富山市出身の服部慎一郎七段(26)が、将棋の八大タイトルのひとつ「棋聖戦」五番勝負で絶対王者・藤井聡太棋聖に挑んでいる。第一局は6月4日、千葉県木更津市で開幕。服部七段がかつて将棋を学んだ魚津市道下コミュニティセンターでは、恩師や関係者が固唾をのんで戦いを見守った。「道下の大谷翔平って言われてますよ」—地域住民が嬉しがるその成長ぶりは、一枚の将棋盤から始まった。

小学2年生から始まった将棋の歩み

服部七段が将棋と出会ったのは、魚津市道下コミュニティセンターで開かれていた将棋サークルだった。小学2年生のときに参加し、その才能はみるみる開花していく。


サークルで服部七段を指導していた亀田瑞穂さんは、当時をこう振り返る。「一番最後の教室でやった時に、とうとう私負けましてね、小学生に平手で負けたのはそれが最初で最後でしたね」。負かされたのは4年生の頃。普通の少年だったはずの教え子が、あっという間に師を超えていった。

センターの職員だった青木芳枝さんも、その成長を間近で見てきた一人だ。「おばあちゃんの様な気持ちです。勝つっていうことに努力しているんだなって思うと、なお愛おしく感じます」と目を細める。当時使っていた将棋道具は今もサークルで大切に使われており、垂れ幕や展示コーナーも設けられ、地域全体で応援する雰囲気に包まれた。

羽生九段を破り、初タイトルへ

服部七段は20歳でプロ入り後、新人王戦に3度優勝し、若手の登竜門・加古川青流戦でも優勝するなど着実に実績を重ねてきた。先月の挑戦者決定戦では羽生善治九段との接戦を制し、勢いそのままに初タイトル獲得を狙う。


第一局は午前9時、藤井棋聖の先手で開幕。序盤から亀田さんも目を見張る展開となった。「序盤戦でこんなに飛車と角が狭い所で接近してるなんて、タイトル戦でこんなの見ませんね、驚きの一手ですね」。

藤井棋聖に押され、服部七段がやや劣勢な展開となる中、亀田さんはその表情に期待を崩さない。「いつもと変わらないですね、虎視眈々と狙っている。服部くんっていうのは泥沼に引きずり込んで粘り倒して勝つスタイルですので、いよいよ私の本領発揮ぐらいの精神力でいま将棋さしていると思います」。
昼食は3品をすべてハーフで
なお、対局中の昼食も話題を呼んだ。藤井棋聖が「国産牛のステーキ丼 クレソンのサラダとフォール添え」を注文したのに対し、服部七段は「はまぐりと帆立とからすみのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ(はまぐり抜き)」「国産牛のステーキ丼 クレソンのサラダとフォール添え」「かけそば」の3品をすべてハーフで注文。そのユニークな食事スタイルにも注目が集まった。
棋聖戦は五番勝負で、先に3勝した側がタイトルを獲得する。第一局は午後6時現在も続いていて、4日夜には決着する予定。第二局は今月19日、栃木県日光市で開催される予定だ。魚津の恩師たちの熱い視線は、引き続き盤上に注がれる。
(富山テレビ放送)
