高値が続いたコメの価格が下落していて、飲食店では“おかわり無料”のサービスも復活しました。消費の落ち込みによる「コメ余り」が原因とみられます。家計が助かる一方で、専門家はコスト高に悩む農家への影響を懸念しています。
■販売は約3割増 価格下がり喜びの声
昼時にはいつも満席となる、三重県桑名市の「とんかつ みそ家」。
いわゆる“令和のコメ騒動”の影響で、2025年5月以降取りやめていたご飯のおかわり無料サービスが、コメ価格の値下がりを受けて約1年ぶりに復活しました。

とんかつ みそ家のマネージャー:
「まだまだお米の価格は昔ほど安くはなっていないんですけど、こういうご時世だからこそ、あえてご飯のおかわり自由を復活させて、とにかくお客さまに喜んでいただきたいという思い」
名古屋市中村区のスーパー「サンエース 亀島店」では、最も高かった2025年5月頃には5kg4623円だったブレンド米の価格は3435円に。「あいちのかおり」は3543円で販売されています。

サンエースの商品本部長:
「(値段が)下がり始めたと実感したのは、2月・3月ぐらいからでして。半年~1年の中でも本当に買っていただいたと思えるぐらいでした」
コメの仕入れ価格が下がった分を販売価格に反映。価格が下がったことで、販売量は3割ほど増えたといいます。
■年明け以降は価格下落…理由は「コメ余り」か
農林水産省が5月8日に発表した、スーパーなどでのコメ5kgの最新の平均価格は3796円でした。3800円を下回るのは2025年8月以来で、年明け以降は価格が下がり始めています。

農業政策に詳しい宇都宮大学農学部助教の松平尚也さんは、値下がりの理由は「コメ余り」だと話します。
松平尚也助教:
「コメ価格が高止まりしたことで消費が落ち込み、在庫が多くなってきている中で、流通業者に在庫処分の値下げの動きが広がっている。特に2025年産のコメは、新米が出始めて古米になると価値が下がりますので、何とか現金化しないと経営悪化につながるので」
名古屋市西区で60銘柄ほどのコメを販売する「米由」。一部の銘柄米などの価格はピークだった2025年8月と比べ、5kgで1000円から2000円ほど下がりました。

卸業者が、秋の新米が出てくる前に今持っている在庫を出そうとする動きが活発化したことが、コメ価格の値下がりにつながったといいます。
米由の野田沙希社長:
「たくさん抱えている在庫を、次は令和8年産が出てきますから、おいしく皆さんに早く食べてもらえるように工夫はされていると思います」
■今後の価格はどうなる?
松平助教によると、この後も夏にかけて緩やかに下がり、3000円から3300円ほどで販売されるのでは、としています。
家計にとって価格が下がるのはありがたい一方で、コメ農家にとっては心配もあるそうです。
松平尚也助教:
「中東情勢による資材の高騰が、これまでにない形で食料品に影響を与え始めている状況です。肥料も中東情勢と絡んで上昇する見通しになっていまして、(農家は)価格に反映できない可能性もあります」

肥料のほかにも、中東情勢の影響を受ける燃料に関しては、コメの刈り取りや収穫後の乾燥作業など様々な場面で必要になります。
もともと物価高で生産コストがかさむ中、さらなる負担が掛かれば、コメ作りを続けていけない農家も出てくるのではとしています。
松平尚也助教:
「コメが余る中で、価格に反映できない。産地の取り組みだけでは対応できない状況になってきていますので、未曾有の事態が毎年起こっているような状況です」
