季節前倒しの暑さでエアコン売り場に客足 販売台数は倍増
山陰地方では5月下旬から本格的な暑さが訪れ始め、家電量販店のエアコン売り場に多くの客が訪れている。
しかし2026年の売れ行きは、単なる「暑いから買う」という例年の動きとは明らかに異なる。
鳥取・米子市の家電量販店では、4月と5月の販売台数が、例年の2倍以上に達している。その背景には『エアコン2027年問題』という、多くの消費者が知らずにいた制度上の大きな転換点がある。
商戦に異変…暑さと“別の理由”が需要を後押し
米子市内のエディオン米子店では、エアコン売り場が賑わいを見せている。
担当の野々村昭人さんによれば「今まででしたら夏場、7月から8月が盛り上がる時期」だったというが、2026年はその常識が通用しない。
「今年は4月、5月から非常に多くのお客様にご購入いただいている」と語る通り、商戦の山がまるごと前にずれ込んでいるのだ。
近年は猛暑の影響でエアコンの購入時期が前倒しになる傾向が続いてきたが、2026年はそれに加えてもう一つの大きな要因が消費者の背中を押している。

7割が製造終了に!?“省エネ基準引き上げ”で旧モデル消滅へ
店頭には「2027年問題、エアコンの7割が製造終了!?」と書かれたポップが掲示されている。
これが2026年の異例の売れ行きを生み出している要因だ。
2027年4月から、国が定める「省エネ基準」が大幅に引き上げられる。
各メーカーは、より高性能な製品の開発・製造を求められることになり、新基準を満たさないエアコンは製造中止となる。
在庫がなくなり次第、店頭から姿を消すことになるため、「今のうちに買っておこう」という駆け込み需要が発生しているというわけだ。

価格上昇を見据えた計画的な買い替えが加速 小型・中型機種に需要集中
需要が特に伸びているのは、6畳から8畳用の小型、中型エアコンだという。
野々村さんは「省エネ型が必要ないお部屋、例えば子ども部屋や寝室は省エネ型でなくても十分使ってもらえるので、そういう商品の買い替えが非常に多くなっている」と説明する。
新基準に対応したエアコンは、高性能ゆえに価格も高い傾向にある。
リビングのような主要な部屋ならともかく、それほど頻繁に使わない部屋にまで高価格帯の製品を導入する必要はないと判断する消費者が多いということだろう。
現行基準の製品が手に入るうちに、必要な部屋分を確保しておこうという考えがこの需要を生み出している。

「慌てて買わなくていい」 性能と状態で判断を
一方で、エディオン米子店の野々村さんをはじめ、メーカーや販売店側は声をそろえて「慌てて買い替える必要はない」と呼びかけている。
新基準対応のエアコンは電気代の削減効果も期待できるため、長期的に見れば光熱費の負担を抑えられるケースもある。
現在使用しているエアコンが問題なく動いているなら、じっくりと比較検討する時間は十分にある。
ただし、効きが弱い、臭いがする、異音が出るなどの症状が出ている機器は買い替えのタイミングと考えてよいと野々村さんは言う。
これらのサインが現れたら、それは機器の寿命が近づいているサイン。
「猛暑から命を守る道具」とも言えるエアコンだけに、こうした不調を放置するのは危険だ。

「2027年問題」で変わるエアコン選び “今すぐ買うか、備えるか”
気になるのは、現行品がいつまで購入できるかという点だ。
野々村さんは「在庫があれば購入はできますが、この状態ですと非常に多くお客様にご来店いただいてますので、2027年まで持つかと言われると非常に難しい」と率直に語る。
つまり、2027年4月を待たずして現行モデルの在庫が底をつく可能性も十分にある。
「今すぐでなくてもいい」としながらも、少なくとも自宅の機器の状態を確認し、いざとなれば動ける準備をしておくことが賢明といえそうだ。
『2027年問題』を前に、エアコン選びで何が必要かをじっくり考える機会にするのが、最も賢い対処法かもしれない。

