5月16日と17日に実施した今回のFNN世論調査で、高市内閣の支持率は、4月調査の70.2%から2.2ポイント下がり68.0%と、3月調査以来の60%台となった。依然として高水準と言える支持率ではあるものの、調査結果を詳細に分析して支持率が下がった背景を探る。
「手取りが増えた」実感なしが8割弱
高市政権は、「手取りを増やす」を旗印に掲げている国民民主党と合意文書を交わし、超えると所得税の支払いが発生する「年収の壁」を178万円に引き上げた。また、政権発足以来、経済団体などに対し折に触れて、「物価上昇に負けないベースアップ(賃上げ)の実現」を求めてきた。
そこで、新年度初めての給与支給日を過ぎた今回の調査で、給与所得があると答えた人(回答者全体の64.3%)に対し、実際に賃上げや手取り増加を実感できたかを尋ねた。

「額面の給与額が上がった」ことを「実感している」人は26.1%で、「実感していない」人は72.0%に上った。また、給与から税金などを引いた「手取りが増えた」と「実感している」人は21.0%とさらに少なく、「実感していない」人は76.5%と8割近くに達した。
この2問への回答は、地域別に見てもほぼ同傾向を示しているが、東京都だけは特異な動きを見せた。居住地を東京都とした回答者のうち、「賃上げを実感している」人は26.8%で回答者全体と大差ないものの、「手取りが増えたと実感している」人は10.6%に過ぎず、「手取り増加を実感していない」人は88.0%に達した。
今回の調査は、厳密に金額が増えたかではなく、増えたと「実感できるか」の感覚的な部分を尋ねた。東京は、物価水準が全国で最も高い。東京都の有権者が答えた「手取り増加を実感できていない」感覚は、賃上げが東京の物価高に追いついていないことを示しているのかもしれない。
また、全国的に見ても、「賃上げを実感している」と答えながら「手取り増加を実感していない」とした人は30.7%にのぼった。一般論として、賃金が上昇すれば、概ね手取りも増えるが、感覚的に「増えた」と思えない人が3割に達した背景は、やはり物価高かもしれない。
物価高への不満
その物価高に対する高市政権の取り組みに、「満足している」と答えた人は4.1%で、「どちらかと言えば満足している」(34.4%)をあわせても38.5%だった。

一方、「不満がある」と答えた人は21.1%で、「どちらかと言えば不満がある」(37.6%)とあわせると、6割近い58.7%にのぼった。
高市政権は発足後、ガソリンなどの暫定税率廃止、冬場の電気・ガス代支援、おこめ券や地域商品券の配布などに自治体が使える重点支援地方交付金の拡充といった、家計負担の軽減に資する政策を矢継ぎ早に実施した。また、中東情勢の緊迫化に伴う原油高に対応すべく、ガソリン代を1リットルあたり170円に抑えるための補助金の支出を継続するとともに、夏場の電気・ガス代を支援するための補正予算編成の検討にも入った。それでも、「不満がある」有権者が6割近くにのぼったのは、高市政権の打ち出した政策が狙う家庭負担軽減効果が、やはり物価高騰に追いついていない可能性がある。
前回(4月)の調査で、中東情勢の不安定化が引き金となった原油価格急騰への政府の対応について尋ねたところ、「十分だ」=39.6% / 「不十分だ」=52.2%だった。今回の調査で原油高騰に限らず、広く物価高への政権の対応に対する不満も先月同様の傾向を示していると言える。手取り増加が実感できるほどの「物価高を上回る賃上げを実現させるか、物価高を上回る家計負担軽減策を政府が打ち出せなければ、政権支持率は今後も右肩下がりの傾向を見せる可能性がある。
食料品の消費税減税「早く」が最多
与党が野党の一部と構成する「社会保障国民会議」は、与党が先の衆院選で公約に掲げた「食料品の消費税率を2年間0%にする」の実現可能性について検討を進めている。「国民会議」の実務者協議では、税率を0%にするにはレジシステムなどの改修に1年程度を要する一方、税率を1%に下げるのであれば、半年程度の準備で実現できるとの見通しが、レジメーカーなど関係者から示された。

そこで、食料品にかかる消費税の減税の在り方について有権者に尋ねたところ、「早く実現するなら1%でもいい」を選んだ人が42.5%で最も多く、「時間がかかっても0%にすべきだ」は26.3%にとどまった。年代別に見ると、18・19歳~20代では「早く実現するなら1%でもいい」が53.3%と過半数を上回った。
一方で、「減税すべきでない」も全体の29.7%にのぼったが、有権者の多くが「素早い負担軽減」を求めていることは、物価高が家計や生活実感に大きな影響を与えていることを示しているのではないか。
「手取り増加を実感していない」人が88.0%に達した「日本一物価が高い」東京の高市内閣支持率は59.7%で、今回調査の結果を地域ごとに見た場合、唯一60%を下回っている。「賃上げの実感」「手取り増加の実感」「消費税減税の在り方」などを有権者に尋ねた今回の調査を通じて、物価高や中東情勢緊迫の長期化への対応が高市政権の行方を左右する極めて重要な要素であることが、あらためて示されたのではないだろうか。

FNN・産経合同世論調査【2026年5月】
期間:2026年5月16日・17日
調査方法:RDD(固定電話・携帯電話)
回答:全国の18歳以上の有権者1001人(回答者の年齢構成比と男女比、居住地域について、最新の国勢調査の全国データに近似するよう抽出し補正)
