長男に激しい暴行を加え、死亡させた罪に問われている男の裁判員裁判で、静岡地裁浜松支部は5月29日、懲役7年の判決を言い渡した。これまでの裁判で暴行の凄惨な内容が明らかにされている。

傷害致死罪で懲役7年の判決を受けたのは磐田市に住む無職の男(26)で、2025年1月、自宅で長男(当時3)に激しい暴行を加え、死亡させた。

これまでの裁判で、男が育児や夫婦関係の悪化によるストレス・不満の矛先を長男に向け、1カ月以上にわたって日常的に暴力や暴言を繰り返していたことがわかっている。

事件当日は、男からの問いかけに対し、長男が大便をしていない旨を答えたものの、実際にはしていて、おむつを脱いだ際、床に便が飛び散ったことに男が激高。

妻は当時、仕事のため外出していて、男は長男がおむつを脱いだ途端に腕をつかんだ上、腹部を拳で2回殴った。

これにより長男の肝臓はほぼ真っ二つに断裂。

検察からは「腹部に対して自動車での交通事故や高所からの転落に匹敵するほどの極めて強い力が加わった」との医師による解剖所見が示されている。

ただ、男は異変に気づきながら、長男が重篤な状態になるまで2時間あまりも放置。

この時、長男は薄れゆく意識の中でも、心配をかけないよう最後まで「大丈夫」と返事をしていたそうだ。

119番通報をしたのは男だが、これは連絡がついた妻から促されたからであり、搬送先の病院では当初、自己保身から医師や職員に対して「長男が階段から転落した」などと嘘の説明をしていた。

長男には発達障害や知的障害の疑いがあり、成長の遅れから食事や着替えがなかなか上手くできず、このことは男も認識していながら、日常的に「何回同じことを言われてんだ」「だからお前はバカなんだよ」などと暴言を吐いていたほか、しつけと称して暴行を繰り返し、長男の全身からは受傷の時期や原因が異なる皮下出血等が多数確認されている。

2024年12月には妻が「虐待レベル」と男の母親に相談していて、本人にも注意したものの「痛みを感じさせないとわからない」などといって暴行を繰り返していたという。

このため、5月27日の公判では検察が「暴行が一方的かつ強度で危険」と指摘した上で、動機についても「短絡的で身勝手」と非難。

また、しつけの域を超えた一方的な虐待行為が日常的に繰り返され、育児から離れる時間を作れるよう妻から提案されるも拒否するなどストレスに対処するための方法も取っておらず、妻も「男には最大限長い期間、刑務所に入って欲しい。したことの重大さを一生背負って欲しい」と話していることなどを理由に懲役7年を求刑した。

これに対し、弁護側は犯行の3カ月前に適応障害と診断され、翌月には仕事を退職し、その結果として保育園も退園になるなど、男が犯行当時、精神的に非常に不安定な状態で、男自身も幼少期に父親から暴力を受けていて、虐待の連鎖には多少なりとも同情の余地があるとして懲役6年が妥当と主張。

こうした中、地裁浜松支部の来司直美 裁判長は29日、「肝臓を断裂させるほどの強度で危険な暴行態様。粗相に腹を立てた犯行動機は短絡的で身勝手」と指摘した上で、「育児のストレスや夫婦間の関係悪化は見通しを立てずに仕事を退職した自らの行動が招いたことで、暴力を正当化する理由にならない」などとして、男に対して懲役7年の判決を言い渡した。

来司裁判長は認定した事実や量刑の理由について説明した後、男に「長男は最後に何を思ったのでしょうか?『お父さんなんで?』『僕そんなに悪い子だった?』もう長男の声を聞くことは永遠に叶いません。あなたがその命を理不尽に奪ったからです。あなたの弱さや未熟さがこのような結果を招いたのです。服役中に罪の重さに向き合い、欠点を克服して、反省や謝罪の気持ちを真実のものであると示してほしいと思います」と述べている。

判決後、男の弁護人は控訴しない考えを明らかにした。

テレビ静岡
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