、宮崎をより好きになったヤンさんだが、今度は焼酎に合うグルメを油絵で描き始め、夏には個展を開くそうだ。

国際交流員としての任期である2027年4月まで、そしてその先も、彼女が注ぐ一杯の情熱は、宮崎と韓国、そして世界を温かく繋ぐ大きな架け橋となっていくはずだ。
(テレビ宮崎)